自転車通勤が増えているが保険加入者は少ない。自宅外の盗難が保証される保険のお薦め商品はまだない(撮影/今村拓馬)
自転車通勤が増えているが保険加入者は少ない。自宅外の盗難が保証される保険のお薦め商品はまだない(撮影/今村拓馬)

 盗難や物損事故など、日常には何かとお金のかかるトラブルが潜んでいる。そんな思わぬ出費をカバーしてくれるお役立ち保険が、実は身近にあることをご存じだろうか。

 これは都内のある家庭での実例だ。「オレの小遣いが減る」と父親は途方に暮れたが、母親は財布からクレジットカードを取り出し、「あんたよりカードの方が頼りになる」と一言。カードには、外資系保険会社の「ファミリー賠償責任プラン」という所有者の家族全員を対象にした賠償責任保険の個人特約が付いていて、子どもの不始末も保険金で弁済できそうだという。

 保険金の支払い限度額は1億円で、しかも免責金額はゼロなのに、保険料は2年間で5千円。なかには年間千円程度で1億円の補償が付く場合もある。ただ、「保険会社はそこをあえてPRしていないので、契約者は忘れている場合が多い」(保険ショップ)という。個人賠償特約は火災保険や自動車保険、傷害保険などに付けられる場合が多い。その対象は、

「子どもがキャッチボールで外車をへこませ、100万円」「マンションのベランダから物を落とし、乗用車の天井がへこみ、50万円」「飼い犬が散歩中に他人にかみついた」「子どもが自転車で通行人にけがをさせた」「買い物中に商品をうっかり壊した」

 など身近に潜むトラブルだ。

 カードに入る際は、金額が安いので各種の特約を付ける場合があるが、それだけに本人は忘れてしまう例が多い。

「もしも」の場合に備えて、厚めに損害保険を掛けていたり、知らぬ間に配偶者が特約を付けている人も少なくない。何か問題が起こったら、「特約は使えないか」と調べてみることが大切だ。

AERA 2013年4月15日号