中学の校内実力テストでは成績上位者を廊下に張り出し、やる気にさせる(撮影/写真部・山本友来)
中学の校内実力テストでは成績上位者を廊下に張り出し、やる気にさせる(撮影/写真部・山本友来)

 東京大学の合格者数が昨年、桜蔭に次ぐ女子校ナンバー2になった豊島岡女子学園。今年の合格者数は過去最多の27人。25年前には東大合格者0だった同校の成長の秘密とは。

 25年前は都立中堅校の併願校だった同校がここまで伸びたのはなぜか。四谷大塚情報本部本部長代行の岩崎隆義さんは理由を二つ挙げる。89年の中学入試日変更と、2003年から今年3月まで校長を務めた二木謙一理事長による改革だ。

 入試日は、2月1日を2日に変えた。1日は女子御三家ほか、フェリス女学院など主要な私立中が一斉に入試を行う集中日。2日にずらせば、併願合格者の歩留まりを読むのが難しくなる。

「校舎の改築で、たくさんの生徒が入学しても対応できるようになったのを機に、入試日の変更を決断できました」と、竹鼻志乃校長が語る。

 結果的に、御三家の滑り止めになり、優秀な生徒が入学するようになった。桜蔭に落ち、「東大に入ってリベンジする!」と公言する生徒も現れた。

 2日試験の第1期生が卒業した翌年の96年から効果が表れた。東大合格者が前年のゼロから1浪1人を含む5人になったのだ。

 豊島岡の東大合格者数が10人を超えたのは03年。04年は9人だったが、05年から現在まで連続2ケタをキープしており、昨年、今年は25人以上だった。

 豊島岡躍進の立役者、二木さんは国学院大学の歴史学の教授からの転身だった。文学部長、図書館長など大学運営にもかかわった経験をもとに、教職員組織の改革から着手した。

 それまでの教員組織は、校長、教頭、教務主任と中・高の各学年主任6人がメンバーの会議で運営されていた。04年からは教務主任を廃止して、教務部長、総合企画部長のポストを新設した。教務部長の下には教科主任会議と学年主任会議、総合企画部長の下には総合企画部主任会議をそれぞれ設置した。二木さんは語る。

「主任のポストを従来の6人から24人に増やし、若くてやる気がある教員は積極的に登用しました。この改革によって、さまざまなアイデアが出されるようになり、学校全体が活性化しました」

AERA 2013年4月15日号