ダブル国民栄誉賞「セットプレー」としての効果

AERA
 就任以来ネットなどで「行動する首相」をアピールしている安倍晋三首相。大胆な金融緩和や、国民栄誉賞の授与などで連日、大きくマスコミを賑わしている。巧みな「セットプレー」が当たりに当たっている状況だ。

 首相は就任以来、改憲や教育改革などの保守的な持論を後回しにして、経済対策に集中。自身のフェイスブックに、被災地の農家を訪ねてニンジンジュースを飲む写真や、桜を前に凜々しい表情で何かを指さす写真を載せて「行動する首相」をアピールする一方で、失言や揚げ足取りにあう恐れのある「ぶら下がり取材」は回避している。

「前はだいぶ若く気負いすぎていた。(今回は)優先順位をつけ、前回とは違う状況になっている」と自賛するように、就任前に練りに練った計画、つまり「セットプレー」を消化することに徹しているのだ。

 そんな「セットプレー」の一つと言えそうなのが、1日に日本中を駆け巡った長嶋茂雄氏(77)と松井秀喜氏(38)への国民栄誉賞授与のニュースだ。元横綱大鵬の故・納谷幸喜氏が受賞した際、「なぜ生前に授与しなかったのか」との意見が寄せられたというが、やはり唐突感は否めず、政権内からも「だれが進言したんだ?」との声が出る。

 しかも、これで祝福ムード一色になるかと思いきや、「(野茂英雄氏ら)ほかにも大リーグで活躍した選手がいるのに、なぜ松井氏なのか」といった疑問が噴出。翌日に官邸筋が「実は、昨年引退した松井氏への授与が先に決まっていた」と“火消し”をする羽目になった。

 いずれにしても注目すべきは、国民栄誉賞の話題がマスコミを賑わしている間、株価が「調整局面」に入っていたことだ。放置すれば「アベノミクスも一服か」というマイナス報道が先行しかねない状況だった。結果的に、「ダブル国民栄誉賞」に「大規模金融緩和」の話題が続くこととなり、薄氷を踏むような安倍氏の話題作りは、今のところかなり奏功している。

AERA 2013年4月15日号

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