かの乃木希典大将も憂えたという電車内の痴漢。女性専用車両の歴史は明治時代まで遡る。だが、すべての男性が痴漢ではない。鉄道会社はせめて女性「優先」車両としてはどうだろう(撮影/写真部・山本友来)
かの乃木希典大将も憂えたという電車内の痴漢。女性専用車両の歴史は明治時代まで遡る。だが、すべての男性が痴漢ではない。鉄道会社はせめて女性「優先」車両としてはどうだろう(撮影/写真部・山本友来)

 なぜ男というだけで痴漢扱いされなければならないのか。なぜ女性だけが優遇されるのか。現代日本に新たに生まれた差別。男たちの不満が募っている。

 ほぼ毎週、JR山手線のどこかの駅前に彼らは姿を見せる。昨年末のある金曜日もJR新宿駅の南口前に10人ほどが並び、のぼりやプラカードを掲げ、拡声機を持ち次々と訴えていた。

「男性差別を許すな!」
「ひとごとじゃない。男性への人権侵害は存在する!」

 彼らは2010年に設立された「男性差別を許さない市民の会」のメンバー。女性だけを優遇する社会を憂え、男性差別の存在を知らしめようとしているのだ。

 代表は都内に住む30代の会社員、吉田佑司さん。会の設立者でもあり、街頭活動のほか企業や役所への陳情にも駆け回る。仕事をしながらの活動は相当な負担だが、めげない。

 男性差別に気づいたのは、大学生のころだ。05年、普段使う東京メトロ半蔵門線に女性専用車両が導入された。しばらくは気にならなかったが、ある日、高齢者の男性が女性専用車両から追い出されているところを目撃した。怒りがわいた。

次のページ