Aさんが会社に渡した「雇い止め撤回要求書」のコピー。パート職員の中には、もし超過勤務と認められれば、社会保険に加入できる勤務時間数に達するはずだった人もいた(撮影/写真部・慎芝賢)
Aさんが会社に渡した「雇い止め撤回要求書」のコピー。パート職員の中には、もし超過勤務と認められれば、社会保険に加入できる勤務時間数に達するはずだった人もいた(撮影/写真部・慎芝賢)

 東京都足立区の区立図書館で、時給180円という低賃金労働が行われた。指定管理者制度によるコストカットが背景にある。元副館長が告発した。

 昨年3月、東京都足立区の区立図書館の副館長だった女性Aさん(50)は2年間働いていた職場を去った。

「信じられない低賃金労働が図書館で行われ、あまりにひどいと抗議したら、契約更新を拒否されました」

 Aさんは副館長という重責を担いながらも契約社員だった。指定管理者として図書館の管理運営を区から請け負った民間の会社に雇われていた。

 Aさんは、司書の国家資格を持ち、前は別の区立図書館で2年間、パート職員として働いていた。経験を買われて、2010年4月から1年間の契約で働き始めた。半年後には、副館長に抜擢。児童書の業務のほとんどを担った。

 働きぶりが評価され、翌年度も契約は更新された。1日8時間、月18日勤務で、月給は16万7千円。給料を上げてくれるように会社側に頼んだが、断られた。そして11年8月、「事件」が起きた。

 この図書館では、区からの委託で蔵書約2万冊に盗難防止シールを貼ることになった。作業に参加したのは、図書館のパート職員12人。休館日を除くほぼ毎日、本来の業務終了後、当日勤務の2、3人が館内で2、3時間程度の作業を行った。

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