東京の地下鉄は、まるで迷宮だ。乗り継ぐ際に方向を見失って立ち往生することはしばしば。最短ルートと思いきや、運賃は遠回りするよりも高いという不可思議さ。

 例えば六本木駅では、都営大江戸線と東京メトロ日比谷線を利用できる。六本木から、同じく観光地として人気の浅草まで、平日の日中に地下鉄で移動したとしよう。

 メトロを乗り継ぐ場合、六本木(日比谷線)→銀座(銀座線)→浅草。運賃は190円で、所要時間は30分程度。

 一方、メトロと都営を乗り継ぐと、六本木(東京メトロ日比谷線)→東銀座(都営浅草線)→浅草。運賃は260円と、メトロだけのルートより高い。

 都営とメトロを乗り継いだ場合、メトロだけで移動するより、たいていの場合、料金が高くなる。

 都営の運賃が割高なのが、理由の一つだ。初乗り運賃はメトロが160円、都営が170円。10キロ圏の運賃はメトロは190円だが、都営は260円。

 なぜこんなに運賃が違うのか。

 東京の地下鉄の歴史は1927年にさかのぼる。04年に、運営主体だった帝都高速度交通営団(営団)が、国の特殊法人合理化計画で、東京メトロが愛称の東京地下鉄株式会社に。後発の都営の開業は60年だ。

 鉄道の料金体系やサービスに詳しい日本大学理工学部土木工学科准教授の金子雄一郎氏は、

「都営は、メトロの後に開業しているので、さらに深いところを掘って線路を建設しなければなりませんでした。その分費用がかさみ、都営の運賃の高さにつながっています」

 と説明する。

AERA 2013年1月14日号