16年前に解散した人気ガールズバンド「プリンセスプリンセス」。期間限定の再結成は、それぞれの人生を刻んだからこそ、充実したものになった。

 再結成のきっかけは、東日本大震災だった。富田京子(ドラムズ)から安否を気遣う一斉メールが流れ、全員が顔を揃えた。被災者を力づけるため、義援金集めのため、再び始動する。

「『同窓会なら意味がない。グレードアップしたプリプリじゃないと』なんて言っちゃって、内心どうしようと焦っていたんです。でも、口にしちゃえば引き返せなくなるでしょ」(岸谷香/ボーカル)

 と猛練習。ダイエットにも邁進した。「昔の女に会ったらがっかり、っていうのはまずいでしょ」(今野登茂子/キーボード)。

 1年限定の再結成で「女はたおやか、強いなぁ」(中山)と改めて感じた。

「ステージを控えて緊張してるはずなのに。キョンちゃん(富田)が本番前にラーメン食べてたじゃない」(渡辺敦子/ベース)

「それなりに緊張してるんですけどねぇ。これはビールと一緒に食べるラーメンだなってわかって、本番後にもう一杯食べちゃった」(富田)

「『本番前に何食べてるのよ!』って怒ればよかったなあ。でも、私が一番とちったか。私たち、まあ度胸はあるよね。男なら緊張でピリピリ」(岸谷)

 放っておくと、インタビュー中にもガールズトークが始まる、働く女性のロックンロールバンド。12月31日のNHK紅白歌合戦が、惜しすぎる最後の“雄姿”になる。

AERA 2012年12月31日・2013年1月7日号