ヤフーオークションに出品された福島県猪苗代町内の道路 写真提供:猪苗代町
ヤフーオークションに出品された福島県猪苗代町内の道路 写真提供:猪苗代町

今や多くの人にとって身近な存在になった「ヤフーオークション」。最近ではかなり意外なものまで出品されている。

「都会の人が見れば無垢の高原のように見えるかもしれませんが、売り物は道路なんです」

 福島県猪苗代町の担当職員は、そう言って控えめに「商品」をアピールした。

 同町は2年前から、ヤフーオークションを通じて道路を売っている。町内各地の別荘地の道路だが、分譲が思うように進まずに業者が破綻し、町税の滞納分として差し押さえた。

 いったい誰が買うのかと思うかもしれない。だがすでに幅4メートル、長さ数十メートルごとに40件以上売った実績があり、今も4件が入札を待つ。知事の指定があるため道路以外の目的には使えないが、入札価格は2千円(25平方メートル)からで、上限も4千円と驚くほど手ごろだ。

「最近は原発事故によるイメージ悪化の影響もあり、やや低調です」と担当者は言うものの、近くには猪苗代湖やコンビニ、スキー場、ゴルフ場もあり、過去には20万円程度で売れたことがあった。町内に別荘を持つ人や単に土地を持ちたい人、値上がり期待で買う人など、動機はさまざまらしい。購入者は関東など県外の人が多いという。2千円ぐらいならと、さしたる動機もなく衝動買いした人もいたかもしれない。

AERA 2012年11月26日号