身長182センチにして体重77キロのボクシング金メダリスト。村田諒太がアエラの表紙撮影のためスタジオに入ると、周囲から「かっこいい」「背が高い」と声があがった。

 五輪ボクシング競技での日本人の金メダルは48年ぶりの快挙。いまやスポーツ番組はもとより、バラエティー番組からもお呼びがかかる人気者だ。

 そんな村田は、食事が変わっている。野菜、肉、魚、ご飯の順に、ひとつずつ食べ終えてから次の皿に手を付ける。いわゆる「ばっかり食い」だ。幼少期から、この食べ方で、母に怒られていたという。

 だが昨今、こういった食事方法が血糖値を低く保ち、脂肪の燃焼を促すことが知られてきた。アスリート、とりわけ減量の苦しみがあり、体重をキープしておきたいボクサーにとっては、適した食べ方ともいえる。

 表紙撮影時には、

「今後は留学して、ボクシング先進国で指導法を勉強したいし、スポーツ科学も学びたい。それを国内選手の指導に生かせるようにしたい」

 と、引退して指導者になる意向も示していた。しかし、その後の10月4日、

「しばらく休んでボクシングはいいなって。体もまだ動きますし。ボクサーは辞め時を知らないんですよ」

 と現役続行を明言。この言葉といい、食事の仕方といい、生まれながらのボクシング選手「ナチュラル・ボーン・ボクサー」なのかもしれない。

AERA 2012年11月26日号