ファーストネームで、異性の部下を呼んでみる。閉塞職場に一陣のグローバリゼーション風を吹かせられるかも。でも、生兵法は禁物です。

 職場で異性の後輩や部下を下の名前で呼んだことがある人はいったいどれだけいるのだろうか。アエラネットでアンケートを取ったところ、回答した66人中15人(男性は23人中5人)が「ある」と答えた。もっとも、理由の多くは「同じ名字の人が職場に複数いるから」。「呼ばない」理由は「職場は公式の場、すべての人を姓で呼ぶべき」(40代男性公務員)というごもっともなものから、「その気があると思われると困る」(20代女性会社員)という異性相手ならではのものもあった。

 また、異性の上司や先輩から下の名前で呼ばれたことはあるかという質問に「ある」と答えた人は66人中9人とかなり少なめ。「嫌われていない証拠と思う」(30代女性会社員)という前向きな見方もあったが、「外国人のいる場でいきなり呼ばれて不愉快だった」(50代女性公務員)など、後ろ向きな回答が半数以上いた。

 神奈川県の研究機関に勤める50代男性は、異性も含めた部下や後輩を初対面の時から下の名前で呼ぶ男性上司(50代)のせいで、職場環境が悪くなっていると語る。

「下の名前で呼んだときの反応で、自分になびく後輩かどうかの『踏み絵』にしてるんですよ」

 いきなり下の名前で呼ばれて嫌がる研究員には態度が冷たくなり、そうではない研究員には親分肌で研究の面倒を見る。スーツをピシッと着こなすナイスミドルっぷりもあり、とりわけ「踏み絵」を乗り越えた女性研究員は彼の取り巻き化。そうではない研究員といがみあうこともしばしばだという。

AERA 2012年11月19日号