女性の社会進出が増え、子育てしながら仕事をする「ワーキングマザー」も増えてきた。子育ては仕事の負担になると思われがちだが、中にはそれを武器に仕事に励む女性もいる。

大手金融機関の女性課長(42)は、「育児は仕事の武器だ」と言い切る。以前は深夜まで残業し、まんべんなく営業先に攻勢をかけていたが、出産後は時間がない分、営業先のタイプを分析し、攻勢をかける相手を厳選。むしろ成績は上がった。

 息子が小学校に入学した時は、子どもの帰宅時間が早くなる「小1の壁」にぶつかり、3年生までの3年間、時短勤務を選択するしかなかった。

「残業はできませんが、工夫して成績は今まで通り出します」

 と宣言。営業戦略を考え抜いてさらに成績を上げ、時短勤務中に「社長賞」を受賞した。

 食品宅配のオイシックスでマネジャーとして働く丸尾幸子さん(44)は、「ママとしての生活すべてが仕事のヒント」だと言う。子どもの食事を考えることが新しいサービスにつながり、帰宅時間が決まっていることがタイムマネジメント力を上げ、子育てに試行錯誤することで部下育成の力がつくと感じる。

 出産後にウェブ関係の会社に転職したときは、育児に関するサイトを立ち上げた。オイシックスに転職した時も、今後ますます母親の視点が重要になると歓迎された。

「出産や育児が強みになる仕事はたくさんある。転職も含め、仕事とプライベートの両方が充実する環境を選択することが大事なんじゃないでしょうか」

AERA 2012年11月19日号