いま、外国人社員などのグローバル人材を求める企業が増えている。そこには企業によって異なる、様々な背景があるようだ。

 08年から外国人留学生を新卒で採用しているローソンの場合は、社内に多様な価値観を醸成するための施策だ。

「若い男性社員が圧倒的に多かった。しかし、単一的な思考しかできない会社は変化に対応できない。女性と外国人の社員を増やそうと考えた」(村山啓執行役員)

 外国人社員が存在することで、丁寧なコミュニケーションをとるようになって相互理解が進んだほか、若手が積極的にリーダーシップをとるようになり、社内の活性化につながった。

 日常的に国境をまたいで業務を行う会社では、社員すべてがグローバル人材になる必要がある。米国で創業したトレンドマイクロは、本社こそ日本だが、開発拠点も事業拠点も世界中に散らばっている。人事総務本部の成田均部長代行はこう話す。

「会議の開始時間ひとつとっても国によって考え方が違う。開始時刻に出社する人もいれば、まだ家にいる人もいる。こうした文化的背景の違いに、ずっと向き合ってきました」
 
 07年、創業者のスティーブ・チャン氏が推進役となって、仕事をする上での価値観を社内で統一することにした。世界中の全社員を対象に研修を行い、例えば国によって異なる本音と建前のバランスを統一するために、会議では本音で話すことをまず宣言するルールなどを教えていくという。

 その行き着く先は、世界各地域の新任部門長をエバ・チェンCEOの自宅に招いて行う研修だ。2~3年に一度、米国カリフォルニア州のチェン氏宅に20~30人が集まり、リビングで価値観の共有を図るという。

AERA 2012年11月12日号