モデル、タレント、デザイナー……。さまざまな顔を持つ神田うのさん(37)。実は子どものころ、世界での活躍も期待されたバレリーナだった。

 腰の位置が高く、手脚もすらりと長い。小顔で舞台映えする目鼻立ちに加え、柔軟性も抜群で、踊りの覚えも早かった。

「脚も、誰よりも高く、耳のところまで上がったし、身体的には非常にバレリーナ向きと言われていました。本番は好きだったけど、練習はあんまり好きじゃなくて、バーレッスンなんか、わざと遅れて行ったりしたことも(笑)。でも、ストレッチしなくても、いきなりセンターで踊れちゃってたんですよね」

 パリの名門バレエ学校「コンセルヴァトワール」への入学許可も得た。ところが、その留学を拒否。なぜ、チャンスを手放したのか。

「バレエだけの人生にはしたくないと思ったんです」
 
 14歳でスカウトされ、雑誌のモデルもしていたうのさんは、

「モデルの仕事をしながら社会が見えてきて、私はバレエ界で高いレベルにいても、井の中の蛙なんだなと思っちゃったんです。私はもっといろんなことをできるはずなのに、『あなたはバレリーナ』と、確定されてしまうのは嫌でした」

 決められた振り付け通りに踊るバレエより、もっと自由に表現できる世界がそこにはあった。周囲の大反対を振り切って、芸能界に飛び込んだが、現在、多方面で才能を発揮している彼女を見ていると、17歳の決断は正しかったともいえる。

AERA 2012年10月29日号