この夏の猛暑、節電の流れも手伝って、オフィスでの40代女性の肌の露出が増えている。

 中にはより意識的に、好んで胸元を強調する女性もいる。42歳の管理職女性は、

「胸の大きな女性が嫌いな男性はいません。肌を見せる機会の多い夏のほうが、周囲の男性が親切になる気がします」

 と自信たっぷりに言う。

 若いころはやせ形で胸がないのがコンプレックスだったが、出産を経て、体重は10キロ増加。胸のあたりにも脂肪がつき、あこがれのEカップに。プレゼンでも、自然に注目が集まるようになったと感じ、40歳を過ぎて初めて、「巨乳」の強みを知った。襟ぐりが深いノースリーブシャツの下から黒のキャミソールをのぞかせ、胸の谷間に大ぶりなペンダントトップを配置して、視線を集めている。

「肉質も柔らかくなったので、わきの下や背中のお肉に、『いいこと、あなたは胸、胸の肉なのよ』と言い聞かせて、えいやっとブラで寄せて、上げる。そうやって、くっきり谷間をつくっています」

 と不敵に笑う彼女は、たしかに年齢不詳で美しい「美魔女」である。いや、でもそれは詐欺なんじゃないだろうか。そのEカップは、「巨乳」ではなく、「虚乳」と呼ぶべきなのではないだろうか。

 そう、この夏のオフィスに、美魔女の「新種」が出現した。「美魔女」プラス、「巨乳」ではなく「虚乳」。つまり「美虚乳魔女」だ。

AERA 2012年10月8日号