テレビ番組でのタレントの「熟女好き」発言などをきっかけに、今、空前の熟女ブームが起こっている。熟女を集めた「熟女キャバクラ」も登場し、リピーターも多い。その魅力は何なのか。

 JR大宮駅南口には、昔ながらの狭い路地が入り組む。そのうちの1本、100メートル強の通りに7、8軒の熟女キャバクラなど熟女系専門店が密集する。昨年暮れごろから「大宮熟女ストリート」と呼ばれるようになり、県外からも夜な夜なオジサンたちが訪れる。

「淑女・熟女クラブNon娘(こ)」は通りの一角、雑居ビル3階に一昨年3月、通りではじめて熟女系専門店としてオープンした。代表の男性は、もともと大宮の水商売の店で働いていたが、独立にあたり、大人の女性が働ける店を作りたいと、女性従業員の年齢を30歳以上に絞った店をオープンしたという。

 開店当初から注目を集め、売り上げは右肩上がり。料金は、初回70分3千円から。一日の平均客数は約40人。40、50代を中心に20代や60、70代も。約8割がリピーターだという。

熟女の魅力を先の代表の男性はこう話す。

「ただ騒ぐだけではなく、社会経験豊富な女性が、お客様に癒やしを与えます」

 別の熟キャバに、多いときで週4日通う51歳の男性は、

「落ち着きます」

 としみじみ。仕事のストレスも、熟女と話して帰るだけで、癒やされるのだという。確かに普通のキャバクラに行っても、20歳前後の若い子だと、客なのに気を使って話を合わせ、クタクタに。その点、熟女は人生経験豊富な分、話術にたけ、気を使う必要もなく下ネタだってOK。

 Non娘のキャバ嬢は31歳から52歳まで25人ほど。シングルマザーや、不況で昼間の仕事を解雇された人が多い。ここで働く香奈さんも、52歳でバツ3のシングルマザーで、20歳から25歳まで3人の子どもがいる。うち2人はアルバイト生活のため、香奈さんの収入が頼り。以前はスナック勤めだったが、女の子がのびのび働いている店があると聞き、オープンとほぼ同時に働き始めた。

「私の魅力ですか? 人生経験だけです」

 などと謙遜するが、離婚を考えている男性客の相談にも乗る。まさに人生経験のなせる業だ。

AERA 2012年10月1日号