有休取得率が高まらない。休めない国ニッポン。それでも社員をなんとか「休ませよう」とする会社は存在する。

 大手総合印刷会社「図書印刷」はそのひとつ。職場によっては月1回、必ず「週休3日」を取れる。このシステムの開始は昨年10月。きっかけは、あの東日本大震災だ。

 人事部長の堀正信氏が語る。

「もともとは、節電対策の一環だったんです」

 本社屋の空調を一日でも止めたいと、人事や経理などの管理部門に限って昨年6~9月、一日の就業時間を2時間延ばすかわりに水曜日を休みにする「完全週休3日制」を導入。水曜は管理部門が入る1フロアの電気や空調を完全に止めて、どうしても仕事がある場合は他フロアを借りるようにした。

 実施してみると、意外な副産物に気づいた。平均して一人当たり月40時間あった時間外労働が半減したのだ。勤務時間内の私語も減り、報告やスケジュール調整も携帯メールを使うなど迅速化。余計な打ち合わせを減らす雰囲気にもなった。

 総労働時間を減らすには休みを増やすことだと気づき、「ダイバーシティ勤務制度」を導入した。職場単位で一日の勤務時間を8.5~10時間に設定でき、それに応じて月の休みを1~4日増やせる。

 仕事の波に応じて一日の労働時間を伸び縮みさせる制度はそれまでもあったが、労働時間延長と「休暇」をトレードオフさせる点が新しいと堀氏は言う。

「休暇取得を進めれば、残業時間も減らせます」

AERA 2012年10月1日号