最近では一般的になった婚活という言葉。仕事にバリバリ取り組んできた、いかにもモテそうなビジネスマンたちも結婚に悩んでいるという。

 知的で穏やかな語り口の弁理士の男性(43)が、結婚を意識したのは40歳。自分の「10年年表」を更新したときだ。年収の目標や将来設計を書き込んでいて、ふと考えた。

「明日にでも子どもをつくらないと、子どもが20歳になるまでに、体力、金銭的にもたない」

 女性は「出産のリミット」を意識するが、この男性は「退職年から逆算した経済的、体力的リミット」をはじいていた。

 それまでまったく結婚を考えなかったわけではない。27歳のとき、つきあっていた彼女と結婚話が出たが、弁理士の資格を取ったばかりで、仕事に夢中だった。

「あのとき結婚していればと悔やまれます」

 自分にコンプレックスがあるわけでもない。年収は1千万円。結婚市場では「高スペック男性」なのに、相手選びは難航している。原因は「あまのじゃくな自分」。自分に興味がなさそうな人を好きになってしまうのだ。

 茶道や着物が好きな自分は、趣味の世界で女性と会うことも多い。なのに惹かれる女性はアウトドア好きで活発なタイプ。結局話が合わず、うまくいかない。自分と話が合う女性とデートしても、ときめかない。

「年を重ねるうち、過去に出会った女性の長所を集大成した理想像ができてしまいました。その理想像と、現実に出会う人を比べてしまうのです」

AERA 2012年9月24日号