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AERA SPECIAL INTERVIEW もっと地域に役立つ場所に 「防災喫煙所」で災害時に地域を助ける

喫煙者のリフレッシュスペースである喫煙所。この喫煙所を防災の拠点として活用するプロジェクトがある。それが防災喫煙所「イツモモシモステーション」だ。取り組みの詳細について、JT(日本たばこ産業)理事の中井幹太さんに、木村恵子本誌編集長が聞いた。

文/音部美穂 撮影/吉場正和 デザイン/スープアップデザインズ 制作/朝日新聞出版メディアプロデュース部ブランドスタジオ 企画/AERA dot. ADセクション

喫煙所を通じて地域の課題解決に貢献

木村 「防災喫煙所」というユニークな取り組みが行われていることを今回、初めて知りました。どのようなきっかけで始まったのでしょうか。

中井 幹太

Kanta Nakai

中井 幹太

日本たばこ産業株式会社
理事・社会環境推進室長

大阪府出身。神戸大学経営学部卒業後、1995年に日本たばこ産業入社。渉外企画室部長、事業企画室部長、東海支社支社長、中日本地域セールス責任者などを経て、2023年7月から現職。喫煙環境の整備などに注力している。

中井 以前から当社では、自治体や民間企業による、たばこを吸わない人にも配慮した喫煙環境の整備を支援してきました。その取り組みを発展させ、喫煙所を通じて地域課題の解決に貢献できないかと考え、複数の自治体にヒアリングしたところ、各地で聞かれたのが防災へのニーズだったのです。そこで、2021年から「防災機能を備えた喫煙所」の設置に関するプロジェクトを開始。現在、全国10カ所に防災喫煙所が設置されています。

木村 防災についての知識も必要だったと思うのですが、どのように設置を進めていったのでしょうか。

中井 この企画は、防災教育の推進活動を行うNPO法人「プラス・アーツ」理事長の永田宏和さんがプロデュースを担当してくださっています。プラス・アーツは防災教育などで多くの自治体と連携していますし、当社も全国に支社があり、日頃から業務を通じて自治体と接点を持っています。そういったネットワークを生かして、各地の自治体と連携し、設置を進めてきました。

木村 この防災喫煙所には「イツモモシモステーション」という名称がつけられているそうですね。インパクトのあるネーミングの由来を教えてください。

中井 “いつも”と“もしも”は、防災関係でよく聞く言葉。「“いつも(平時)”から“もしも(有事)”に備えていれば、適切な行動がとれる」ということですね。さらにいえば、災害が発生する可能性は“もしも”ではなく“いつも”あるともいえます。また喫煙所は“いつも”は、たばこを吸う人と吸わない人との距離を保つ存在ですが、“もしも”のときは吸う、吸わないに関係なく多くの人を助ける存在になれる。「防災喫煙所を通じて、地域の方々の“いつも”と“もしも”を支援できたら」という思いから、この名称が生まれました。

携帯トイレや救急用品など物品の保管庫に

木村 防災喫煙所は、具体的にどのような役割を果たしているのでしょうか。

中井 平時には、防災情報の啓発を行っています。喫煙所の内側には喫煙者に向けて、災害用伝言ダイヤルの使い方、自治体防災アプリの二次元コードなどを掲載しています。

外側には、たばこを吸わない人でも通りかかった時に目に留まるように壁面グラフィックを掲載。「全員が伝えようとすると、ケータイはつながらない」などの防災に関する気づきを届ける内容を、目立つ色やデザインで掲出しています。

木村 恵子

Keiko Kimura

木村 恵子

AERA 編集長

木村 では災害時には、どのように役立つのでしょうか。

中井 さまざまな防災機能を備えた拠点として活用できます。たとえば、ソーラー発電によって照明を点灯させ、停電時も周囲が暗くならないようにしたり、スマホなどの充電を行ったりすることも可能です。また防災用品の倉庫として、帰宅困難者用のエマージェンシーブランケットや携帯トイレ、トイレットペーパー、救急用品などを備えておくこともできます。必要な物品はロケーションによって異なるため、各自治体のニーズに応じて柔軟に組み替えています。

先ほど申し上げた防災情報の発信についても、デジタルサイネージが設置されている喫煙所であれば、発信する情報を災害関連情報に切り替えるなど、適切な行動に役立てていただけるような機能もあります。

防災以外の活用法も地域と住民をつなぐ場に

木村 実際に設置した自治体からは、どのような反応がありましたか。

中井 とある自治体の方からは「以前から防災に関するメッセージが書かれたポスターを路上などに掲出してきたものの、足を止めて読んでもらうことが難しいと感じていた。でも、喫煙中は数分間その場にとどまるため、情報をじっくり読んでもらえると期待している」との声をいただいています。喫煙所を利用される方からも「初めて知った情報もあり、勉強になる」「ここで得た情報を会社や家族とも共有したい」といった話が聞かれ、情報発信の場としての手ごたえを感じています。

木村 自治体との連携によって、さまざまな展開ができそうですね。今後、喫煙所をどのように役立てていきたいとお考えでしょうか。

防災喫煙所

広域避難場所に指定されている新宿中央公園の防災喫煙所。
トイレットペーパーなどを中心に、物品の備蓄も行う

中井 防災以外にも、喫煙所を通じた課題解決のための取り組みを進めています。たとえば喫煙所の壁を活用して、地域の方々が描いたアート作品を展示したり、その地域の観光情報を掲載したり、より地域ニーズに合わせた喫煙所の有効活用策を検討し続けていきたいと思っています。

木村 喫煙所は、地域と住民をつなぐ場所として大きな可能性を秘めているのですね。ありがとうございました。

木村恵子の編集後記

喫煙所を防災に役立てるというアイデアに驚きました。防災は社会にとって大きな課題。身近な場所に防災喫煙所があれば、家庭や職場で共有しておきたいと思いました。また「地域のニーズに応じて、本来の目的以外の形でも活用する」という発想は、喫煙所に限らず、さまざまなビジネスに応用できそうでとても興味深いですね。

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