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角野さん写真

ゲームや数学に夢中になっていたあの頃――ピアニスト角野隼斗さんが受験期の揺れる心を振り返る

カロリーメイトのCM「光も影も」篇で「Let’s go! スマイルプリキュア!」をピアノ演奏しているピアニストの角野隼斗さん。ニューヨークを拠点に海外でもコンサート活動を行い、世界の注目を集めています。そんな角野さんは、大学受験期に音楽の道に進むか、理系の道に進むか迷っていたそうです。当時の複雑な思いや親子の関わりについて聞きました。

文/安楽由紀子 撮影/スケガワケンイチ デザイン/スープアップデザインズ
制作/朝日新聞出版メディアプロデュース部ブランドスタジオ 企画/AERA dot.ADセクション

「周りと違うことが恥ずかしい」と思っていた子ども時代

――3歳からピアノを始めた角野さん。どんなお子さんでしたか。

2、3歳の頃から数字やパズルが好きな子どもでした。そのくらいの年齢だとミニカーに興味を持つお子さんが多いと思うんですが、僕は車のナンバープレートや駐車場の番号に興味を示していたらしいです。

――小さい頃の夢はなんでしたか。

小学校低学年のときは「宇宙飛行士になりたい」と思っていたけど、小学3、4年生ぐらいになると将来の夢を言うことが恥ずかしくなって、「サラリーマン」とか言っていました。

――就学前からすでに数々のピアノコンクールで優秀賞を受賞するなど頭角を現していましたが、当時は「ピアニストになりたい」ではなかったんですね。

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「2次試験の1日目の夜、自己採点したら『解けた』と思っていたはずの数学が、ケアレスミスで何問も間違っていることがわかって、『やばい』と思い、明け方まで眠れなくなってしまった経験があります」

ピアニストになりたいと言ってた頃もありましたが、はっきりとしたイメージはありませんでした。なんとなく小学校の頃はピアノをやっていることを大っぴらにアピールしたくなかったのを覚えています。野球やサッカーをしている子のほうがカッコよく見えましたし、周りと違うことをするのは恥ずかしいと思っていたのかもしれません。

――“自分”を出せる空気じゃなかった?

そうですね。そのせいか学校の授業中は態度がよくなかった。正直なところ、環境を変えたくて、通っていた小学校は早く出たくてたまらなかったです。両親はそれがわかっていたのか、中学受験を勧めました。「受験しなさい」とはっきりは言わなかったけど、「この中学は楽しいらしいよ」「算数好きでしょ、塾に行ってみたら?」と、自然に興味を持たせるよう導いてくれました。ただ、僕が通っていた小学校では中学受験する子がほとんどいなくて、放課後、みんなが遊んでる中、塾に行くのは肩身が狭かった。そのストレスからか、小6の時は母親に反抗していたこともありました。自分の部屋の壁を殴って穴を開けてしまったので、上からカレンダーをかけて隠していましたね(笑)。

――私立中学に進学してからは、周りに合わせようという気持ちはなくなりましたか。

中学からは気にならなくなった。何かしらに熱中してる人が多い学校だったんです。数学の国際大会だったりジャグリングだったり、はたまたゲームだったり。変わった趣味を持っている子がたくさんいた。ひねくれて「みんなと同じことならやらなくていいじゃん」と、逆張りする癖がついたのはこの頃からですね。「周りと違うことをしたい」と思いつつも、そう思えるようになったのは周りの影響である、というパラドックスですね。

「学ぶこと」は楽しいこと、どんな場面でもそれは生きてくる

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「受験期も好きなことばかりしていました。漢文や英語も一応勉強したけど興味がないからしんどいし、なかなか成績が上がらない。だったら好きな理系の科目をもっと上げればいいんじゃないかと考えていました」

――中学・高校時代の得意科目はなんでしたか。

数学、物理、化学、音楽⋯⋯です。国語はあまり好きじゃなかった。特に現代文は何を書いても正解しないんですよ。「これはわかったぞ」と思っても△。体育も好きじゃなかったです。歴史は全く興味を持てなかったんですよね。今は、なんなら数学より歴史に興味があります。世界に行くようになって文化の違いを感じてから、言語にも興味を持つようになった。学生時代は「英語なんてどうして勉強しなきゃいけないんだ」と思っていました。使う機会がなかったから。

――高校時代には音楽ゲームにハマって、大学受験直前に全国大会に出場されたとか。

はい。自虐的にハンドルネームは「JUKENSEI」。「受験生がこんなところにいて大丈夫なの?」と司会の人に言われました。結果はベスト8。僕としてはもっと行けると思ったんですが。大会直前はゲームの練習と塾での受験勉強で忙しかったから、合間にカロリーメイト、食べてましたよ。手頃な価格ですぐに食べられるし、栄養が摂れるから、塾の廊下などで急いで食べていました。

――大学進学時には、理系に進もうか音楽に進もうか、どちらか迷ったそうですね。結果的に理系に進んだ理由はなんでしょうか。

中学、高校の頃はロックバンドでドラムをやったり、ボーカロイドの曲をつくったりしていたので、大学でクラシック音楽を専門的に学ぶというイメージが湧かなかったし、音楽が職業になるという感覚もなかったので、理系を選びました。受験勉強中はピアノもちゃんとは弾いていませんでした。自分が弾きたいときに弾くくらい。

――結果として、大学ではバンドサークルと掛け持ちしてクラシックピアノを弾くサークルにも入り、大学院では情報理工学の研究に熱中しつつも、ピティナ・ピアノコンペティションでグランプリを受賞されました。何がどう将来につながるかわからないですね。親は子どものすることに対して「それが将来にどうつながるの?」とつい言いたくなりますが。

すべてにリターンを求めるのはちょっと違うかもしれない。そもそも大学だって、職業訓練のためにあるわけではないと思うんです。数学も大学で学ぶようなことは、ほとんど日常生活で使わないと感じますし。でも僕は「学ぶこと」は楽しいことだと思っています。世の中のことに興味を持ち、自分で調べて、理解する。それを楽しんでできるようになることが大切だと思う。それはどのような場面にも生きますから。だから学ぶ対象は何でもいい。学校の科目以外のものがまったく役に立たないわけではないし、逆に科目がすべて役に立つわけでもない。何がどんなふうに役に立つかなんて、人間が予想できるわけないですよね。

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「ゲームであれ何かに熱中するのはいいことだと思います。それが今どう役に立っているかはよくわからないけど⋯⋯。強いていうなら、ゲームの大会は一発勝負。練習でうまくいっても、本番でうまくいかなければ意味がない。その点はピアノのコンクールやコンサートと似ていて精神力が必要です」

世界はそんなに甘くない、だから親には“黙って”応援してほしい

――今振り返って、受験期はどういう時間でしたか。

楽しかったですし、ある意味気楽でした。気楽というのは、その頃、自分が将来何をやれるのか、何がやりたいのかわからない状態で、大学生になることが怖かったんです。受験勉強をしていればとりあえず知識は蓄積されていくので、いわば「受験」という檻の中にいる安心感がありました。世界はそんなに甘くない。その恐怖はその頃強く感じていました。

――高校生の頃に、受験の先に広がっている世界まで見えていたんですね。

いえ、見えていなかったから怖かったのだと思います。見えていれば「私はこれになりたい、だからこの大学に行くんだ」と、受験の目的もはっきりわかると思うんですけど、僕の場合は、今、ピアニストになっていることを予想して大学に入ったわけではまったくなかったので。音楽をやりたいけれど理系の勉強もしたい、音楽と理系が交わるところはないだろうか⋯⋯と、いろんなことを考えてみたものの、何が正解かわからなかった。

――将来に不安を感じていたとき、ご両親や友達に相談しましたか。

誰にもしなかったですね。両親のほうも中学受験と違って大学受験に関してはほとんど何も言いませんでした。

――ご両親は、どんな時期も見守っていてくれたんですね。受験生のお子さんを持つ親御さんに向けて、受験期の子どもの見守り方についてアドバイスがあればお願いします。

干渉しないことです。中高生なんてたいてい親に何か言われると腹が立ちますから。でも「干渉しない」と「放任」は違う。距離を保っていても「サポートしている」ということは、子どもには伝わってくるので。

――「“黙って”応援」とはどんなことですか。

たとえば僕の場合は塾代を出してくれたということ。それはありがたいですよね。それから、最寄り駅から家が遠かったので塾が終わったあと駅まで迎えに来てくれたり、夜ご飯が用意されていたりしたことも、「応援されている」と感じました。もちろん、合格の喜びを共有できたことも。そういったことが心の安定につながっていたと思います。

――不安を乗り越え、がんばっている受験生に向けてメッセージをお願いします。

自分の経験を振り返ってみて思うのは、どういう場所にいても自分がやりたいという気持ちがあれば、必ずそこにつながるということ。大事なことは、その道を見失わないために視野を広くして、新しいチャレンジに積極的になることのように思います。

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角野隼斗(すみの・はやと)

1995年生まれ。3歳からピアノ講師である母の指導を受ける。東京大学工学部卒業後、同大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻で機械学習を用いた自動採譜と自動編曲について研究。2018年、大学院在学中にピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ受賞。2021年、ショパン国際ピアノコンクールセミファイナリスト。
「Cateen(かてぃん)」名義のYouTubeチャンネルの登録者数は129万人以上(2023年12月現在)。

5大栄養素をバランスよく摂って、日々の体調管理を

あと一歩、がんばりたい。ここぞというときに力を発揮するには健康な身体があってこそ。1日3食、栄養バランスのよい食事を摂ることが理想ですが、つい試験対策に没頭してしまいがちな受験生、ゆっくり食事をする時間がないことも多々あるでしょう。夜食や塾の合間、忙しい朝など、間食や夜食も重要な栄養源となります。カロリーメイトのブロックタイプは、タンパク質、脂質、糖質、ビタミン(※1)、ミネラル(※2)の5大栄養素がバランスよく摂れ、ビタミンは1日に必要な量の約半分(※3)を含んでいます。かばんの中に入れていても邪魔にならず、勉強しながら片手で手軽に栄養補給。それぞれの道で頑張る受験生が、本来の力を発揮できるように、カロリーメイトが応援します。

※1 ビタミンA・B1・B2・B6・B12・C・D・E、ナイアシン、パントテン酸、葉酸
※2 カルシウム、鉄、マグネシウム、ナトリウム、リン
※3 1日に必要な量は「栄養素等表示基準値」をもとにしています

カロリーメイト写真

左から、食べごたえのある 「ブロックタイプ」、さらっとのみやすい「リキッドタイプ」、
やさしいのどごしの「ゼリータイプ」

詳しくはカロリーメイトの受験生向けサイトで解説!詳しくはカロリーメイトの受験生向けサイトで解説!

提供:大塚製薬

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