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だれもが臨床試験情報にアクセスできる世の中を目指して医療DXの推進、国際共同治験や患者・市民参画の継続を約束

アストラゼネカ ペイシェントフォーラム

フォーラムに参加した患者団体の代表者たちと、アストラゼネカの堀井社長(左から2人目)と大津氏(左端)

医学研究・臨床試験から実用化までのプロセスや医療政策における意思決定に患者・市民が関与し、その意見を取り入れる患者・市民参画(Patient and Public Involvement:PPI)が注目されている。2023年10月31日、イギリス・ケンブリッジに本社を置くグローバル製薬企業のアストラゼネカ日本法人がペイシェントフォーラムを開催し、複数のがん領域の患者団体代表が一堂に会し、意見交換をした。アストラゼネカ日本法人代表取締役社長の堀井貴史氏、同執行役員研究開発本部長の大津智子氏によるプレゼンテーションに続き、パネルディスカッションを実施。臨床試験の情報格差の問題を中心に活発な議論が展開された。

患者さんが必要な情報を手に入れるために、患者団体と製薬企業ができること~臨床試験の情報格差について考える~

(一社)全国がん患者団体連合会 理事長
(一社)グループ・ネクサス・ジャパン 理事長
(一社)CSRプロジェクト 代表理事
認定NPO法人希望の会 理事長
NPO法人肺がん患者の会ワンステップ 理事長
日本肺がん患者連絡会 理事長
(一社)日本希少がん患者会ネットワーク 理事長
NPO法人パンキャンジャパン 理事長
アストラゼネカ株式会社
研究開発本部 臨床開発統括部長
医療ジャーナリスト。医療の「翻訳家」
(一社)メディカルジャーナリズム勉強会 代表

がん領域の臨床試験に関する深刻な情報格差の実態

市川衛(以下、市川) まず始めに、「住む場所や通院する医療機関などによって、患者が得られる臨床試験の情報に格差が生じているのではないか」という問いについて考えてみたいと思います。

桜井なおみ(以下、桜井) 情報は等しく与えられるものであり、基本的人権の生存権に近いものだと思っています。

天野慎介(以下、天野) がん領域の場合は特に、治療がある程度進んでしまってから、実はこんな臨床試験があったという話を聞いたとしても、すでに除外基準になっていて入れないことも多くあります。情報を得られないことは、格差に即、つながります。

桜井  患者さんだけでなく、医療者も臨床試験の情報を探せていない状況であることに大きな危機感を感じています。国の事業として、臨床研究の届け出と情報公開を行うシステム「jRCT」1があるのですが、患者さんや医療者など検索する側だけでなく、情報を登録する企業や研究者にとってもユーザビリティーが良くないという話も聞いています。これについては問題提起を行い、解決のために動いているところです。

市川  アストラゼネカ社ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。

亀尾祐子(以下、亀尾) わが社は、患者さん中心(ペイシェントセントリシティ)の医薬品開発の推進を行っています。その中には、本日のテーマである臨床試験(治験)情報を求める患者さんを対象とした治験情報の公開や、どこにいても治験に参加できるようなプラットフォームをつくる取り組みも含まれています。「臨床試験(治験)公開サイト2はその一例で、本日ご出席いただいている天野さん、桜井さん、眞島さんに以前ご意見を伺った際、「患者にとって臨床試験の情報に容易にアクセスできないことは大きな不利益となる」というお話を伺ったことが開発のきっかけとなりました。

治療選択肢という患者さんが持つべきカード臨床試験もその大切な1枚

市川  患者さん側の情報へのアクセス状況はどうなのでしょうか?

長谷川一男(以下、長谷川) 2016年に行った「がんの臨床試験に関する意識調査」3で、80%以上の患者さんが臨床試験の情報を求めていることがわかりました。続いて行った2021年のアンケート調査4では、63.1%の患者が知りたい情報を見つけられておらず、さらに64%の患者が主治医などの医療者から治験の情報が提供されていないことがわかりました。また、情報を得たいタイミングとしては、「治療を始める段階」と答えた方が33%、「臨床試験の条件を満たしている段階」が43%、「標準治療が終わった段階」が13.6%という結果が出ています。

市川  必要なタイミングで情報にたどり着けていない理由として何が考えられますか?

天野  まず治療を始めるタイミングで考えると、患者さんは診断を受けた直後は精神的なショックを受けているにもかかわらず、様々な意思決定をしなければならない状況にあります。患者さん自身が積極的に情報を探すことができないのは当然だと思います。しかし、患者さんにとって治療選択肢というトランプのカードがどれだけそろっているかが非常に重要であり、臨床試験もその一枚なのです。医療の知識のない人がその情報を調べるのは簡単なことではありません。

桜井  最初の病院選びも、家から近いかどうかで選びます。臨床試験をやっているからという目線では、皆さん選んでいないと思います。

轟浩美(以下、轟) 私の場合、夫ががんと診断され標準治療はないと告げられたのですが、そのとき臨床試験というものがあって、被験者としてその治療を受けられる可能性があるということを全く知りませんでした。ですから自分で情報を探すことはもちろん、主治医に聞くことすらしませんでした。しかし、新たな治療法を標準化するために多くの臨床試験が行われていることや、その情報を得るためにはどうしたらよいのか知っていたら、状況は違ったのかもしれません。情報は人生を大きく変えてしまうものですよね。まずは、一般の人にそのような知識をあらかじめ持っていただくことが、とても大切だと思っています。

パネルディスカッションでは活発な議論が展開された

臨床試験があって標準治療が出来上がるマッチング&医療DXの推進が望まれている

市川  病気の治療と臨床試験についてのリテラシーを上げることが重要ということでしたが、システムとして情報格差を解決する方法はないのでしょうか。

長谷川  臨床試験をやりたいと思って探して、仮にたどり着いても、「遠くてできない」などの障害があります。それを(患者さんが)自分でクリアしていくのは難しいと感じます。 患者自身が臨床試験に参加したいという意思を表明し、実施地域などの条件を登録していれば、適合する試験があったときに情報が届くような「マッチング」システムがあったらいいなと思うのですが。

眞島喜幸(以下、眞島) 難治性がんの患者さんには本当に時間がありませんので、米国のがん治療学会では、参加できる臨床試験があれば参加することを推奨しています。現在、国立がん研究センターで行われている希少がんの研究開発およびゲノム医療を推進する産学共同プロジェクト「MASTER KEY Project」と協働して、希少がんの臨床試験について知っていただく活動を行っていますが、体制を変えるまで行くのかというと、最初の一歩的なものです。

亀尾  われわれの臨床試験(治験)情報公開サイトでは、適合する治験がなかった場合、患者さんの情報を登録していただくことで、該当する治験の情報がサイトに載った時点で情報をお届けする機能を持たせています。ただ、がん領域の場合、進行ステージや遺伝子タイプなど試験の対象基準が細かく設定されていますので、マッチングが難しいというのが実情です。患者さんの状態は変化していきますし、特にがん領域はイノベーションのスピードが目覚ましく、どの段階のどの情報を更新し、患者さんに役立つ情報をどこまで提供できるのか、という課題があります。

桜井  (EUが試みているビッグデータの活用事例を挙げ、ニーズに合ったマッチングを実現するために)電子カルテ情報等の医療DXの推進は必須だと思います。

天野  患者が不利益を被らないよう、マイナンバーなどの情報はつなげてもらいたいという思いはあります。

パネルディスカッションを終えたパネリストとアストラゼネカのスタッフ

眞島  国際共同治験が行われるときは日本人の被験者を必ず入れていただき、ドラッグラグ、ドラッグロスも起きないようにしていただければありがたいです。

長谷川  一日でも早く患者さんに薬を届ける、ということで考えると、治験が早く終わる方法があればいいなと思いました。

天野  グローバルの中で日本が取り残されているという話はよく出ます。私たちも同じ日本に住む患者として、協働できることがあればぜひ、今後協働させていただきたい。

轟  こういう場で話し合われたことは、なかなか広く一般に伝わらないのがもったいないと感じます。今は自分には関係がないと思われる人にも、知ってもらう機会をどんどん作っていくことが大事だと思います。

市川  今日、議論されたことの中にも、それぞれの立場ですぐに取り組めるような課題もありました。1 ミリでも前に小さなことでも進めていけば、人生を変えるような薬を届けるというところにつながっていくのではないでしょうか。

プレゼンテーション ① 患者さんの人生を変える “No.1パイオニア企業”を目指して アストラゼネカ株式会社 代表取締役社長 堀井貴史氏

アストラゼネカでは「サイエンスの限界に挑み、患者さんの人生を変える医薬品を届ける」をミッションとして掲げており、世界130カ国における年間総売上約444億ドル(2022 年)の22.5%にあたる約100 億ドルを研究開発への再投資に充て、新薬の開発を行っています。

日本法人では、目指す姿として「イノベーションを通じて患者さんの人生を変えるNo.1パイオニア企業」を掲げ、さまざまなチャレンジをしています。研究開発を基盤として革新的なサイエンスのリーダーであり続けることはもちろんですが、それと同時に重要な軸として考えているのが、患者さんを中心としたビジネスモデルの構築、サイエンスの限界に挑戦するためのイノベーションの創出です。そのようなことから3年前に、「i2.JP」というヘルスケアのエコシステム(さまざまな企業・団体が協力し合い、課題に対する解決策を生み出せるよう結び付けるネットワーク)を構築し、約400社のパートナー企業と共にさまざまな取り組みを行っています。その他にも患者さんと情報を共有し相互理解を深めることで、われわれが何をすべきなのかを常に考え、その実現に向けて挑戦し続けていきたいと考えています。

② サイエンスの限界に挑む―What Science Can Do― アストラゼネカ株式会社 執行役員 研究開発本部長 大津智子氏

アストラゼネカ日本法人では、2018~22年の間で29製品(うち12製品は新薬)の製造販売承認を取得しています。現在(2023年6月30日時点)、がん領域では45件の開発プロジェクトが進行中です。全ての開発において、グローバル企業のメリットを最大限活用して世界同時開発を行うことで、新薬が使用可能となる時期の欧米各国とのタイムラグを短くし、日本の患者さんに一日でも早く薬剤をお届けすることを目指して開発を進めています。

さらに、欧米に比べて、日本やアジアで患者数が多く治療ニーズが高いがんについては、本社に積極的に働きかけることで製品の開発を進め、日本の患者さんにいち早く治療薬をお届けすることを実現しています。

これらの製品の開発において、患者さんのご協力が必要不可欠であることはいうまでもありません。そのためには患者さんに治験を身近に感じていただくこと、そして患者さんが参加しやすい治験を目指すことが重要であると考えています。そこで現在は、治験の情報を求める方にアクセスしていただける環境づくりに取り組んでいます。

提供:アストラゼネカ株式会社

文/渡部桂子 撮影/山本倫子 デザイン/弾デザイン事務所
制作/朝日新聞出版メディアプロデュース部ブランドスタジオ 企画/AERA dot. AD セクション