
オーストラリアから来日した一家は、豊島区内に宿泊し、美術館巡りや六本木でのショッピング、
大相撲観戦などを楽しむ予定。「日本は人がすばらしい」とおばあちゃん
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コロナ禍における水際措置が緩和となり、
活気を取り戻しつつある羽田空港。国際便が増便されることで、
インバウンドによる経済効果への期待も高まっている。
文/張替裕子(ジラフ) 写真/深沢次郎 デザイン/スープアップデザインズ
制作/朝日新聞出版メディアプロデュース部ブランドスタジオ 企画/AERA dot. ADセクション
「イケブクロにはどの電車で行けばいいの?」
「国内線への乗り継ぎはこっちよ!」
今年1月半ば、羽田空港にはフランクフルト、台北など各地からの便が次々に到着し、ロビーはさまざまな言語で賑わっていた。大勢の訪日外国人旅行者の笑顔から、日本での休暇を心待ちにしていた様子が伝わってくる。

2020年3月29日から羽田空港では「首都圏の国際競争力の強化」「インバウンドの増加」「地方の活性化」の三つを目的に掲げ、国際線のニーズが高い時間帯に限り、新飛行経路の運用を開始。これにより1日に約50便の国際線の増便を実現するとともに、すでに就航していた14カ国・地域に加え、七つの国・地域への新規就航が可能となった(23年1月第4週の就航実績は右の図のとおり)。
ところが、あいにくその頃から新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大。蔓延防止のため海外諸国との往来が制限され、羽田空港発着の国際線は、一時はコロナ禍前の約1割*1にまで減便し、新規就航も延期となってしまった。同時に訪日外国人旅行者数も急激に減少。日本政府観光局によると、21年の訪日外国人数(推計値)は24万5900人で、19年に比べて99.2%減だったという。ニュースなどでも、がらんとした空港ロビーがしばしば映し出されていた。
しかし昨年10月11日、日本政府は帰国者・入国者に対する水際措置を大幅に緩和。これによって格段に海外との行き来が容易になり、海外から日本への観光(インバウンド)も再び盛んになってきている。国土交通省東京航空局が発表した昨年11月の羽田空港国際線旅客数は約72万7千人で、前年同月比の約10倍に。国際線の復便・増便、当初の新規就航先への路線の開設も進んでおり、羽田空港も訪日外国人旅行者で大いに賑わいを見せているのだ。
*1出典:国土交通省発表「空港管理状況調書」

国内線への乗り継ぎもスムーズだった
「DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査22年度版」において、アジア居住者が次に海外旅行したい国・地域の1位、欧米豪居住者で2位に選ばれている日本。とくに、訪日リピーターが多い台湾と香港では、海外旅行先としての日本は圧倒的な人気を維持している。訪問したい理由については、「食事のおいしさ」「治安の良さ」「買い物」「宿泊施設」の評価が非常に高いという結果になった。水際措置緩和により急激に訪日外国人旅行者が戻ってきていることからも、その人気の高さがうかがえる。
また19年の観光庁の分析結果*2によると、訪日外国人の訪問率が高い都道府県に、関東圏内の名前が多く見られる。その中でも“東京”は屈指の人気を誇っているようだ。
ロンドン・ヒースロー空港から羽田空港に到着した男性2人組は、4週間の日本滞在で東京での観光と長野などでのスノーボードを楽しむという。

「東京でのショッピングが楽しみ」
「以前、東京に来た時は新宿の飲食街などがおもしろかった。とくにバッティングセンターはロンドンにはないカルチャーで、ヘルメットをかぶってバッティングするのがとても楽しかった。もちろん渋谷も絶対に行くよ」
またロンドンとヘルシンキからそれぞれ到着、羽田で合流したというカップルは、「東京にはカワイイ雑貨や文房具がたくさん売っているから、買い物を楽しみたいと思ってきたよ。あとは最先端のテクノロジーを活用した都内のデジタルアートも観に行く予定」と目を輝かせた。
*2出典:国土交通省発表「訪日外国人消費動向調査」
羽田空港は、外国人が降り立つ人数が国内で2番目に多い空港*3であり、訪日外国人旅行者にとっては、京都や北海道などの名所とともに東京観光も大きな旅の目的の一つであろう。東京都作成の「平成31年・令和元年 国・地域別外国人旅行者行動特性調査報告書」によると、訪都外国人旅行者が都内で訪問した場所は新宿・大久保が最も多く、欧米豪からの旅行者では渋谷が1位だった。
また、原宿・表参道・青山や六本木・赤坂、品川といった回答も多く、「訪問して一番満足した場所で行った活動」として多くのエリアで「日本食を楽しむ」が選択されたほか、原宿・表参道・青山での「服・服飾雑貨のショッピング」という回答も目立った。羽田で出会ったオーストラリア人の家族も、豊島区の宿泊施設を拠点に青山や六本木での買い物を楽しむなど、都内のさまざまな街を訪れる予定だと話していた。こうした都内の幅広いエリアにおけるインバウンド増加が、大きな経済効果を生むことは想像に難くない。
*3出典:法務省発表「出入国管理統計統計表」
これまでは新型コロナウイルス感染症拡大に伴い国際線の減便が続いていた羽田空港だが、国際線の便数回復と同時に、ようやく新経路運用により増加したポテンシャルを発揮できる環境が整ってきた。
元々日本経済に大きく貢献していたインバウンド需要についても、水際措置緩和により本格回復の兆しが見え始めた。直近の22年第4四半期(10〜12月)における訪日外国人旅行消費額は、同年第3四半期の3.6倍となる5952億円を示した*2。また、訪日外国人1人当たりの旅行支出も、21万2千円(19年同期比24.6%増)と推計され*2、経済力のある外国人旅行者の訪問により、消費額は増加傾向にある。
このように水際措置緩和を皮切りに海外との往来がますます活発になることは、日本経済の復調と、首都圏や地方のさらなる成長・発展へとつながる。新飛行経路運用によって、より便利に、よりオープンになる羽田空港は、その上で大きな役割を果たす存在となっていくことだろう。