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編集長レポート

がんをめぐる課題解決に取り組む保険の枠を超えて
がん患者の未来を支えたい

日本人の2人に1人がその生涯で罹患する病、がん(※)。医療の進歩などで必ずしも死に直結する病ではなくなり、治療をしながら働き続けるがん患者が増えているからこそ、当事者(患者本人や家族など)が直面する課題は多様化している。アフラックは、当事者の悩みに寄り添い、新たな仕組みづくりに奔走している。宇都出公也・取締役上席常務執行役員に、片桐圭子本誌編集長がインタビュー。課題解決のための取り組みについて聞いた。

※出典:公益財団法人 がん研究振興財団 「がんの統計2021」 図表編 15.累積がん罹患・死亡リスク

文/音部 美穂 撮影/スケガワ ケンイチ デザイン/スープアップデザインズ
制作/朝日新聞出版メディアプロデュース部ブランドスタジオ 企画/AERA dot. ADセクション

トップイメージ

アフラックでは、社内でも、がん罹患後も安心して働ける制度を導入。がんを経験した社員によるコミュニティー「All Ribbons(オールリボンズ)」では、治療体験の共有も行っている。

父と伯母の死が
がんと向き合う原点

宇都出 公也

宇都出 公也Tomoya Utsude

アフラック生命保険株式会社
取締役上席常務執行役員

東京大学医学部卒業後、東大第一外科・癌研究所病理部等を経て、1994年アフラック入社。がん保険を中心に保険の引き受け、支払い、商品開発等に携わる。現在は、がん患者やその家族を取り巻く社会的課題の解決に向けた「キャンサーエコシステム」の構築に向け、社内外において連携、協業を進めている。

片桐宇都出さんは、がん保険を中心に商品開発などに携わり、がんにかかわる課題解決に尽力されていると伺いました。がんと向き合うきっかけは何だったのでしょうか。

宇都出入社前は、医師として多くのがん患者さんに接してきました。患者さん方から学んだことは数えきれませんが、原点となっているのは学生の頃の経験です。中学生の時、母の姉がスキルス性胃がんで亡くなりました。まだ40代でした。当時は、がんは本人に告知しないのが一般的で、伯母は病名も余命も伝えられないまま亡くなりました。その様子を間近で見ていて、「伯母は、本当はどう生きたかったのだろう」と考えさせられました。

片桐身近な人の死が、医師を志すきっかけになったのですね。

宇都出実は、父もがんで亡くしました。父は、私が大学生の時に多発性骨髄腫を発症。やはり当初は病名を伝えませんでした。進行するにつれ骨が脆くなり、歩行困難に陥るなど生活にも支障が出たため、障害者手帳を申請することになったのですが、そこには病名を記入しなければなりません。結果的には告知して手帳を申請したのですが、母はかなり葛藤していました。

片桐かつて、がんは不治の病とされていました。でも今は、通院治療をしながら日常生活を送ることも可能です。本人に告知するケースが一般的ですよね。

宇都出そうですね。ただ、家庭内では病気のことを共有しても、職場には伝えないケースもあります。アフラックでは、がんに関連する保険のご請求を年間約60万件近く受けていますが、電話口で保険とは直接関係のないお話をされるお客様も少なくありません。「話を聞いてくれてありがとう」と感謝の言葉を頂戴することも数多くあります。そのたびに、当事者の方にとっては、安心してがんの話ができる場がいかに少ないのかを実感しています。

片桐職場はもちろん、親族やご近所に伝えるのかどうかなど、がんと診断された患者や家族は様々な選択を迫られるのですね。

宇都出ええ。がん患者や家族がたどる人生の道のりを考えると、その時々で直面する悩みや課題は実に多様です。がん研究会有明病院副院長の大野真司先生から聞いた告知の場でのエピソードが非常に印象的でした。大野先生は、女性の患者さんに病気や治療のことを一つひとつ丁寧に説明されたのですが、患者さんからの第一の反応は、「どうすれば子どもの卒業式に出られますか」という言葉だったというんですね。

片桐その女性にとっては、お子さんの卒業式は何より大切なことだったんですよね。

宇都出患者である前に一人の人間であり、家族がいて仕事もある。それぞれの生活があるわけです。ですから、患者さんが抱える課題も一人ひとり異なります。その多様な課題解決のために目指しているのが「キャンサーエコシステム」の構築です。

患者を支えるため
役割を超えて連携を

片桐 圭子

片桐 圭子Keiko Katagiri

AERA編集長

片桐「キャンサーエコシステム」とはどのようなものなのでしょうか。

宇都出がんは治療が長期間に及ぶこともあり、精神的、経済的な面を含めて単なる病気ではなく、“がん患者を取り巻く状況の問題”と捉える必要があります。がん患者が、がんになる前と同様に自分らしく生きていくためには、がんにかかわる課題を社会全体で解決することが不可欠です。キャンサーエコシステムでは、その課題解決を目的に、様々なステークホルダーが連携・協業する仕組みを目指しています。

片桐このキャンサーエコシステムの構築を目指す「『がん患者本位のエンゲージメント』を考える会」のメンバーには、医師の方々をはじめ、社会学者や患者団体の方なども集まっていますが、どのような狙いがあるのでしょうか。

宇都出日本では、がん対策基本法が施行されるなど、行政ができる範囲の仕組みはかなり整ってきているといえます。その先にある患者それぞれの課題を解決するには、病院だけでなく、がん患者や家族を支援し情報提供を行うNPOなどの民間団体、企業、職場や学校といったステークホルダーが連携、協力しあう必要があります。

片桐具体的には、どのような取り組みが必要なのでしょうか。

宇都出「『がん患者本位のエンゲージメント』を考える会」では、三つのビジョンを提示しています。一つ目は、「社会全体でがん患者を生涯にわたって支える」こと。そのためには、開かれた相談の場や、がん患者への就労支援と経済的支援制度の周知といったアクションが必要です。

二つ目は、「一人ひとりが安心して納得できる医療/ケアを受けられる」こと。納得した上で医療やケアを受けられるよう、がん患者本位のコミュニケーションを実現させる必要があります。

三つ目は、「がん患者が主役となって自分らしく生きるための素養とスキルを身に付ける」こと。そのためには、正しい医学情報を提供する仕組みと場の整備や、がん教育の普及なども欠かせません。

片桐アフラックとしても、キャンサーエコシステム構築のために、保険事業以外に取り組んでいらっしゃることがあるんですか。

宇都出たとえば、がん保険の請求のご連絡をいただいた際に、患者さん同士がつながることができるネットワークや相談の場などの情報提供を行ったり、がん患者さんやそのご家族向けのがん専門電話相談サービスやプレミアサービスという看護師の方に相談できる機会を提供しています。小児がんの分野では、自宅から離れた病院で治療を受けるお子さんとそのご家族が1人1泊1千円で宿泊できる「アフラックペアレンツハウス」なども手掛けています。

片桐保険業務の枠を超えた取り組みをされているのですね。

宇都出そもそも当社が1974年に日本で初めてがん保険の販売を開始したのも、がん患者さんやその家族の精神的・経済的負担を少しでもやわらげたいという想いからでした。しかし、時代の変化とともに保険業務だけでは患者さんの課題に対応できなくなってきています。解決のためには保険の枠を超えた活動が必要だと痛感してきました。同様に、病院や民間団体、企業などがそれぞれの持つ役割を適切に越境することで、患者さんが自分らしく生きるための関わり合いを強められると思っています。

無意識のバイアスが
がん患者を苦しめることも

片桐がん治療や早期発見の未来を開くスタートアップ企業への投資も行っているそうですね。

宇都出がんの早期発見のためのスクリーニング技術や手術支援ロボットの開発を行う企業など、現在20社ほどに投資支援をしています(投資はAflac Ventures LLCが実行)。単に将来成長性が見込めるからではなく、キャンサーエコシステム構築の一翼を担うことを強く意識した上での投資です。

片桐がんと診断される「以前」を意識した取り組みもありますか。

宇都出全国113の自治体と連携してがん検診を行っています。また、2020年に設立されたアフラックのグループ会社「ハッチヘルスケア」では、検体を自分で採取することで、ほとんどの子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)の持続感染を確認できるキット「&Scan HPVセルフチェック」を展開し、検査後に適切な医療につなげるプロセスもセットとして提供しています。

片桐がんをめぐる課題解決のために、私たち一人ひとりができることはありますか。

宇都出これまでの固定観念を変えていくことです。たとえば、「がんになったら仕事は続けられないはず」という思い込みが、がんと診断された同僚を苦しめているかもしれません。たとえ周囲がよかれと思って仕事を減らしても、患者本人は「体調も安定しているし、これまでどおり頑張りたい」と思っていれば、結果的に疎外感を覚えることにつながってしまうでしょう。

片桐そう考えると、ジェンダーの問題に似ているように感じます。制度自体は整っていても、制度の狭間にこぼれ落ちてしまう人がいたり、「母親なら仕事をセーブしたいと思っているはず」という思い込みが、マミートラックを生み出したりするといった例と構造は同じなのかもしれませんね。

宇都出その通りです。それぞれが持っている無意識のバイアスを取り払うことが重要で、そのためにもマスコミには様々な側面から今のがん治療や、がん患者の課題を報じてほしいと期待しています。

片桐まずは、自分の固定観念を見直すことが大切ですね。ありがとうございました。

片桐圭子の編集後記

直面する課題が多岐にわたる点や、価値観の相違が壁となって立ちはだかる点など、ジェンダーや介護の問題などにも通じることが多いと感じました。また、マスコミの役割についても言及いただき、伝え続けていくことの重要性をあらためて認識しています。私自身も母親であり、多くの編集部員とともに働く身でもあるので、家族、同僚などそれぞれの立場になって、自分は何ができるのか、考えていきたいと思います。

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