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色のユニバーサルデザインが社会のスタンダードに「色彩検定UC級」で知る・学ぶ・広げる色の世界

激しい動きがある中でも、視認性が高まった背番号と選手名©Jリーグ

年齢や性別、能力や状況などの違いによらず、できるだけ多くの人が利用できるように、最初から意図してモノや建築物、生活空間などをつくる「ユニバーサルデザイン」。例えば、シャンプーとリンスを区別するために容器につけられたギザギザ状の刻みや、車の乗降性を向上させるために回転しながら傾くシートなど、使い勝手のよさを追求したモノの形状や機構などがすぐ思い浮かぶだろう。だが、実は「色」にもユニバーサルデザインがあるのをご存じだろうか。

文/田中 弘美 デザイン/スープアップデザインズ
企画/AERA dot.AD セクション 制作/朝日新聞出版メディアプロデュース部ブランドスタジオ

色のユニバーサルデザインが必要な理由

色彩検定協会 検定推進本部の山中雄市さんによれば、色のユニバーサルデザイン(以下UC)とは「色覚の多様性に配慮した、誰もが見やすい色使いのこと」だという。

「遺伝などによって特定の色の組み合わせを区別しにくい色覚特性の方や、加齢によって色を見分ける力が衰える高齢者など、色の見え方には個人差があります。色分けされた電車の路線図が分かりにくければ不便ですし、危険を知らせる看板の赤い表示が見えにくければ情報伝達の意味をなしません。青系の色を視認しにくくなった高齢者が、過ってガスコンロの炎の先端部分(青い炎)に触れ、やけどを負うケースもあります。誰もが安心安全、かつ快適便利に暮らしていくために、色覚の多様性に配慮した色彩設計が欠かせないのです」

遺伝などによって特定の色の組み合わせを区別しにくい人は、日本人男性の約5%、女性では約0.2%、人数にして300万人以上と推計される(※1)。加齢によって色の見え方が顕著に変化するといわれる60歳以上の人口は約4338万人(※2)。合わせて約4638万人、日本人人口の35%以上に色覚の多様性配慮が必要という計算になる。

政府が「年齢や障害の有無等にかかわりなく安全に安心して暮らせる『共生社会』を実現することが必要」と唱えるように、これからの時代はUCを意識したものづくり、サービス提供が不可欠になるだろう。

この流れはスポーツ界にも広がっている。Jリーグは視認性(注意を向けて探したときの発見のしやすさ)配慮の観点から、公式試合に出場する選手が着用するユニフォームに表示する、選手番号および選手名の書体デザインを全クラブで統一。今シーズンから「Jリーグオフィシャルネーム&ナンバー」として導入した。

※1 公益社団法人 日本眼科医会冊子(2019年3月)
※2 総務省統計局2020年12月1日現在の推計値

Jリーグの背番号も色覚の多様性を配慮

Jリーグ ブランド推進室 室長 川﨑濃さん

Jリーグ ブランド推進室 室長
川﨑濃さん

きっかけは、17年シーズンからスポーツ専門の定額制動画配信サービス「DAZN」で、Jリーグの全試合がライブ配信されるようになったことだ。その背景を、Jリーグ ブランド推進室 室長の川﨑濃さんは次のように話す。

「試合の視聴環境にスマートフォンやタブレットなどのデバイスが加わり、どうしても小さな画面では背番号がつぶれて見えるということが課題になりました。実際に過去5年分のマッチコミッショナーの報告書を調べると、4〜5チームの試合で背番号が見えづらいという訴えがありました。当時のJリーグは50チームぐらい。全体の1割でそういう事例が発生していたわけです。1割は少ないかもしれませんが、Jリーグのサッカーが競技であると同時に、エンターテインメントでもある以上、お客さまへのサービス向上を図らなければなりません。そこで、より視認性の高いネーム&ナンバーの導入というプロジェクトにつながったのです」

Jリーグ ブランド推進室 クリエイティブオフィサー 橋場貴宏さん

Jリーグ ブランド推進室
クリエイティブオフィサー
橋場貴宏さん

同クリエイティブオフィサーの橋場貴宏さんが補足する。

「私たちはJリーグを見ていただく方々に、サッカーを楽しんでいただきたいと願っています。そのうえで背番号は、選手を知り試合を楽しむための重要な役割を担っています。例えば、『今ゴールを決めたのは誰だ、ドリブルで切り込んでいったのは誰だ』と思ったときに、チェックするのはたいてい背番号です。そして、掲示板を見て背番号から選手の名前を知ることになる。選手を知る手がかりの背番号が視認しにくければ、選手を覚えてもらえないし、いいプレーをした選手が観客の印象に残らないのはとても残念なことです。ですので、背番号の視認性を上げることはJリーグの運営上、とても重要でした」

とはいえ、チームやサポーターの中には、伝統のある書体やクラブのアイデンティティーを示す色を変更することに否定的な意見もあった。しかし、オフィシャルネーム&ナンバーの採用について、チーム側が最終的に合意した糸口が「UCという考え方でした」と川﨑さんは振り返る。

「私たちには視認性の向上というミッションはあったものの、それをどういうコンセプトで色・デザインに落とし込めばよいのか、術を持っていませんでした。そこであるデザイン会社に相談していろいろと話し合う中で、UCというアイデアが浮上したのです」

「世界のサッカーリーグはどうか。調べてみるとイングランドは90年代からリーグ統一のネーム&ナンバーを使っており、スペインやフランス、アメリカなどでも導入済みでした。欧州サッカー連盟(UEFA)が主催する大会の規定には『背番号は、日光と照明の下で審判、実況・解説者、観戦者および視聴者が、最低でも50m離れた地点から明確に読み取れるものでなければならない』と明記されています。また、世界にはユニバーサルデザインフォント(UDF)が存在して、誤読が許されない医薬品の容器・添付文書や、瞬時の可読性が大切な道路の案内標識やカーナビの表示などに用いられています。知るほどに、Jリーグもこれに続かなければならないと思いました」(橋場さん)

こうして川﨑さん・橋場さんが組み立てたブランドコンセプトのもと、UCの概念と世界的な潮流、ネーム&ナンバー統一の導入理由をJリーグから関係各所に丁寧に説明し、全チームの賛同を得るに至ったという。

UCとクラブカラーを考慮して選ばれた5色

オフィシャルネーム&ナンバーで使用するのは白・黒・赤・青・黄の全5色。書体デザインはデンマーク政府のブランディングを担当するなど、UDFにも精通するコントラプンクト社が担当した。カーブキックからインスピレーションを得て作り上げた、美しいフォルムが印象的だ。この新しいネーム&ナンバーの中から、各チームがクラブカラーやユニフォームデザインに合う色を選択する。

5色になったのは、UCの観点と、クラブカラーとのマッチングを基準にしたからだ。決定プロセスは、過去3年間において全チーム・全ユニフォームのネーム&ナンバーで、どの色が多く使われていたのかを算出。白と黒が合計で全体の76.7%を占めており、次いで青系・赤・黄色となった。これらの色が、色彩学的にどの色と組み合わせても見やすい色といわれる「推奨色」に合致することから、まず5色に絞り込んだ。

ただし、5色といっても赤・青・黄色は明度、彩度に幅がある。例えば、赤なら真紅からエンジまで幅広く、赤を基調とするすべてのチームが違和感なく使える赤を選ぶ必要がある。そのため各チームカラーの中間色を抽出し、かつUC的にも総じて最適だと考えられる色を検証して、最終的なオフィシャル色を決定した。

ネーム&ナンバーの色、デザインが決まり、各チームが色を選択しただけでは終わらない。選択された色が、ユニフォームの生地色とのコントラストで見づらくないかを検証する作業が残っているからだ。

「最低でも3:1のコントラスト比を保つという基準を設けて、測定アプリでコントラスト比を数値化したり、区別しにくい色がある色覚特性の人の見え方を色覚シミュレーションアプリや擬似体験できるゴーグルを使用するなどして検証しました。また、実際にスタジアムではどう見えるのか、日照条件の違いや遠方視認性など子細に確認しました。コロナ禍でスタジアムの使用が制限され、思うようなテストができなかった部分は、デザイン会社に作っていただいた3DCGでのシミュレーションで補いました」(橋場さん)

カラー検討 プロセス

多様な色覚特性の中で「P型(1型)・D型(2型)」の割合は日本では男性の約20人に1人、女性の約500人に1人、日本全体では300万人以上いるとされています。欧米では男性の8~10%の割合になります。世界では2億人を超えると考えられており、その比率は血液型がAB型の男性の割合に匹敵します。
※P型(1型)色覚とは、人間の目の網膜にある3種類の錐体のうち、波長の長い(赤い)光を主に感じるL錐体の異常により起こる色覚特性のこと。またD型(2型)色覚とは、中程度の波長(緑)の光を主に感じるM錐体の異常により起こる色覚特性のこと。 ©Jリーグ

試行錯誤すること約2年。さまざまな苦労を乗り越えて今年2月、ようやくデビューした新ネーム&ナンバー。「今のところ視認性に関しては大きな問題はなさそうで、ファン・サポーターの皆さんからも一定の評価はいただけているようです」と川﨑さん。現在、マッチコミッショナーや審判、映像制作に携わる中継スタッフや、実況を担当するコメンタリーにアンケートを行い、結果を集計している最中という。

「Jリーグの公式サイトの色使いや書体、試合中継の画面に出てくる文字情報など、UCの視点で見渡せば改善すべきものはまだまだ多いと感じています。たくさんの方にJリーグを楽しんでいただくためにも、私たちは一つずつできるところから着手していこうと考えています」(川﨑さん)

「私たちの一歩が他のスポーツにも波及すれば、とても素晴らしいことです。UCのコンセプトが自然とスタンダードになっていく。そんな未来を願っています」(橋場さん)

今シーズンからJリーグで導入されたオフィシャルネーム&ナンバー。視認性に配慮したユニバーサルデザインを取り入れたオリジナルデザインだ ©Jリーグ

UCを知りたいなら「色彩検定UC級」

UCについてもっと知りたいと思った場合、どのような方法があるのか。理論的・体系的な知識を身につけたければ、検定試験を活用する手段もある。例えば、文部科学省後援の公的資格「色彩検定 UC級」。これは90年から色彩検定協会が実施してきた「色彩検定1〜3級」に、18年冬期から新設された検定だ。

もともと色彩検定1〜3級は、色の基礎から、配色技法(色の組み合わせ方)、専門分野における利用などを幅広く学習することで、感性や経験によらない色彩理論の土台を身に付けることができるとして、色に興味を持つ学生や一般社会人、ファッション・インテリア・グラフィック等の領域で活躍するプロまで、さまざまな人たちが受検している人気資格検定だ。これにUC級を加えた背景について、「公益に資する活動を行う公益社団法人の責務」だと前出の山中さんは話す。

「UC級では色が見えるしくみ、ユニバーサルデザイン、色覚の多様性、高齢者の見え方、配色における注意点や改善方法について学んでいただきます。区別しにくい色の組み合わせがある色覚特性の方や高齢者に色がどのように見えているか一人でも多くの方に理解していただけたらと思います。また検定をきっかけに、色覚の多様性に配慮した色使いができる人が増えることで、誰もが暮らしやすい社会の実現が前進することを切望しています」

UC級の知識を学ぶための公式テキストや過去問題集も用意されている。

特定の色の組み合わせを区別しづらい色覚特性を持つ人から見ると、格段と視認性が上がったことがわかるという ©Jリーグ

「テキストは単元の順番や内容は言うまでもなく、フォントや行間、図版の色の再現性など細部までわかりやすさ、見やすさにこだわりました。各単元はそれぞれの専門家に執筆を依頼していますが、書き手によって表現に違いが出るので、協会側で統一感のある文章にリライトするなど工夫しています」

色彩検定の受検者は女性が約7割だが「男性にもUCを学び、受検にチャレンジしていただきたい」と山中さん。特定の色の組み合わせを区別しづらい色覚特性の人は男性に多いということもあるが、色を扱う専門職の人はもちろん、商品販促のための資料づくりやプレゼンテーションなど、一般的なビジネスパーソンでもUCの知識を生かせるシーンが数多くあるからだ。

色彩検定UC級は毎年6月と11月に実施。詳細は以下で確認してみよう。

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色のユニバーサルデザインが気になったら「色彩検定UC級」にチャレンジ!

色覚の多様性に関する知識を深める、色彩検定協会の「色彩検定UC級」。試験は毎年6月と11月に実施される。詳細は色彩検定協会のホームページを確認してみよう。色彩検定UC級の概要はこちらまで。

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