precog(プリコグ)代表取締役・中村茜さんと映画監督・牧原依里さん

バリアフリーと多言語の新しいオンライン型劇場 ワンクリックで未知の世界が開幕!

〈PR〉

今年2月、オンライン型劇場「THEATRE for ALL(シアターフォーオール。TfA)」が誕生した。日本初の試みを盛り込むこの劇場について、TfAを運営する株式会社precog(プリコグ)代表取締役•中村茜さんと配信作品制作に携わるろう者の映画作家•牧原依里さんに話を聞いた。

文/小林由佳 撮影/松崎浩之(INTO THE LIGHT) デザイン/弾デザイン事務所 企画制作/AERA dot. ADセクション

オンライン鑑賞できる作品にはどんなものがあるのでしょう。

中村宮沢氷魚さん主演の「ボクの穴、彼の穴。」や、今年読売文学賞を受賞した岡田利規さん主宰チェルフィッチュの「消しゴム山」などの現代演劇をはじめ、タイのマンガ家ウィスット ポンニミットさんのアニメや、現代美術家の毛利悠子さんのインスタレーション作品など、国内外で活躍するアーティストの作品が揃います。映画館・別府ブルーバード劇場の作品や、全町避難となった福島の街に一人暮らす姿を追う社会派ドキュメンタリー、川田十夢さん率いるAR三兄弟の新作などもあります。

牧原著名なメディアクリエイターからも、“eラーニングが進む今だからこそTfAのようなプラットフォームで発信したい”とリクエストがあったそうですね。

だれでも、いつでも、どこからでも。ひとりひとりが繋がれる“劇場”
THEATRE for ALLとは・・・

演劇・ダンス・映画・メディア芸術などを、多言語翻訳やバリアフリー対応などアクセシビリティーの高いプラットフォームで展開するオンライン劇場。解説動画や鑑賞前後のワークショップなどラーニングプログラムも充実。4/25(日)13:00-15:00 アーダコーダと語り合う哲学対話(手話通訳あり)実施予定。

中村茜さん 中村茜さん

アクセシビリティーの種類は?

中村情報保障としては、音声ガイド、バリアフリー日本語の字幕や多言語翻訳、手話などです。バリアフリー日本語とは、主にろう者の方向けに、話者が誰かとか、音楽や効果音などの音情報を文字にした字幕です。かんたん日本語字幕というのもあり、そちらは、小学校低学年程度の国語力で理解できる日本語を用いた字幕で、知的障がいがある人、日本語に不慣れな人、子どもなどに対応します。多言語翻訳は英語、タイ語、中国語、韓国語やポルトガル語など。アクセシビリティーとしてはタイ語アニメではタイ語独特のイントネーションや音楽などの音情報を「波状」として視覚情報に変換してろう者がイメージしやすいようにしたり、ほぼ全作品に解説動画を付けたりなど、芸術鑑賞初心者にも役立ちます。

芸術鑑賞における障壁は、障がいだけでなく、誰にでもあると?

中村そうですね。子育てや介護、コロナ禍で外出を控えている、遠方に住んでいて劇場に行けない、など、芸術鑑賞が難しい環境にいる人は沢山います。そして“芸術はわからない”と敬遠する人もいらっしゃいます。TfAはこれらすべてを芸術に対するハードルと考えます。そこで芸術を学びの体験に変換する「ラーニング」というサービスも提供しています。アーティストや学者が、噛み砕いた言葉で作品を語る解説動画をはじめ、アーティストの表現に直接触れるワークショップや感想シェア会、哲学対話など対話型ワークショップもあります。
TfAは「だれでも、いつでも、どこからでも。ひとりひとりが繋がれる“劇場”」というコンセプトを設けており、とくに「繋がる」ことはとても大切だと考えています。作品を観て終わりではなく、対話や表現の場に直接触れ、他の人と考えや発想を共有することで、芸術鑑賞という体験がより充実するのではないでしょうか。オンラインで地域や世代を超えた“繋がり”も生まれています。

牧原依里さん 牧原依里さん
『没入型映像 イマージュ』

「没入型映像 イマージュ」(主催:異言語Lab. 監督:渡辺俊介)は、さまざまな環世界を持つ人たちへのインタビューを元に作り上げた映像作品。日常生活を過ごす「私」の視点(=環世界)を実験的手法で描く。

※環世界/ユクスキュル(1864~1944)が提唱。全ての生物は自分自身が持つ知覚によってのみ世界を理解し、世界は客観的な環境ではなく、生物各々が主体的に構築する独自の世界であるという考え方。

芸術鑑賞を通じたコミュニケーションの多様性にどんな期待を抱きますか?

牧原芸術に特化し、さまざまな背景をもつ人同士が作品に関して意見交換できるTfAのプラットフォームには、今まで知り得なかった考え方や視点の発見があります。たとえば今回私が制作に関わった「没入型映像 イマージュ」は、ろう者、全盲者、健常者が制作に携わり、各々の世界観を織り交ぜて展開するために、互いの感覚や物事の捉え方を理解する作業を繰り返しました。たとえばろう者には色の情報も重要ですが、全盲者はそうではない。健常者は視覚と聴覚両方で情報処理している。同じ世界に住んでいても物事の感覚はまったく違うんです。考えを共有する作業では、面白さと同時に違和感も覚えます。その違和感を深掘りすると、育った環境や身体感覚が礎になっていることが分かる。同じコミュニティーや身体性、文化性の共通性と相違がわかり、その感覚は他の世界に共有できるのか、そしてそのコミュニティーと「個人」の境目はどこにあるのか。その議論がとても面白く刺激的でした。
「イマージュ」はアクセシビリティーの表現も作品の一つに取り入れている作品で、音声ガイドを状況説明ではなく「私の意識」として生かし、字幕も男女でフォントを変え、動作音を表す字幕も「(カップを置く音)」ではなく、オノマトペで表す。携帯電話の着信は波状のテロップで視覚化しており、あるシーンで画面に同じリズムの波状が続き、これはなんだろうと思っていると次に電話を取るシーンになる。これで先程の波状は携帯電話の着信を表していたのだと気づくといったように、その世界の感覚を他の世界に共有する方法の一つとして、アクセシビリティーの可能性に挑戦しています。

TfAで作品画面を開くと、言語のアクセシビリティー選択のほか、作品情報、アーティストや製作者からのメッセージが閲覧できる。

TfAで作品画面を開くと、言語のアクセシビリティー選択のほか、作品情報、アーティストや製作者からのメッセージが閲覧できる。

あなたも参加してみませんか

THEATRE for ALL LAB メンバー募集! THEATRE for ALL LAB「劇場をつくるラボ」プロジェクト!

健常者も視覚化された情報を読み解く楽しみがありますね。

中村そうですね。さらに、たとえば視覚に障がいがある方の中でも、見えにくい・まったく見えない・後天的に見えなくなった、では想像力の働かせ方が異なり、どのような情報保障を施すのかは常に悩ましいことです。できるだけ多くの方が芸術に触れられるよう、運営・制作側は“鑑賞の入り口”の多様性を模索しています。

芸術を共有するコミュニケーションの場は、子どもの教育にも期待できます。

牧原TfAが自分の幼少期にあったら、もっと早く芸術に触れられたと思います。親が芸術に関心が高ければ、子どもも影響を受けるのではないでしょうか。

中村以前、子ども対象の演劇ワークショップを行い、そこでは手話通訳を利用して聴覚に障がいがあるお子さんも参加されました。演劇というと難しそうに聞こえますが、子どもの柔軟な思考力は抽象的な演技のメソッドにもすぐに反応して、アーティストの参考にもなる表現が生まれました。子どものような従来の価値観に縛られない“開かれた感覚”はワークショップを運営する側にとっても大切なことなので、TfAはワークショップ運営者のための「ファシリテータースクール」も開講しています。参加者は学生や教育者、ビジネスパーソンなどさまざまです。

目の見えない人と「会話」で楽しむ、美術鑑賞ワークショップ

目の見えない人と「会話」で楽しむ、美術鑑賞ワークショップ

『目の見えない人と「会話」で楽しむ、美術鑑賞ワークショップ』(開催終了)は、全盲でありながら20年以上美術鑑賞を続ける白鳥建二さんと、東京都現代美術館の鳥居茜さんをナビゲーターに、「会話」による美術鑑賞を体験。

くわしく見る
チェルフィッチュオンラインワークショップ「チェルフィッチュといっしょに半透明になってみよう」

チェルフィッチュオンラインワークショップ
「チェルフィッチュといっしょに半透明になってみよう」

演劇カンパニー・チェルフィッチュの俳優たちから「半透明になる」演技メソッドを教わるオンライン・ワークショップ『チェルフィッチュといっしょに半透明になってみよう』。子どもたちは半透明になることで人間とモノとの関係の変化を模索する。

くわしく見る

今までにないアクセシビリティーの高さは、
多くの人にとって学びとなりそうです。

牧原このプラットフォームが構築されたこれからは、マイノリティー・マジョリティー関係なく“みんな”が楽しむ、それが当たり前の時代になってほしいと思います。

中村自宅、病院、海外でも視聴できるこのオンライン劇場をきっかけに、もっと芸術鑑賞を日常化してもらい、芸術を介して視野が広がるようなコミュニケーションが生まれるきっかけを増やしていけたらと思っています。

あなたも参加してみませんか

THEATRE for ALL LAB メンバー募集! THEATRE for ALL LAB「劇場をつくるラボ」プロジェクト!
くわしくはこちらから

提供:株式会社precog