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心と心の距離を限りなくゼロに!教育から見える未来のカタチ

京都橘大学は、今春、工学部(情報工学科・建築デザイン学科)、経済学部、経営学部の3学部4学科を新設する。
社会的な「距離」が必要な時だからこそ、心と心の距離は“密”に―。
京都橘大学が教育を通して描く、未来の形とは。

文/松田明子 イラスト/カヤヒロヤ 写真提供/京都橘大学、LINE株式会社 デザイン/スープアップデザインズ 企画・制作/AERA dot. AD セクション

みんなの「距離」を乗り越える AI時代の“学び”の未来予想図 座談会

MEMBER
写真 LINE株式会社 執行役員 江口清貴氏

2012年LINE入社。18年から現職。CSR(企業の社会的責任)活動などを推進する公共政策室室長、LINEみらい財団の理事も務める

写真 京都橘大学 経済学部長就任予定 髙山一夫教授

京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。京都大学博士(経済学)。主にアメリカの医療政策と医療産業を研究

写真 京都橘大学 工学部長就任予定 東野輝夫教授

大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程修了(工学博士)。IoTやAIを活用した行動認識技術やスマート社会構築技術などを研究

物理的な「距離」が意識される今だからこそ、さらに進化した社会、そして学びの姿を創っていくことについて考えたい。
LINE株式会社の江口清貴氏と、京都橘大学の東野輝夫教授、同・髙山一夫教授に、今後の社会の「未来予想図」を描いてもらった。

人と人、人と社会との距離が限りなくゼロに近づく

人と人、人と情報、
人とサービスの距離を近づける

―LINE株式会社は「CLOSING THE DISTANCE(距離を近づける)」という企業理念を掲げています。特に「距離」が意識されるであろう今後の社会において、どのような取り組みを考えておられますか。

江口清貴氏(以下、江口) LINEの企業取り組みは、人と人、そして人と情報との距離を縮めるという理念に沿って展開されています。もともとLINEというアプリは、2011年の東日本大震災の際に、人々がなかなか連絡をとり合えない状況を見て、簡易にコミュニケーションをとれる施策を考えるところからスタートしました。

東野輝夫教授(以下、東野) 2018年に発生した北海道胆振東部地震に伴う大規模停電の際にも、LINEに代表されるSNSが大きな力を発揮し、家族の安否確認や社会の情報伝達に貢献しました。災害の頻発する日本において、人々がどのような状況下でも、必要な情報を的確に収集・伝達できることの意味は大きい。持続可能な社会を実現する上でも、大きな役割を果たすでしょう。私自身も最近、コロナ禍ということもあり、友人知人とのLINEグループで近況や対策などの情報共有をするようになりました。よい意味で“距離”が縮まっていると感じます。

髙山一夫教授(以下、髙山) 今はなかなか人と会えませんが、人間は社会化された存在ですから、やはり幸福の基礎には人とのつながりがあると思います。

江口 人と人をつなぐことをベースに、例えばLINEで気軽に株式投資に参加できるなど、そのジャンルのハードルを下げることで、人とサービスをつなぐということも、今後さらに注力していきたい分野です。

※「LINE」はLINE株式会社の商標または登録商標です。

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自分が必要とする人・モノ・サービスの全てにつながる「スマートポータル」の姿。メッセージ機能を入り口に、動画や音楽、ニュースなどのコンテンツ、さらに決済や投資などの生活関連のサービスにつながる

教育サポート、行政、医療…すべてのサービスが手のひらの上で完結する

ビッグデータの活用で「QOL」が上がる

―今後、ビッグデータはどのように活用されていくのでしょう。

江口 巨大なシステムやビッグデータは、ほぼ全ての人たちがアクセスできるようになって初めて、本当の意味を持つと思います。昨年、厚生労働省による、LINEを通じた「新型コロナ対策のための全国調査」が行われました。調査の際には、日本全国のLINEのユーザー約8300万人(当時)に一斉にメッセージを送り、2日間で約2500万の回答を得ました。こういった取り組みが当たり前になっていくのが、今後の社会だと思っています。

髙山 今後ビッグデータの活用が進めば、モノやサービスを必要な人に必要なだけ、提供することができるようになります。様々なニーズがきめ細かく充足されることで、QOL(Quality Of Life/生活の質)の向上も予想されます。

東野 教育面での活用が進むと、例えば学生向けのさまざまなサービスがアプリなどに集約され、スマホひとつで完結するようになるため、学生の利便性が向上しますね。また、学生の様々な情報をつなげて分析することで、学修面でも生活面でも、効果的な支援をすることができると期待できます。

ITが「見守り」の役割を担うことで
未病の早期発見をめざす

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スマホなどのデバイス一つで、簡単に行政や医療、教育の分野とつながる。自分によりフィットした情報やサービスを受けられる

江口 同じく行政と共同での取り組みとしては、神奈川県のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進にも関わっています。これも、行政と住民との「距離を縮める」ことを目的に、行政手続きのオンライン化や、AIを活用しての健康管理支援、健康と病気の間である“未病”を防ぐシステム構築などに取り組んでいます。また、神奈川県が提供する、生活習慣を改善して未病を防ぐシステムは、LINEの公式アカウント「ME-BYO online」との提携で、ユーザー数が大幅に伸びました。

東野 例えばスマートウォッチに蓄積された日々のデータと、月に一度の医師による定期健診を連携することで、より質の高い医療につながる可能性もあります。未病や慢性疾患などに関わる医療におけるITは、まずは「見守り」の側面を強めていくことが大切だと思います。

別々だった学びの世界が融合する!?創造&課題解決のスピードがアップ!

情報リテラシーとプログラミング教育を結び
新たな学びの芽を育てる

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主に幼児~小学生を対象にした教育財団。自分でプログラムを書いて命令実行する、その楽しさを体験してもらいたいという思いから、「プログラミング教育」の事業も展開する

―「LINEみらい財団」では、子どもたちへのプログラミング教育にも力を入れていますね。

江口 2012年ごろから、スマホの急激な普及を背景に、子どもたちの間で「LINEいじめ」や、LINEの長時間利用といった問題が起きました。そのため同年から、情報リテラシーの教育を日本全国で展開しています。スマホとのかかわり方を自発的に考えて、対処できる子どもを育てたいと考えています。その流れで、新たに2019年から、プログラミング教育にも着手しました。

東野 幼少期からAIにふれることが当たり前になった今、子どもたちに情報リテラシーやその活用法を自発的に考えさせる取り組みは、とても重要ですね。小中学校におけるICT(情報通信技術)活用も、今後さらに進むことで、子どもたちの創造力や課題解決能力の向上も期待できるでしょう。

バーチャルとリアルを融合した学びが
ニュースタンダードに

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京都橘大学では受験生向けに、マイクロソフトが発売する最新技術「HoloLens2(ホロレンズ2)」を用いた、MRの体験会を開催。バーチャルと現実が融合した未来の講義体験「FUTURE CLASS」を実施した

―オンライン授業など、今後の学びの形はどうなるのでしょう。

髙山 今後の大学では、大規模授業を中心に、オンライン授業や、オンラインと対面授業との併用(ハイブリッド)が継続するでしょう。個人的な経験としては、大教室での大規模授業と比べて、オンライン授業の方が、むしろ学生個々の指導や評価をきめ細かく行うことができました。学生同士の横のつながりという点ではまだまだ課題はありますが、そのあたりはSNSの活用でもフォローできそうです。

江口 人と人とのコミュニケーションの仕組み自体が、以前とはかなり変わりましたよね。特にLINEのようなコミュニケーションツール上では、「お疲れ様です」「よろしくお願いします」などの枕詞や締めの言葉がなくなり、よりオーラルコミュニケーションに近くなったイメージです。それに伴い、コミュニケーションのテンポも、飛躍的に上がったのではないでしょうか。

髙山 私自身も、教室以外での学生とのやりとりは、LINEを活用しています。ITやコミュニケーションツールの活用で、より学習効果を高められると思っています。

東野 2020年度のオープンキャンパスでは、MR(Mixed Reality/複合現実)技術を使った、未来の授業体験会を実施しました。技術の活用で、距離や言語を越えた学びが進み、創造性も高まっていくでしょう。

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講義のアーカイブ化
あらかじめ収録された授業内容を閲覧しながら、エアータブレットを使って記入したメモを、授業内容と一緒に自分のアドレスにも簡単に送ることができる

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質の高いオンラインワークス
ワーク状況をリアルタイムにオンラインで共有。離れている友人とも、同じ環境でディスカッションできる

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講義の質を向上
3Dホログラムや動画などを使って、リアルな学び、より深く重層的な理解を促す

新設学部でめざす
学部・専門を越えたクロスオーバーな学び

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京都橘大学の新設3学部における「クロスオーバー型課題解決プロジェクト」の科目では、企業・行政などから実際に依頼された課題に、3学部合同で取り組み、各分野の専門知識を交えて新たな価値を創造していく

―京都橘大学は、2021年に新たに3学部4学科を開設します。新学部設置の経緯と、その目的を教えてください。

東野 スマート社会や持続可能な社会を構築する上で、AIやビッグデータ、IoT(全てのモノをインターネットにつなぐ)などの最新の情報技術を利用することが求められています。また、スマート社会の実現には、従来型の建築学のみならず、最新の建築・環境デザイン学や情報技術を融合していくことが重要です。京都橘大学では、情報工学科と建築デザイン学科の2学科からなる工学部を設置することで、社会のニーズに沿った学生を育成しようと考えています。

髙山 新設の経済学部・経営学部では、データサイエンスをはじめ、新しいアプローチから経済学・経営学を学ぶことができます。また、工学部および経営学部とのクロスオーバー(分野横断型)な学びも重視しています。三つの学部の学生が集うことで、社会と技術をつなぐアイデアがいろいろと案出されることを期待します。

江口 人が社会で生き抜く基礎をつくるために、大学時代はとても重要だと感じています。いろいろな専門の教員や学生がいて、すぐにその人たちと話ができ、調べたいことがあればすぐ図書館にアクセスできる。学生にはこの環境を存分に生かして学び、学生生活を楽しんでほしい。そしてそういった学びを促す大学が、今後はさらに強くなるのではないでしょうか。

予測不能な時代を生き抜くための
“全てを好きになる”技術

―今後の社会と教育は、どのように変化していくでしょうか。

江口 コロナ禍で、今までの常識が通用しないことが日々起きています。今後の数年間は、歴史的に例えると明治維新と同じくらい、国内の仕組みが大きく変わる、まさに“動乱”の時代。これからは、そういった状況下でどう立ち振る舞えるかが重要になっていくと思います。中でも大切だと思うスキルは、「どんなことでも好きなものにしていく技術」。大学を卒業した全員が、社会に出て好きなことをやり続けることは非常に難しい。けれども、どんなことでも突き詰めていくと、面白い要素が必ずある。そういうものを見つけ出し、興味がない分野にも「好き」を広げていくことが必要なのではないでしょうか。

髙山 SNSでコミュニケーション自体は手軽になりましたが、日ごろ使用するボキャブラリーの低下も懸念されます。まずは本をしっかり読み、基本の思考力・語彙力を鍛えてもらいたい。新学部では、教養教育にも力を入れ、主体的に学び続ける意欲や態度、これからの社会に必要な情報処理力や言語力などを養います。

東野 学生の皆さんが持つ好奇心は無限の広がりを持ち、新たなイノベーション創出の可能性があります。また、暗記型の知識は、すぐ検索できる時代。自分の信念を持ち、意見をしっかりと言える若者が育つといいですね。

 COLUMN

KEYWORDS IN THE AGE OF AI 

知ってるようで知らない AI時代のKEYWORDS

意外と理解が追いついていない人も多いのでは!?
未来社会を描くためのキーとなる二つの概念について、京都橘大学の髙山教授と東野教授に読み解いてもらった。

デジタル・トランスフォーメーション デジタル技術で製品・サービスと人との距離が縮まる

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ビッグデータやデジタル技術を活用し、ニーズに合わせて社会の仕組みを変革していく。近年は、大英博物館もバーチャル観覧が可能に。観光業での活用も期待される

―デジタル・トランスフォーメーション(DX)とは、どういった概念なのでしょう。

髙山 端的に言えば、デジタル技術の活用によって、社会に変革を起こすこと。経済活動におけるDXは、コロナ禍と政策的な後押しによって、今後も加速していくでしょう。

―具体的な事例について教えてください。

髙山 例えば、コロナ禍により、いまも大変厳しい状況にある観光業。そうした中、VR(Virtual Reality/仮想現実)技術を活用したオンライン/バーチャル・ツアーやオンライン宿泊、美術館・博物館などによる展示物の動画配信など、距離を技術で縮める、新しい形も生まれています。
 また、防災も特にDXが期待される分野です。日本は自然災害が多い国。これからは、スマホを活用した防災状況や自治体からの指示の迅速な共有、あるいはGPS機能を使った逃げ遅れた住民のチェックなどが求められています。また、防災においては、予測と事前の対策がきわめて重要。日頃から様々なデータを収集・解析し、予兆があれば速やかに通知するシステムを、AIも活用しつつ構築することが望まれます。

髙山教授の視点

「どこでもMY病院」で健康管理のサポートが手軽に

 アメリカやフランスでは、電子化された個人医療記録の普及に力を入れています。
 例えばフランスでは、2006年から個人医療記録システムが稼働しており、処方情報や受診履歴、放射線検査履歴、入院歴、検査結果データなどがインターネットを介して登録・閲覧できるようです。この情報には、患者だけでなく医療機関もアクセスできますが、患者は自身のデータへのアクセスログが閲覧できるため、プライバシーが守られるそうです。
 これらの国々の取り組みを参考に、日本でも「どこでもMY病院」が構想されています。国民の健康管理のサポート、医療の質の向上、それに伴うIT産業の創出が期待されているところです。

Society5.0社会 仮想空間と現実空間の融合が加速する!

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Society 5.0あるいは超スマート社会。狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、5番目の新しい社会のこと

―「Society 5.0」とは、どういった社会なのでしょうか。

東野 経済発展と社会的課題の解決を両立する、新たな未来社会の姿です。現実空間で得た様々な情報を、仮想空間でAIやビッグデータを介して解析、新たな知見を創出します。そしてそれらの知見を現実にフィードバックするという構想です。

―日本政府が提唱する、未来社会のコンセプトですね。構想の背景を教えてください。

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現実空間と仮想空間(デジタル空間)との情報共有がシームレスに行われ、必要な情報が必要な時に提供される。課題解決のスピードが大きく加速する

東野 数年前に、ディープラーニング(深層学習)と呼ばれる新たな機械学習の仕組みが考案され、それ以降、AIやビッグデータ分析技術が大幅に進展しました。それらの技術を情報処理のみならず、社会の様々な経済活動や教育、医療、都市計画などの分野に応用しようということです。

―世界中でスマート社会構築に向け、研究開発が進んでいます。

東野 日本でも、大手企業によるスマートシティーの開発が始まりました。自動運転を通した交通・物流の効率化、クリーンエネルギーの利用推進によるカーボンフリーな社会の実現、高齢者の見守りや限界集落の再生など、様々な社会問題を変革し、持続可能な社会へ転換するための取り組みが行われています。

東野教授の視点

Beyond 5Gビヨンド ファイブジー」が社会のスマート化の一助に

 現在、通信速度や伝送遅延改善の点で「5G」をも遥かに凌駕する「Beyond 5G」の研究が行われています。実現すれば、デジタル空間と現実空間がシームレスになり、様々な位置依存のサービスが享受できるようになると予想されます。例えば今は、自身で自分の位置に近いおいしいお店の情報などを検索していますが、その場にいるだけで情報にアクセスできるように。さらに、情報を身近な人と共有することや、自動運転への反映も容易になる可能性があります。
 こういった最新の技術とLINEなどのSNSを融合すれば、新たな観光サービスなども実現できるのではないかと感じています。

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