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新しい時代を見据えて 多様化する医師の在り方 人を笑顔にしたい その気持ちは変わりません

週刊朝日MOOK
『医者と医学部がわかる2021』より抜粋

イメージ 医師 × お笑い芸人

医師としての知識や資格を病院の外でも生かし、
活躍するケースが増えてきている。
新しい医師の在り方やキャリアを考え、前進し続ける2人の医師を追う。

しゅんしゅんクリニックP

お笑いタレント兼医師。2008年群馬大学医学部卒。吉本総合芸能学院(NSC)東京校16期卒業。テレビ、舞台、YouTubeなどで活動する傍ら、臨床現場にも携わる。著書に『しゅんPの病院あるある』(マキノ出版)。

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 歌とダンスに合わせて「医者あるある」ネタを披露する芸人、しゅんしゅんクリニックPさん(通称しゅんPさん)。「ヘイヘイドクター、ヘイドクター♪」のフレーズとブルーのスクラブ姿は、今やすっかりおなじみだが、念のために言っておくと、しゅんPさんは単なる「医療ネタを演じる芸人」ではない。医学部を卒業し医師免許を取得した、正真正銘の「医師」である。2019年、学園祭に出演した本数は、吉本興業の所属芸人中で第1位だった。

「医療系の学校がたくさん呼んでくださったおかげです。絶対に爆笑が起こるのは、医学部生だけが知っている『あるあるネタ』。誰もが内心感じているだろうな、と思うことをネタにしています」

 だが20年は新型コロナウイルス感染症の影響で状況が一変。前年は芸人と医師の仕事が半々だったが、舞台の中止などが相次ぎ芸人としての活動が難しい一年だった。現在は主に知人が経営するクリニックで内科などの診察にあたっている。

芸を磨き競い合う笑いの世界に憧れた

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代表ネタ「ヘイヘイドクター」はほかに看護師、薬剤師バージョンなどもあり、医療従事者から好評。アジアの子どもを支援する「ジャパンハート」とコラボし、カンボジアの病院で披露したことも

「医師としての仕事が全体の8割くらい。もはや医師芸人じゃなくて、普通に医師です(笑)。でも、今はそれでいいかな、と。ネタ作りにもじっくり取り組めるし、医師の仕事を増やすことで経験も積める。芸人としても医師としても、ステップアップするつもりでがんばっています」

 父が精神科医という環境で育ち、幼い頃から「将来は自分も医師になるのかな」と感じていた。母も看護師と聞き、代々医師の家系かと思いきや、そうではないらしい。

「父はもともと会社員で、30代で医学部に入り直しました。母が看護学校に入ったのは、40代半ばのとき。ぼくの大学入学とほぼ同時期です」

 受験勉強は家庭教師と塾の二本立てで取り組んだ。本人は「運が良かっただけ」と謙遜するが、通っていた県立高校から現役で国立大学医学部に合格した生徒はしゅんPさんが初だったという。

 中学時代からお笑い番組などはよく見ていたが、芸人の魅力にハマったのは大学時代。お笑い好きだった、当時の彼女の影響だった。

「『M―1グランプリ』や『爆笑オンエアバトル』などの番組を見るうちに、芸人という職業に憧れを抱くようになったんです。ストイックに芸を磨き、競い合う姿を見て、ぼくもこの世界に入りたいって思うようになりました」

何げない会話で築く患者とのいい関係

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都内近郊クリニックで外来を担当。病気や体の仕組みについてわかりやすく解説するYouTube 動画もアップしている
※YouTubeは、Google LLC の商標です。

 大学を卒業して2年間の初期研修を終えた後、吉本興業の養成所である「NSC東京校」に入学。在学中に同期とのコンビ「フレミング」を結成し、首席で卒業したが、5年後に解散。医療系のネタを扱うようになったのは、ピン芸人になってからだ。

 芸人の世界では、どんなに才能があっても売れるまでに10年かかるのは当たり前。「医師も、研修医時代から10年以上かけてやっと一人前になる。時間がかかるという点は同じ」と、しゅんPさん。医師としての収入があるため、下積み時代にも生活に困ったことはない。冗談で「芸人として売れなかったら、最悪、医者になるわ」と言うと、「どこが最悪や!」「それ、最高だろ!」とツッコミが入る。

 医師の仕事の中で、芸人としての経験が生きることもある。例えば、ネタやYou Tube動画の中で医療用語を分かりやすく説明するときの工夫は、患者とのやり取りに役立つ。

「芸人になって多くの人と出会い、視野も広がりました。患者さんは年齢も性格もさまざまですが、どんな人とも気負わずにコミュニケーションが取れるし、なんてことない話をしながら普段の生活の様子を把握することもできる。会話を通じていい関係を築くことは医師にとってはもちろん、患者さんの健康面にもいい影響があると思います。芸人は人を笑わせるのが仕事ですが、医師も患者さんを治して笑顔にするのが仕事。これは共通点だと思っています」

 最近、SNSを通じて「自分も芸人になりたかった」という医師からメッセージをもらった。あるときは「医師にもいろいろな人がいていい。しゅんPさんの存在が希望になっている」というメッセージをもらい、「芸人になって良かった」としみじみ感じた。

「いつかは医療番組のMCにも挑戦してみたい。将来は、医師仲間と『しゅんしゅんクリニック』を開業する、なんていう可能性もあるかもしれません。若手の芸人をアルバイトで雇って待合室の一角にネタを披露するコーナーを作って……って、そんな設定のコントも面白そうですね。やってみようかな?」

 今年はデビュー10周年の節目の年。さらなる飛躍に注目したい。

しゅんしゅんクリニックPさんが考える
これからの時代の新しい医師像

医学生が医学以外のことに興味を持ったっていいし、思い切ってそっちに飛び込んでもいい。これからの時代、医師もできるだけ外の世界に多く触れておくべきだと、ぼくは思います。ただし、何をやるにしても、医師免許は絶対に取っておきましょう。収入面での支えにもなるし、医学の知識はほかの仕事に就く上でも、必ず役立ちます。

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取材・文/木下昌子 撮影/小黒冴夏(写真部) デザイン/スープアップデザインズ
企画・制作/AERA dot. ADセクション