COVID-19 Real Interview1
罹患し、完治した
人間のリアル
庄司智春さん
(品川庄司)
COVID-19 Real Interview1
罹患し、完治した
人間のリアル
庄司智春さん
(品川庄司)
僕だって「ただの風邪」で終わってほしかった
2020年8月、新型コロナウイルスに感染し、入院していたお笑いコンビ「品川庄司」の庄司智春さん。現在は仕事にも復帰し、日課の筋トレができるまでに「99%は回復した」(庄司さん)。しかし、コロナ
「胸に響くような、あやしい
- 自宅に居ながら
家族と会えない -
「数日前、京都で炎天下の中、冷たい川に潜って、オオサンショウウオを探す仕事をしたんです。最初は川で冷えたせいで風邪をひいたのかと思っていましたが、違いました。38度を超えた体温を見て、すぐ保健所に電話をして症状を伝え、PCR検査をすることに」
自宅で待機している間は入浴もせず、着衣やゴミは妻が用意してくれた色付きのビニール袋に密閉。家族との連絡も、電話やメールのみ。
「それでも、やっぱり家族の顔が見たくなって。マスクにフェイスシールドで完全武装して、部屋の隅と隅で距離を置きながら話しました」
〝コロナになると大変そうだ〟ということはわかっている小学3年生の長男、あまり深刻に受け止めきれない5歳の長女、まだ何もわからない0歳の次女。少しだけでも顔を合わせられたのが何よりの救いだった。
PCR検査の翌日に「陽性」という連絡を受けた当初は「〝ついに来たな~!? 相手してやる!〟というような、変なアドレナリンが一瞬だけ出ました」と庄司さん。
でも、そんな気合や意気込みは症状悪化ですぐにへし折られ、打ちのめされてしまった。
- 症状よりも
心理面がつらい -
「症状もつらかったですが、どちらかというとメンタルのほうをやられたと思います。仕事仲間に迷惑をかけている心苦しさ。生活が一変してしまった家族にもごめんなさい。コロナ罹患を公表したとき、その前に僕と接触した人に『私、大丈夫かな』と思わせちゃったよな、不安にさせて申し訳ない……。考えるほどにつらくなりました」
確かに〝うつす、うつされる〟ということにこれほど神経質になる病気はないだろう。コロナの症状自体は5日で収まったものの、その後も血中酸素濃度の低下や血栓ができやすい状況が見られ、安心はできなかった。
ようやく2週間後にPCR検査で2度目の陰性となり、晴れて退院した庄司さんだが、体力面でもメンタル面でも「へこむ時期」は続いた。

- コロナ後遺症と
予防への想い -
「退院後も肺の痛みでうずくまってしまうことがあったので、再度、CTスキャンをとりました。強い咳をしたことで肺に炎症が出ていたようです。痛みは長引きました」
回復後しばらくは、これまでならすぐに「やります!」と前のめりになる仕事も「今はテンションをマックスまで上げられないので、受けたら迷惑をかけるかもしれない」と泣く泣く断る局面があった。妻の藤本美貴さんも陰性ではあったが濃厚接触者になったことで2週間、仕事ができなくなり、頭を下げた。
「金銭面でも不安はありましたが、加入していた入院保険の保険金が下りたので、ちょっぴりですが安心できました。それよりもやはり気持ちの面が……。退院後もさまざまなことを考えました。コンビニで買い物をしているときなどに視線を感じると、『俺のこと、コロナになった人だ~とか思っているのかな』と気にしたり。考えても仕方ないんですけどね」
マスクや手洗いをしていたのに罹患した場合、その人を責めることはできないのだが、やはり自分がなってみると自責の念にとらわれてしまう。
退院後にはネットやSNSを通じて「ただの風邪でしょ」などの心ないコメントも届いた。
「僕だって『ただの風邪』で終わってほしかった。でもコロナは絶対に『ただの風邪』じゃありません。PCR検査の結果を待っている間も、治療中も、退院した後も、体とともに心まで元気がなくなります。自分のことだけど、自分のことだけじゃない病気。それが僕にとってのコロナです」
というリアルな言葉が印象的だった。
コロナは体と心の両方がつらい。
ならない備え、なった時の備えを。
-
- 庄司智春 Tomoharu Shoji 1976年1月1日生まれの45歳、東京都大田区出身。1995年に漫才コンビ「品川庄司」を結成。タレントで歌手の藤本美貴さん、長男、長女、次女の5人家族。

