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AERA MONEY GUIDE 2020冬 ビジネスパーソンのための資産考察ガイド

文 / 田中 弘美 イラストレーション / フジモト・ヒデト デザイン / 舗伊 朝太郎 企画・制作 / AERA dot.AD セクション


遺贈・寄付編 人生最後の思いを財産に託す遺贈は次世代へのプレゼント

友人への遺贈という思いをもっと広げる

 終活セミナーの講師や相談業務を行うなかで畠中さんが最近感じるのは、自分の大切な友だちに自分の財産の一部を渡したいという人が増えてきているということだ。とくにコツコツ貯めてきたお金を、自分より長く生きる友だちに使ってもらいたいという女性が多いという。
 この場合、法定相続人以外の第三者に財産をあげる「遺贈」になるため、かかる相続税は2割加算される。しかし「遺贈によって財産を受け取る側(受遺者)はお金だけではなく、亡くなった友人(遺贈者)の最後の優しさに触れることができ、温かい気持ちになれるのではないかと思います」と畠中さん。「将来的に遺贈を考えるならば、さらにその優しい気持ちを捧げる対象を身近な友人というところから、例えば紛争、災害、貧困、医療などへの支援活動を行う団体などに広げてみてはいかがでしょうか。人生の最後に社会貢献という形で使い残した財産を贈るというのも、またひとつの優しさの表れだと思います」と提案する。
 もちろん子どもがいる場合は、子どもに相続させるのが一般的だろう。ただ、相続財産が多くて相続税も高額になる場合、遺贈する分は相続税が課税される財産から差し引けるので、納付する相続税額を減らすことができる。親の気持ちを尊重することで、いわゆる節税対策につながるわけだ。また遺贈先が、認定NPO法人、特定公益増進法人等である場合には、被相続人の準確定申告で寄付金控除を受けられるというメリットもある。

遺贈を望む親の心に自分は寄り添えるか

 注意したいのは、遺贈する際に遺言書の作成が必要になるということ。また遺贈する金額や割合が、相続人に最低限度保証された相続財産の受け取り分である「遺留分」を侵害すると、のちのち相続人と受遺者の間でトラブルになる可能性があるので、気をつけたいところだ。
 なお遺言書には一般に「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」がある。自筆証書遺言については、これまで全文を自書しなければならなかったが、法改正によって2019年1月13日から遺言書に添付する財産目録をパソコンで作成することが可能になった。また、20年7月10日からは自筆証書遺言を法務局が預かる「自筆証書遺言書保管制度」が始まり、以前よりも自筆証書遺言を作成しやすくなった。
 子どもの立場であるビジネスパーソンとしての心持ちは「できるだけ財産を多く相続したいから、親には遺贈をやめてほしい」なのか、それとも「困っている人たちの助けになるから、遺贈したいという親の気持ちに寄り添いたい」なのか。考え方は人それぞれだし、置かれている環境や経済状態によっても、受け止め方は変わってくるだろう。それでも、親が遺贈の話を持ち出したときに、手続きなどで協力できるよう子ども側も相続、遺贈について調べておきたい。

保険編 人生100年時代。健康に長生きするために認知症には保険で備える

若年層も心配な認知症。収入減・介護費負担

 厚生労働省が公表した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」(15年1月)によると、日本の認知症高齢者は25年に約700万人となり、65歳以上の高齢者の約5人に1人に達すると見られている。
 認知症というと病気そのものへの不安があるが、治療や介護にかかる費用も心配だ。日本生命が、ニッセイ基礎研究所の「認知症介護家族の不安と負担感に関する調査」と、東京都福祉保健局高齢社会対策部の「平成28年度認知症高齢者数等の分布調査」を基に算出した認知症要介護者の介護費用は、住宅改修等の一時費用が約49万円。検査・投薬代や公的介護保険の自己負担分、その他の介護サービス費用などは年間約82・9万円となっている。
 一方、地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センターの「わが国の若年性認知症の有病率と有病者数」(20年7月、調査期間17〜19年度)では、若年性認知症有病率が18~64歳人口10万人当たり50・9人、若年性認知症者の総数は3・57万人と推計された。
 この研究では生活実態調査も実施しており、若年性認知症の多くの人が発症時には就労しているものの退職を余儀なくされ、その結果収入が減少し、主な収入源が障害年金や生活保護になったことも分かっている。
 認知症を発症する人が増えれば、それを支える家族やケアワーカーも増える。認知症は誰もが関わる可能性のある病気であるとともに、公的介護保険だけではカバーしきれない経済的負担が大きい病気といえるだろう。

認知症保険なら保険金。請求を代理人ができる

 こうした経済的負担に対処する方法として、思い浮かぶのが民間の保険会社が扱う認知症保険だろう。「要介護状態に備えるなら、認知症も含め介護全般を保障する介護保険があります。ただ、保険料が比較的高いので、年金受給世代がこれから加入するのはあまり現実的ではありません。認知症保険は認知症に特化しているので、その分、保険料は割安。しかも、最近の認知症保険は軽度認知障害(MCI)についても保険金が支払われるものが多く、そのお金を適切な治療に使うことで認知症の発症や進行を遅らせることができるかもしれません」と畠中さんは認知症保険の利点を話す。
「金融機関活用編」でも触れたが、高齢者が自分の老後資金や介護資金として蓄えてきたお金があったとしても、金融機関に認知症であることが分かってしまうと口座が凍結され、せっかく貯めたお金が成年後見制度などを利用しない限り、使えなくなる。その点「認知症保険であれば、あらかじめ家族などを指定代理請求人に設定できるので、保険金の受取人である被保険者(本人)が認知症になっても、本人に代わって指定代理請求人が保険金の請求を行えるので安心です」という。
 なお、40代であればまだ保険料は加入に値する水準だ。認知症に対する不安が強い人は検討する価値があるのではないだろうか。

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