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両親の選択を間違いにするわけにはいかない。

人物 ローソンを継ぐこと、継がせること

始まりは、父の脱サラだった。
両親が挑戦したコンビニ経営は、やがて
父の他界という、思わぬ苦境に直面する。
後継者として覚悟を決めたのは、ドロップアウト組の息子。
そこから彼の奮闘が幕を開けた。

文/張替裕子(Giraffe Inc.) 写真/深沢次郎
デザイン/スープアップデザインズ 企画・制作/ AERA dot. AD セクション

経営状況を初めて見て嘘だろ!?と驚愕しました

祐次郎さん

 何気ない光景が、「親子っていいな」と思わせてくれる時がある。新潟で出会った二人もそうだった。

「私がローソンの研修で一人で東京に行った時、母がメールを送ってきたんですよ。『行き方が分からなかったら駅員さんに聞くんですよ。口があるんだから』。おいおい、オレもう30過ぎだよ!?って(笑)」

「またそれを言う(笑)。人と話すのが苦手だから心配だったのよ。いつまでも子どもは子どもなの!」

 漫才のような掛け合いを繰り広げているのは、株式会社トライアイの代表取締役菰田こもた祐次郎さんと、お母さんの映子さん。祐次郎さんのお姉さんである松田由紀さんと共に、家族で新潟県内8店舗のローソンの経営に奮闘している。今でこそ多店舗経営企業だが、ローソンを始めたきっかけは、祐次郎さんのお父さん、三郎さんの脱サラだった。

「2002年、夫が53歳の時です。サラリーマン生活に行き詰まりを感じ始めた折に、ローソンを経営している友人からいろいろと話を聞き、じゃあ自分も挑戦してみるか、と。私も『やってみれば』と背中を押しました」(映子さん)

 ローソン本部から勧められた新潟市内の店舗のオーナーとなり、夫唱婦随で始めたコンビニ経営。幸い以前からのクルーが残ってくれたため、無我夢中ながら順調な出発となった。

 だが、店が3年目を迎える頃、思わぬ事態が訪れる。三郎さんが病に倒れたのだ。以来入退院を繰り返し、やがて2007年、三郎さんは帰らぬ人に。そこで力となったのが、店を手伝っていた祐次郎さんだった。

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各店の事務所に貼られている、株式会社トライアイの企業理念と行動指針。「母から教わった」と祐次郎さんが語る“人への愛”がすべての基本

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8店舗のうちの1店、長岡市の長岡笹崎一丁目店。店内キッチン「まちかど厨房」の出来立てフードが人気だ。書籍コーナーも充実させ、地域のニーズに応えている

口下手だった末っ子がよくここまで頑張ったね

菰田映子さん・松田由紀さん

「私は結婚して子どももいたのですが、1店舗の売り上げでは、母と姉、私たち家族が暮らしていくのは正直厳しく、転職も考えていました。ところが、父の死と時を同じくして、本部から2号店の話が来たんです。母もローソンをやめる気持ちは全くなかったので、じゃあ2号店を私たち夫婦が見ることにして頑張ってみようかと」(祐次郎さん)

 それまでは経営は両親と姉に任せきりだった祐次郎さんだが、2号店を任されたことをきっかけに、1号店の経営状況を知ることに。

「初めて1号店の帳簿を詳細に見てみたら、『何じゃこりゃ、嘘だろ!?』というぐらい杜撰ずさんな状況だったんですよ(笑)。で、母に、『これからはもっと数字を考えよう、オレに任せろ』と、口を酸っぱくして言うようになりました」(祐次郎さん)

「何しろ私は事務関係が大の苦手で、どんぶり勘定(笑)。息子に『あなた一人じゃだめだ』と繰り返し言われましたね。とはいえ、なかなか全部を任せる気になれなかったのですが、数年のうちに私自身も体調を崩すようになり、思い切って息子に託すことにしました」(映子さん)

 実はその数年のうちに、店舗はさらに増え、従業員も70人以上となっていた。そこで2016年、祐次郎さんは「株式会社トライアイ」を設立し、マネジメントオーナー(MO)となる。MOとは、地域に密着した多店舗経営を行い、ローソン本部と共に成長を目指す事業経営者として、より強いパートナーシップを持つローソン公式認定オーナーのことだ。

菰田さん親子のこれまで

1971年 映子さん、菰田三郎さんとの結婚を機に、新潟県新潟市へ。
1972年 長女由紀さん誕生。
1980年 次男祐次郎さん誕生。
2002年 三郎さん、勤務していた企業を退職し、ローソン白根穂波町店のオーナーとなる。
2007年 三郎さん逝去。
2008年 2号店となるローソン白根新飯田店の経営を開始。
2012年 23号店となるローソン新潟白根七軒店の経営を開始(以降、2020年までに経営店舗は8店舗に)。
2016年 株式会社トライアイを設立。
2017年 祐次郎さん、ローソンのマネジメントオーナーとなる。
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2002年、新潟市内で1号店のオーナーとなった際の懐かしいチラシ。三郎さん、映子さんも、やや緊張した面持ちで登場している

コンビニの仕事を胸を張って誇れる職業に

三郎さんと祐次郎さん

亡き父・三郎さんと祐次郎さんの思い出のカット。「父からの事業継承だったら、男同士でケンカになったり、反発したりしていたかもしれませんね」(祐次郎さん)

「正直なところ、法人を設立して代表となるギリギリまで、後を継ぐかどうか迷っていました。ただ、70人を超える従業員に対し、無責任なことはできない。そこから心を決め、税務・財務・労務・法務、すべて一から勉強しました」(祐次郎さん)

 税理士には「着信拒否しようかと思った」と言われるほど質問の電話をかけまくり、MO同士の会合や商工会では先輩たちを捕まえて教えを乞う。個店巡回や運営指導を行うストアコンサルタント(SC)となって店舗運営を担ってくれた姉、由紀さんの支えも得て努力を続けた祐次郎さんは、今や125人の従業員を束ねる立派なMOだ。

「末っ子で人付き合いも苦手だった息子がよくここまで頑張ったと、我が子ながら思います。今はもう、仕事は子ども任せ。私が言い続けているのは、自分たちがこうしてローソンを経営できているのはクルーさんのおかげだということ。すべての人を大事にしなさいということ。それだけです」(映子さん)

「クルーさんやお客様を笑顔にすることが母の愛。だから社名にも『アイ』を入れたんです。愛、目(eye)、自己(I)、この三つ(tri-※ギリシャ語で3の意味)の確かなアイで喜びを確かなものにする。それがトライアイの企業理念です」(祐次郎さん)

 自分が続けていかなければ、ローソンを始めた両親の選択が間違いになる。そんな覚悟で努力を重ねる祐次郎さんには、もう一つ、強い想いがある。それは、コンビニを立派な就職先と考えてもらえるよう、トライアイを育てていくこと。

「私は高校を2回も中退しているドロップアウト組。だから、一生懸命働いてくれるアルバイトのクルーさんたちを見ると、ぜひとも正社員として活躍できる場を与えたいと思うんです。コンビニの仕事を、胸を張って名乗れる職業にしたい。そのためにも、ドロップアウト組の自分が頑張って、コンビニのステータスを少しでも向上させられたらと願っています」(祐次郎さん)

 トライアイのトライは“挑戦”の意味も秘めている。両親の思いを引き継いだ祐次郎さんの挑戦は、まだまだここからだ。

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トライアイの各店長が集まるミーティング。当日は偶然、映子さんと女性スタッフの誕生日。サプライズでバースデーケーキが用意され、二人は大喜び

ローソンカスタマーセンター0120-07-3963月曜~金曜(祝祭日除く) 9:00〜17:00