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産学連携で北陸に築く知の拠点 進化し続ける福井工業大学のこれから

福井工業大学(福井県福井市)は、開学から半世紀を経た2015年に学部学科を改編。工学部、環境情報学部、スポーツ健康科学部の3学部8学科を擁する文理融合大学に生まれ変わった。宇宙とのかかわりが深く、地域にも密着してきたが、2019年にAI&IoTセンターを開設。次世代に向けた展開が始まった。
文/笠木恵司 写真/松崎浩之(INTO THE LIGHT) デザイン/洞口 誠、大内 和樹
企画・制作/AERA dot. AD セクション

掛下 知行福井工業大学学長
かけした・ともゆき/1952年、北海道生まれ。76年、北海道大学理学部物理学科卒業。同大学大学院理学研究科修士課程修了。理学博士。93年に大阪大学助教授、2000年から同大学教授。工学部長、工学研究科長などを歴任。金属物性などを専門としてきた。18年4月から現職。

AIとIoTを活用して、地域支援と人材育成を推進

 大学には名物といわれる施設や建物があることが多いが、福井工業大学はとりわけ異色といっていい。あわらキャンパス(福井県あわら市北潟)に、直径約10mに及ぶ北陸最大のパラボラアンテナが設置されているのだ。NASA(アメリカ航空宇宙局)の地球観測衛星などが発信する各種データをキャッチしてきたが、2016年からは「ふくいPHOENIXプロジェクト」として、超小型衛星の開発と打ち上げ計画などを進めてきた。プロジェクトは19年でひと区切りとなるが、これを発展・継承することも含めた新たな仕組みとして同年に発足したのが、AI&IoTセンターだ。
 AI=人工知能は、すでに様々な分野で応用されている。IoTとは、あらゆるモノがインターネットにつながることを意味する。同センターでは、前述したパラボラアンテナが受信した衛星データだけでなく、ドローン(無人航空機)による空撮画像データに加えて、県の所有するオープンデータや企業が持つビッグデータなどをクラウドサーバーに集約。これをAIが多面的に解析して、新たな価値を創出することを目的としている。
 同大学の掛下知行学長は、「簡単にいえば、宇宙からのデータと地球上の各種データを集めて、AIあるいはIoTを通して地域に役立つカタチにするということです」と説明する。
「パラボラアンテナも解析精度などをより向上させる予定です。それによって、海を汚染するマイクロプラスチックの精細な流動状況を宇宙から把握することも可能になるかもしれません。今の段階では詳しく説明できませんが、見えないモノを見えるようにする取り組みなどが進められています」(掛下学長、以下同)
すでに衛星データは、水稲などの局所的な管理を行う精密農業への応用などが研究されているため、AIとIoTとの本格的な連携によって、世界を驚嘆させるようなコンテンツが誕生する可能性は極めて高いといえそうだ。
 また、これまで進めてきた産学連携をAI&IoTが支援することで、地域の活性化や産業創造に寄与するだけでなく、リカレント教育の推進も大きな使命としている。

リカレント教育を通して、人材高度化とシニアを支援

 リカレント教育とは、社会人が仕事に役立つ知識や技術を大学で学び直すことだ。同大学では19年10月から石川県のバス製造会社の若手社員向けに、週1回・全16コマの研修プログラムを実施している。これは北陸の大学では初の試みという。
「一般的なリカレント教育とは異なり、企業の教育ニーズを予めヒアリングした後に、それに対応したプログラムを提供することが本学の特長。こちらで用意した授業を選んでいただくのでなく、仕事の現場で必要とされる科目を開講します。今回はエンジンなどの機械工学系ですが、化学系の需要もあるのではないかと想定しています」
 同大学は3学部8学科を擁しているので、理工系だけでなく、経営情報やデザイン系など文系のリカレント教育も可能。これが広く周知されれば、多彩な企業から様々な教育ニーズが寄せられるに違いない。
 さらに、今のところは若手社員の高度化だが、少子化による人手不足から、いったんリタイアしたシニア世代の参加も期待されている。彼らがリカレント教育によって最新知識を身につければ、様々な分野で有用な人材として活躍できるはずだ。急速な技術革新を背景として、エンジニアの再教育も考えられる。もはや大学さえ卒業すれば十分という時代ではなく、不断に学び続けることが求められているのである。
「それを象徴する現代的なテーマがAIとIoTなのです。うまく進めば、このリカレント教育を通して企業との新しい共同研究が始まる可能性もあります。もともと本学は地域連携研究推進センターを通して産学連携を積極的に展開してきました。これまで産学連携といえば研究開発が中心だったのですが、人材育成も重要な課題になってきたといえるでしょう」

海外インターンシップでの仕事風景。全学部全学科の3年生が対象。研修期間は8月中旬から23日間。タイ、ベトナムに進出した日本企業で実務を体験する。参加者は2カ国合わせて33人(2019年度)。

最新の知識を発信する令和の「永平寺」を目指す

「AIとIoTは日進月歩で産業や生活に浸透するはず。AI&IoTセンターが開催したシンポジウムも大きな反響がありました。私たちはそれによって地域にどう貢献できるかを追求していきます。その意味で、本学は道元が13世紀に建立した永平寺のような知の拠点でありたいと考えているのです」
 道元は比叡山の教えに満足できず、中国に渡って仏教を学び、帰国後は福井県吉田郡の永平寺を拠点として、最新の知識や思想を発信した。
「今でも福井は教育県であり、全国学力テストでは小中ともに12年連続で全国トップクラス。本学もそれに対応した知の拠点を目指して、現代の最先端であるAIとIoTのセンターを設立したのです。リカレント教育で学ぶ社会人による密度の高い議論から、新しいニーズやシーズが生まれてくる可能性もあります。それでこそ知の拠点だと思うのです」

大学院修了者の学位記授与式にはガウンと角帽を着用する。欧米では常識だが日本ではまだ少ないため、海外からの留学生も含めて、貴重な思い出になると好評だ。

 海外インターンシップもユニークであり、名物になりつつある。夏休みにタイとベトナムの日本企業で約3週間の長期にわたって実務を体験。英語で現地の人たちと交流し、文化や習俗にも深く触れるため、学生は見違えるほどたくましく成長するという。専門業者任せでなく、準備から運営までのすべてを大学職員が行うというから驚く。タイ・バンコクの「ASEAN事務所」に専任職員が常駐。学生をバックアップしているので、保護者も安心だ。実費は食費だけで、単位も取得できるため、参加希望者は年々増加している。
「小規模な大学ですが、海外13大学と国際交流協定を結んでおり、交換留学生の派遣や受け入れ、語学研修などを積極的に支援しています。ちなみに、大学院の修了時には欧米のようにガウンと角帽を着用するので、本人はもちろん、海外留学生の保護者も写真でその姿を見て感激するそうですよ」
 宇宙や地域に向けて大きく開かれているだけでなく、グローバル社会にも密接なつながりを持つ。規模は小粒でも、ダイヤのようにキラリと輝く側面を数多く持つ大学なのである。

※文部科学省 2019年7月31日発表 平成31年度(令和元年度)全国学力・学習状況調査の報告書、集計結果に関する報道資料より

下左写真は、福井工業大学あわらキャンパスに設置された北陸最大のパラボラアンテナ。この施設と様々にコラボレーションした「ふくいPHOENIXプロジェクト」を推進してきた。これらの活動はAI&IoTセンターに集約されて今後も継続・発展する。地域や北陸地方の自治体、企業などとの共同研究も幅広く推進していく予定だ。

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提供:福井工業大学