ダイバーシティーの時代に求められる
「ヒューマン・コンサルタント」

豊かな経験が昇華した
「育てる」にこだわり抜く人財育成

クライアントの特徴で異なる魅力や独創性を引き出すために、顧客の立場になってアドバイスを模索する工夫、型通りの指導ではなく費用対効果を実感してもらえるコンサルティング──。「ジェイ・ラボ」笠井玲子代表は、顧客の心に飛び込み、真のニーズを探り出す。その礎を片桐圭子本誌編集長が聞いた。

文/小林由佳 撮影/松崎浩之 企画・制作/AERA dot.AD セクション


子育てからの再チャレンジで
起業のヒントを見つけた

笠井 玲子

笠井 玲子 Reiko Kasai

J-Labo代表
日本航空株式会社の客室乗務員の経験を生かし、JALアカデミーでコミュニケーション&マナーのチーフインストラクターとして活躍後、JALグループ初の女性取締役に就任、JALアカデミー総責任者として国家的イベントも手掛ける。2011年、人財育成コンサルティング企業J-Laboを創設。

片桐 笠井代表はJALグループ初の女性取締役であったと伺っております。
笠井 はい。新卒入社で客室乗務員となり、その後結婚して2人目の出産を機に一旦退職したのですが、「JALアカデミー」のインストラクターとして仕事に復帰しました。子育てをしながらの業務でした。
片桐 客室乗務員のスキルを生かした再出発だったとか。
笠井 ええ。そしてインストラクターを続けるなかで、自分自身の魅力を見つけられない方が多いという気づきから企画を考え、就職対策セミナーやビジネスセミナーなどを立ち上げました。潜在的な能力を磨いて自分の人生やキャリアを切り開く、私はそのサポートがしたいと思ったんです。
片桐 なるほど。御社の企業理念には、その頃からの想いが込められているのですね。
笠井 これらの企画は好調でした。同時に個別のクライアントに対しては、まずじっくり話を伺い、そのお客様に必要な研修を、お客様に合った形にカスタマイズして提供するというポリシーで仕事を進めてきました。自分がこの会社の人財育成の担当者だったら、何をすべきだろうと常に考えて……。
片桐 まさにクライアントに成り代わって研修を行い、人財育成をするということですね。
笠井 そうなんです。表面的な言葉だけでなく、真のニーズをくみ取ろうと努力してきました。幸い、事業が大きく成長し、やがて部長昇格を打診されるようになったのですが、当初は辞退したんです。でもある役員から「遠慮して大人しくしていると、何も考えていない人だと見えてしまうよ」と言われて。ハッとしましたね。思い改め、挑戦しようという気持ちになりました。
片桐 「アエラ」は1988年創刊。ずっと男女雇用機会均等法(86年)世代を応援する記事を書き続けてきました。そのお話には共感する読者も多いと思います。
笠井 親の介護も重なって仕事を辞めようと思ったこともありました。幸運にも、その時の医師に「介護のために仕事を辞めたら、あなたが人生を振り返った時に後悔しますよ」と言われたのが、自分の道を選択する決断になったのです。自分もこういうアドバイスで役に立ちたいと思っています。

自身の経験から伝えたい
多様性ある職場の環境作り

片桐 圭子

片桐 圭子 Keiko Katagiri

AERA 編集長

片桐 私自身もぜひアドバイスを頂きたいのですが、働き方改革や多様性がうたわれる今、「アエラ」編集部にも未婚・既婚、子どもの有無、雇用形態など実に様々な属性のメンバーがいます。さらに記者は外にいることも多く、コミュニケーションやモチベーションの調整が非常に難しい。御社には“多様性を生かしチームパフォーマンスを高める”というセミナーもありますね。
笠井 私が入社した頃からJALは常に外国人が多い職場環境だったので、彼らの発言や仕事感覚を受け入れると同時に自分の考えを伝える、という経験が今の自分の根幹を築きました。多様性のある職場では、まず相手を柔軟に受け入れることが重要です。管理職の方はまず「声かけ」を習慣化していただきたいですね。コミュニケーションは質より量。毎月の面談で1時間喋るより、毎日10秒の声かけの方がいい。「おはよう、今日は暖かいね」程度の会話で十分です。そして自分が話しかけられたら、ちゃんと相手に体を向けて話を聞く。
片桐 質より量はいいですね。すぐにできそうです。それに体が向けば顔も相手に向く。きちんと向き合っていると伝わります。
笠井 それを習慣化すると部下の微細な変化にも気づくようになります。そこで気になったら、自分の外出時に同伴させるなどして道中で話をする。会議室より電車で並んで話す方がリラックスできます。
片桐 一方で、管理職になると自分の発言にハラスメントがないか気になります。叱咤激励で部下のモチベーションを上げたつもりが傷ついたかもと後で心配になったり。
笠井 それは部下の自己重要感にも左右されますよね。相手の心が満たされている時なら良いアドバイスと捉えられても、不安定な状態で言われたら傷つく。今の人には特にそういう傾向を感じます。だから最初にきちんと業務を認めてあげて、その後に問題点を伝えるようにしています。そもそも、昇格や昇給などの“ご褒美”で部下のモチベーションアップを図ってもそれは一時的です。でも、自分の選択でうまく出来ているという内発的モチベーションは継続します。弊社のセミナーでも、このモチベーションマネジメントを理論的に伝えて、職場に落とし込んでもらっています。

J-Labo (ジェイ・ラボ)

「おもてなしの心」をベースとした社員教育、グローバル人財育成、企業イメージコンサルティングを通じて人が育つ環境作りを提供。ニーズに合わせた人財育成のプログラムをカスタマイズし、各研修に特化したプロフェッショナル講師がサポートする。九州・沖縄サミット(2000)における研修総合プロデューサーや、北海道洞爺湖サミット(08)主要国受け入れ研修、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)のメディア対応の研修、ホテル・金融機関・病院等の開業コンサルティングなど豊富な実績を持つ講師陣が揃っている。就職支援や新入社員研修など若い世代の育成はもちろん、企業の階層別社員研修やダイバーシティー研修、グローバル対応サービス、ハラスメント研修、働き方改革時代のモチベーション研修など、時流のニーズに敏感な研修・サービスを展開している。

J
J-Labo is a place to J-Laboとは、
L
Learn more about yourself, 自分をわかり
A
Analyze your ability, 自分の能力を見分け
B
Build up your originality, and 独創性を創出して
O
Open doors for your new career 新しいキャリアの道を開く場所

日本のおもてなしを
英語教育とともに見直したい

片桐 御社のカタカナ接客英語というコースにも、興味があります。
笠井 これは“伝わる発音”をカタカナで表記したものです。例えば「メイ アイ ヘルプ ユー?」ではなく「メイ アイ ヘウピ ユ?」、「ミルク」ではなく「ミウク」。長文を覚えるのではなく、短文でも使える英語を多く習得していただく工夫です。
片桐 とてもわかりやすいですね。単に覚えることを簡略化させるのではなくて。
笠井 同時に、日本人のおもてなしのあり方も刷新したい。私は日本のおもてなしが一番だとは思いません。例えば、日本人って最初の歓待ぶりが盛大でも、別れ際は結構アッサリしていませんか?
片桐 そうですね。別れ際は「では、さようなら」くらいで(笑)。
笠井 外国では別れ際に「Have a nice day!」とか「Enjoy!」と言いますよね。また、日本人は求められた物がないと「ありません」で終わりですが、外国では「それはないけど、これはどう?」と代案を出してくる。このような“最後を気持ちよく返す”ことが、日本人は下手だと思います。ですから、これを日本のおもてなしに加えて、さらに日本人ならではのお辞儀があれば、ワンランク上のおもてなしになると思います。

片桐圭子の編集後記

 元日本航空の客室乗務員でJALグループ初の女性取締役への躍進、そして起業され社長に…と、スペックだけ拝見した時は緊張してしまう印象だったのですが、笠井代表は非常に物腰柔らかで気さくな方でした。会社の話に終始される企業トップも多いなか、笠井代表のお話はご自身の体験も含めた実感がこもった内容で、人材育成の会社社長として疑いのない説得力が魅力的でした。どんな人と話しても相手を魅了する、多彩な引き出しをお持ちだと感じました。

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提供:J-Labo