提供:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社  〈PR〉

侮ってはいけない高齢者の転倒 特に抗血栓薬の服用者はご用心

昨年、転倒などが主な原因で亡くなった人は交通事故死の2倍に上っています。※1 特に注意が必要なのが、“血をかたまりにくくする薬”といわれる抗血栓薬を服用している人。出血が止まりにくいため、頭をぶつけると頭蓋内出血が起こりやすいと言われています。抗血栓薬を服用していて頭をケガした際の危険性とその対応を啓発する“Think FAST”キャンペーン※2の実行委員の一人、国立病院機構九州医療センターの矢坂正弘氏に話を聞きました。
文/渡部 桂子 写真/山本 薫 イラスト/いのうえ みさお デザイン/洞口 誠、大内 和樹 企画・制作/シーエム、AERA dot. AD セクション

※1 : 厚生労働省平成30年人口動態統計
※2:転倒・転落による高齢者頭部外傷(特に抗血栓薬内服者)の危険性を患者さんに理解してもらうとともに、適切な対応について医療関係者への啓発活動を実施するキャンペーン。提供:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 後援:日本脳神経外科学会、日本救急医学会、日本脳神経外 傷学会、日本脳卒中学会、日本循環器学会、日本脳卒中協会

Think FAST”キャンペーン
実行委員
矢坂正弘氏
国立病院機構九州医療センター 脳血管センター部長、臨床研究センター部長、脳血管・神経内科科長。日本内科学会認定総合内科専門医、日本老年医学会認定老年病専門医

抗血栓薬を服用していて
頭をケガしたら注意が必要

――転倒により頭をケガしたらなぜ注意が必要なのでしょうか?
矢坂正弘氏(以下、矢坂)転倒により頭にケガをすると、思った以上に重症化することがあるからです。その原因の一つが、転んで頭をケガすることによる頭蓋内出血です。転倒などによる頭のケガでは、脳を保護するいくつもの膜のうち一番外側にある硬膜の外側で出血が起こる「硬膜外血腫」や、硬膜の内側で出血が起こる「硬膜下血腫」などが生じやすくなります。脳は、頭蓋骨という硬い入れ物の中に入っている非常に軟らかい組織です。例えば腕や脚などにケガを負うと患部が腫れますが、脳も同じように頭にケガを負うと腫れます。頭蓋骨の中で脳が腫れるということは、腫れた分だけ正常な脳を圧迫することになり、脳はダメージを受けてしまいます。出血が起こった場合も同じで、血のかたまり(血腫)が大きくなると正常な脳が圧迫されてしまいます。頭蓋内の出血は外見からはわからず、また腕や脚のように圧迫止血することもできないので、命に関わる状態に陥りやすいのです。特に65歳以上の人で、“血をかたまりにくくする薬”といわれる抗血栓薬を服用している人は重症化しやすいため、特に注意が必要です。
――“血をかたまりにくくする薬”は比較的若い人でも飲んでいるようですが。
矢坂そうですね。抗血栓薬は心筋梗塞を起こしたことのある人や、不整脈、動脈硬化など、循環器系の病気がある人に対して良く処方される薬なので、50代くらいから服用する人が増えてきます。したがって、高齢でなくても抗血栓薬を飲んでいる人は注意が必要ですが、特に高齢者は筋力やバランス感覚などの身体機能が低下し、起立性低血圧(立ちくらみ、めまい)なども起こりやすいため、注意が必要なのです。
 また加齢に伴い、徐々に脳が萎縮することも、頭蓋内出血の大きなリスクになります。脳が萎縮すると頭蓋骨と脳の間に隙間ができるので、ちょっとした転倒でも頭蓋骨の中で脳が大きく揺れ、頭蓋内出血を起こしやすくなるのです。つまり、高齢者で抗血栓薬を服用している人は、リスクが重なった状態と言えます。

――抗血栓薬を服用中に頭をケガすると、なぜ重症化しやすいのでしょうか?
矢坂抗血栓薬は、心筋梗塞や脳梗塞などの原因となる血栓ができるのを防ぐ大切な薬です。しかしそれは同時に、ひとたび出血すると止まりにくい状態になる、ということも理解してほしいのです。私たちの体は色々なところで気がつかないうちに出血しているのですが、出血してもそれを自然に修復する機構(止血機構)が働くので、症状として何事も起こらずに済んでいます。ところが抗血栓薬を服用していると、その止血機構にブレーキがかかる状態になるため、通常であれば症状が出ないような出血でも大事に至ってしまうことがあります。

頭を打って少しでも
おかしいと思ったら医療機関へ

――抗血栓薬を服用している人はどのように注意すればよいのでしょうか?
矢坂抗血栓薬服用中に頭をケガした場合、最初は特に異常がなく普通に話せていても、数時間後に容体が急変するケースがあります。その時点ですでに最重症となっていることもあり、手遅れになることもあります。ですから転倒に限らず、何かに頭を強くぶつけたり、体が打ちつけられて頭が揺れたりした場合は、本人や家族が少しでもおかしいと思ったら、脳神経外科医や脳神経内科医がいる医療機関を受診し、CTなどの画像診断で頭蓋内に出血がないか確認いただきたいと思います。そして、その後は医師の指示に確実に従ってください。
Think FAST”キャンペーンでは、「自分が飲んでいる抗血栓薬に中和薬があるかどうか、あらかじめ医師に確認し、飲んでいる薬の名前を自分自身や家族が覚えておくようにしましょう」と呼びかけています。ただし、意識を失った時に必ずしも家族が一緒とは限りません。そうした場合、救急車や病院の医療従事者に、抗血栓薬を服用していることを一刻も早く伝える必要があります。そのためには、日頃から薬の服用カードを財布に入れておく、お薬手帳に貼るシールを携帯電話に貼っておくなど、もしもの時の備えをしておくことが大切です。