特別講演の壇上には「AERA」編集長の片桐圭子、宇賀なつみさん、そして二人の間に「今日のために新調した」というニューバージョンのしいたけ.さん人形。何やらこの光景だけでほのぼのと気が緩む
4月にフリーアナウンサーになった宇賀なつみさん。「休み方」はこれまでとは劇的に変わったという。
「入社して10年、仕事は本当に楽しかったのですが、3日以上の連休が取れたことはありません。退社したからには働き方改革をしようと思い、今は自分なりに時間管理をしています。ここ数カ月でようやく、月に1度は意識して連休を取るようになりました」
朝の番組を担当していて時間が不規則だった以前と比べ、きちんと睡眠が取れる生活で、肌の調子と仕事のパフォーマンスがすこぶる上がったとのこと。一方のしいたけ.さんも、休むのはあまり得意ではない。
「去年、休もうとハワイ旅行を強行したんですが、予定を詰め込みすぎて疲れ切ってしまって。それで『休みはこうしなきゃ』と決めない、ちょっと仕事もしていい、くらいのほうが精神的に休めるんだとわかりました。遠くへ行ってまで仕事していると、『俺は偉い。必ず天国に行ける』と思えます」
来場者からは「ダラダラすることに罪悪感を覚える」という悩みも寄せられた。しいたけ.さんは、女性のほうが休みにくいのではないかと指摘する。
「20代の頃に女友達が『やっと就職したと思ったら次は結婚を急かされる。一体いくつクリアすればゴールになるのか!』と憤っていて、男はとりあえず仕事をしていればOKだけど、女性はそれ以外のタスクが多いんだなあと思いました。これは男と共同しないとしんどい。『これはやっといて!』と言える勇気が必要かもしれません」
お盆の時期や年末年始の休みには妻・母・嫁としてのタスクをこなす片桐編集長も、完全にスイッチオフすることが難しいようだ。
「しかもダラダラしていると、『この時間で本が一冊読めたのに』と後悔してしまうんです」(片桐)
「そういう繊細な真面目さは美点ですよ。でも『ダラダラできてよかった』と思えるといいですね。みなさん本当に頑張っているので、自分をもっと甘やかしていいと思います」(宇賀さん)
「実はダラダラには底があるってご存じでした? 僕は休日は液体化しているので、立ち上がれただけで達成感があるんですけど、底を打つと起きようかな、という気持ちになる。みなさんもその境地に達するまでダラダラしてみてください」(しいたけ.さん)
しいたけ.さんの見るところ、幸せ度合いの低い人は食事への関心が薄いそうだ。何を食べたいのかわからなくなったら、強制的に休みを取るタイミングとのこと。気をつけたい。
ダラダラできない片桐編集長、人に会って気分転換したい宇賀さん、液体化するしいたけ.さん。人により心安らぐ休日のあり方は違う。しいたけ.さんはそれを「リーダー」「組織人」「ムードメーカー」「作家」の4タイプに分け、それぞれに合う休み方をアドバイスした。
「リーダー」は自分の顔色の悪さを人に悟られたくない人。「組織人」はつい他人の顔色を読んでしまう。「ムードメーカー」は人に受けているかどうかがいつも気になり、「作家」は365日集中していて季節の変化にも気づかない。あなたはどのタイプだろう?
「リーダータイプは個室や薄暗いカフェだと心休まり、組織人は外国人のやっているシュラスコのお店などに行くのがオススメ。満面の笑み、タメ口で無礼講に話しかけられるうちに、新しい扉が開きます。ムードメーカーは山登りやボルダリングみたいに目標を設定して黙々と達成すると日常から解放されますね。作家タイプは、たまには地域のお祭りとか文化的なイベントに参加してみては」(しいたけ.さん)
宇賀さんとしいたけ.さんは、“周囲は理解してくれる、休みを取っても意外と大丈夫”だと口をそろえる。
「僕も『休みたい』と言うのは覚悟がいりましたが、8割の人が温かく『そうだよね』って」(しいたけ.さん)
「私も慣れない現場で弱音を吐いたとき、周囲に支えてもらいました。人ってけっこう優しいですよ」(宇賀さん)
心と体のために休みは絶対に必要で、それは誰もがお互いさまなのだ。ゲストお二人の言葉が心に染みた。
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来場者の方々にはスイーツと飲み物を手に場内を回遊していただいた。しいたけ.さんのアイコンと一緒に「AERA」表紙風の背景で写真を撮れるブースも人気