昭和大学は「至誠一貫」を建学の精神として1928年に創立された。患者に真心をもって接する医療人の育成が使命であり、特に医学部の消化器・一般外科学部門は日本でもトップレベルの内視鏡外科医を育成してきた。充実した教育態勢と訓練施設を備えており、臨床実習時になると全員が内視鏡外科手術に参加する。チーム医療はもちろん、「働いた分だけ遊べ」をモットーに、医師同士が助け合うチームワークも際立った特長だ。

 内視鏡といえば胃カメラが思い浮かぶ。これは診断や内科的治療であり、外科の内視鏡外科手術は、腹部などに小さな穴を開けて腹腔鏡(または胸腔鏡)を挿入。それによってモニターに映し出された体内の様子を見ながら、別の箇所に開けた穴から筒状の電気メスなどを差し込んで患部の切除などを行う。傷が小さいため、切開手術に比べて体に与える負担はかなり軽く、翌日から歩ける人もいるほど回復も早い。つまり患者にやさしい手術方法なのである。
 昭和大学医学部の消化器・一般外科学部門を率いる村上雅彦教授はこの分野の草分けであり、「内視鏡でできない手術はないといっていい。昭和大学病院でも手術の8割に達しています。ただし、患部を直接的に見ることができないので、操作感覚や細かな手技を身につけるトレーニングが不可欠です」と話す。
 このため腹腔鏡下手術シミュレーターと、手技などを練習できる6台のドライボックスを備えたスキルスラボを設置。臨床実習時(4年次〜6年次)には全員が外科に配属され、このラボで訓練しながら、内視鏡外科手術に参加することになる。
「専門領域別ではなく、全分野の手術を経験してもらいます。それによって、どんな臓器でもある程度の手術ができるようになります。昭和大学特有の制度ですが、臨床の現場で他分野は分からないでは通用しないので、医師としての強みになると思いますよ」(村上教授)

村上雅彦教授昭和大学統括外科学講座責任者、消化器・一般外科学部門教授。昭和大学病院副院長、食道外科診療科長。1955年東京生まれ、昭和大学医学部卒業。胸・腹腔鏡下手術の第一人者。

左・上 : 昭和大学における内視鏡外科手術の質、量は日本屈指。内視鏡外科手術はモニターを見ながら行うため、直視で行う従来の手術とは異なる技術が必要になる。村上教授の手術を見守る学生の表情は真剣そのものだ
上 : 内視鏡外科手技のスキルを磨くスキルスラボ。臨床手術に必要な四つの認証のうち、ステップ2までを研修医中に取得することができる。 右 : 術前、術後、ナースや薬剤師を含めた朝カンファレンスなど、情報共有のためのカンファレンスは数多く設けられている

 昭和大学医学部では、1年次の寮生活をはじめとして、4学部全学年にわたる学部横断の連携型学習カリキュラムでチーム医療を実践的に学ぶ。とりわけ医師同士のチームワークは大切にしている。
「働いたらその分だけ遊べ、が僕のモットー。あまりにも多忙では、患者さんの心に寄り添う余裕がなくなる。それを避けるためには、互いをバックアップするチームワークが必要です。いくら名医でも1人では限界がありますからね」(村上教授)
 消化器・一般外科部門では、6〜7人の医師が1人の患者を担当。病状を密接に共有するので、過度な負担がかからない。ちなみに夏休みは6月からの半年間で合計2週間取れるという。
「そのためにもさまざまな人との積極的なコミュニケーションが大切。技術はスキルスラボで訓練できますからね。昭和大学には、患者さんを思いやるやさしさと、優れた技術を持つ臨床医を育成する充実した環境がそろっています。教員が多く、指導担任制度もあるのでアットホームな雰囲気。それが伝統として長く継承されてきたことが、優れた教育力に結実していると思います」(村上教授)

小川良雄 医学部長

 昭和大学では1年次から海外研修プログラムが整備されていますが、これも寮生活と同じく学部混合が基本。正規単位を取得できる研修ネットワークも年々充実しているほか、国際的に活躍できる医師の養成も目標。すでにアメリカの現役外科医を専任教員として招いており、医学英語などのカリキュラムが充実しつつあります。
 国内にしても、臨床医だけでなく、基礎医学に携わる研究医の養成を積極化。4年次の選考をパスすれば、卒業までの2年間と大学院の授業料を完全免除する特別奨学制度を発足しています。
 今後は医療人として活躍できる場をさらに多方面に広げていきたいと思っています。実は「スポーツにも強い昭和大学」にするのが私の念願。今でも運動部がスポーツ大会に出場する際には壮行会を開いています。文武両道の医学部というのも魅力的ではありませんか。(談)

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