RUNNERs AERA

ケガ予防のコツは「楽して走る」こと

膝や腰などの故障は、タイムを競う競技者だけでなく、ファンランナーにとっても走る楽しみを阻害する要因となる。日本ランニングトレーナー協会代表の三浦直樹さんに、ケガの予防と改善のポイントを聞いた。

三浦 直樹さん

三浦 直樹さん

1978年生まれ。フィットネス施設勤務を経て独立し、ランニング指導などを開始。その後、整体術やストレッチなどの理論や技術を身につけ、2013年に整体院を開業。スポーツ整体やランニング指導を行うかたわら、15年に日本ランニングトレーナー協会(JRTA)を設立。指導者育成にも力を注いでいる。

市民ランナーの悩みは、タイムや距離よりも故障に関するものが多いという。三浦さんによると、運動歴の少ない市民ランナーの場合、ランニングに必要な筋肉や関節をうまく使えていないことが多く、力ずくで走ってしまう。そのため体の各部に余計なストレスがかかり、ダメージが蓄積して、ケガにつながりやすいという。

「現代人は日常生活のなかで、筋肉や関節を使わなくなったり、動作にへんな癖がついたりしています。それをまずは正常に機能させることが重要ですね。体の動きが改善されれば、自然と楽に走れるようになるんです」

たとえばランナーの腕が振れていない場合、普通は「もっと腕を振って!」と指導されるだろう。しかし三浦さんの場合は、なぜ腕が振れないのかを筋肉や関節の機能面からチェックする。問題点がクリアになれば、自然と腕が振れるようになるという。

三浦さんは、市民ランナーの「走り過ぎ」にも警鐘を鳴らす。体のつくりや走り方は人それぞれ違うのに、アスリートのように走り込みをし、距離やタイムを競った末にケガをしてしまう。本来は、それぞれのレベルに合ったトレーニングをすべきなのだ。

「そもそも、日本人は走ることに対してまじめすぎるんですよ(笑)。力を抜くことを知らないから、ケガをしてしまう。だから僕が最初に教えるのは、力を抜くことなんです。『いかに楽して走るか』、それが僕のテーマです」

三浦さんは浅田真央さんなどのマラソンの伴走を務めたこともある
日本ランニングトレーナー協会
https://www.runningtrainer.jp/
安心・安全なランニングを指導できるトレーナーを養成する三浦さん。「将来はランニング専用のフィットネス施設をつくりたい」という

ラン後のケアこそ入念に

レース当日は、ケガ予防のためにどんな準備、ケアをすればいいのだろう。スタート前のウォーミングアップが重要なのは言うまでもない。だが三浦さんは、「ウォーミングアップがいらない体」にすることも可能だと言う。

「ランニングは他の競技と違って、複雑な動きが求められるスポーツではありません。だから体の使い方さえ身につけておけば、レース前は体の各部の動き、状態、姿勢やフォームを確認する程度で十分だと思います」

ただしレース後は入念にストレッチを行い、クールダウンを行うこと。水風呂に浸かったり、プールで軽く泳いだりするのも、翌日に疲労を残さないコツだという。そして食事でしっかり栄養補給。疲労回復のため、たんぱく質やクエン酸を多く摂取しよう。

ラン以外のスポーツのススメ

健康のために始めたはずのランニングが、故障との闘いになっては本末転倒である。ランニングを長く楽しみたいのであれば、体と相談しながら「無理をせず、走りたい時に走れるだけ走ればいい」と三浦さんは言う。

「休む勇気をもつことも重要です。人の体は休んでいるときに成長するわけですからね。回復しないまま無理をしてはいけません。それと、他のスポーツを楽しむのもいいと思います」

三浦さん自身、サッカー部出身で、今もサッカーやフットサル、ボクシング、ボルダリングなどを楽しんでいる。

「他のスポーツでも、心肺機能や体のバネは向上しますからね。それによって、走力がアップすることもあります。あまり走ることだけにこだわらず、いろいろ楽しめばいいと思いますよ」