ブランドプロミスは「『生きる』を創る。」
がん保険の先駆者として
がん就労支援へ取り組む

がんにかかっても、自分らしく生きる。仕事を続けることもその一環だ。 がんの当事者、あるいは当事者の上司や同僚になる可能性は誰にでもある。 仕事と治療を両立させるアフラックの取り組みは、多くの企業の参考となるものだ。 久保理子取締役常務執行役員と片桐圭子本誌編集長の対談で、その内容を紹介する。

文/武田 洋子 撮影/スケガワ ケンイチ 企画・制作/AERA dot.AD セクション

昨年4月、日本法人として新たな一歩を踏み出したアフラック。
「第二の創業」「新たな価値の創造」「『生きる』を創る。」という
思いが込められた一字は、書道家の岡西佑奈氏により揮毫された

がんコミュニティーから社内へ情報発信

小林 章一

久保 理子 Riko Kubo

アフラック生命保険株式会社
取締役常務執行役員

神戸女学院大学文学部卒業後、1984年にアフラック入社。夫の海外転勤に伴い90年に退社。帰国後、嘱託を経て96年再び入社。2006年内部監査部長、12年執行役員、内部監査部長、インターナル・オーディット・オフィサーを兼任。15年常務執行役員兼秘書室長。18年から現職。公認内部監査人(CIA)取得。

片桐 アフラックの名前はCMなどで読者にもおなじみだと思いますが、創業当時から「がん」に注目されていたんですか。

久保 はい。当社は1974年に日本初のがん保険を発売していますが、そこには「がんで苦しむ人々を経済的苦難から救いたい」という創業者の深い思いがあります。

片桐 商品はもちろんですが、がんに罹患りかんした社員の方の就労支援にも力を入れていらっしゃるそうですね。

久保 がん保険発売当時と違い、がんはもう、不治の病ではなくなってきています。今はがんを治療しながら仕事をして、自分らしく生きる時代です。その中で、がん保険でスタートした当社だからこそ、どこよりも真摯しんしにがん就労を支援していかなければならないと考えました。これは「『生きる』を創る。」というブランドプロミスにも通じます。

片桐 就労支援の柱は「相談」「両立」「予防」とのことですが、「予防」はがん検診受診の徹底、 「相談」と「両立」に対応するのが、がん罹患を経験した社員の皆さんによるコミュニティー「AllオールRibbonslリボンズ」ですね?

久保 はい。治療と仕事の両立といっても、病状や家族構成、仕事内容など個々の状況により、適した働き方は変わってきます。世の中には情報があふれていますが、知りたいのは社内の事情なんです。人事部に「他の社員がどう乗り越えたかを知りたい」という声が届いたことが、All Ribbonsのヒントになりました。2017年11月にピアサポートの仕組みを作るべく社内公募したところ、全国から13名のがん罹患経験のある社員が名乗りを上げてくれたんです。このコミュニティーをAll Ribbonsと名付け、コミュニティー内でそれぞれの体験を話し合うところから活動を始めました。メンバーには、がんであることを公にしていない人も含まれています。18年には社内で、数名のメンバーがパネルディスカッションを行いましたが、「当社ならではの取り組み」「アフラック社員なら聞くべき」と、メンバー外の社員からたいへん好評でした。

※ピアサポート:症状や悩みなどについて同じような立場にある仲間〈英語「peer」(ピア)〉が、自分の体験や行動、考えなどを披露し、互いに語り合い、支え合うことで回復を目指す取り組み

時間と場所に制限されない「両立」のための働き方

片桐 体験を共有できるこうした組織の存在は有効ですね。がんの罹患は誰にでも起こり得ることで、産休、育休、介護休と同様に制度の整備が重要だと感じています。

久保 おっしゃる通りです。がんにかかったら辞めなくてはいけないのかという不安は、もっとも払拭しなければいけないものです。仕事は続けられる、会社はそのための環境を整えて最大限にサポートしていく、というメッセージを伝えることが大切です。

片桐 治療のため、一時的に職場を離脱することへの周囲の困惑はありませんか?

久保 そもそも当社は女性が多くて、産休や育休で誰かがいないときにお互いをサポートする体制が会社で構築できています。制度を作る前から、柔軟に働く環境は提供されていました。また、事業のおかげでがんを正しく理解する社員が多い環境も、他社より恵まれているかも知れませんね。

片桐 All Ribbonsの社内に向けた活動は、パネルディスカッションの他にどんなものがあるんでしょう。

久保 社内で誰もが閲覧できるポータルサイトを使い、がんの治療中に、どのように仕事と両立したかなどの情報を公開しています。数あるコンテンツの中でも上位の閲覧数で、関心の高いことがうかがえます。がんと診断された人がAll Ribbonsのメンバーに相談できるような仕組みもありますよ。

片桐 人事部が事務局だそうですが、どのように関わっているんですか。

久保 事務局は人事部でも限定された社員と産業医で構成され、守秘義務の誓約をしたうえで定例会の運営、体験談の公開、相談窓口などに携わっています。相談の際は産業医が間に入り、匿名性を担保します。協働して、当事者にとって本当に必要な制度づくりに貢献しているわけです。象徴的な成果が「リボンズ休暇」。がんの治療期間は人それぞれで、再発のリスクもあります。休暇日数が足りなくなることを心配する声を反映し、治療状況に応じて日数無制限で休暇を付与する制度を作りました。今年1月からは利用単位を1日から1時間にし、使いやすくなったと思います。治療が進む中で、仕事に復帰できるようになったら、在宅やサテライト勤務、時短勤務などの制度を活用し、時間と場所にとらわれない働き方を選択することもできます。

片桐 アエラでも何度か、がんをテーマとして取り上げていますが、置かれた状況など細かな差異に阻まれて、がん患者同士の情報共有は難しいのが現実です。All Ribbonsのメンバーは男女や年齢はバラバラなんですよね。

久保 はい。現在は男性10人、女性12人の22人が在籍しており、若いAYA世代から50代後半と年齢層も幅広いです。がんの種類もさまざまですね。だから“All”Ribbonsなんです。「同じ会社」という共通項が強いつながりになるのでしょう。

片桐 体験を話すことで誰かの役に立つ、「キャンサーギフト」の側面もありますね。

久保 公にしていなかった人が活動を経て、「なぜ私はがんを隠しているんだろう。話したほうが楽に仕事できるのに」と気づいたケースもあります。

アフラックの取り組みは他社にも応用できる

片桐 圭子

片桐 圭子 Keiko Katagiri

AERA 編集長

片桐 今後の展望をお聞かせください。

久保 社員ががん経験者の話を聞く機会がまだ限られているので、もっと増やしていきたいです。それは、自分ががん罹患者の上司や部下、同僚、あるいは当事者になったとき、どう向き合っていくのかを想像するいい機会となるでしょうから。

片桐 それはたいへん腑に落ちるお話です。情報が頭に入っていれば、いざというときの対処が全然違うでしょう。

久保 がんを治療しながら働き続けるというのは今後、どの企業でも大きな課題になっていくと思います。今ではがん保険の存在が当たり前になったように、私たちの活動を知っていただくことで社会に変化を起こす役割を果たしていければと考えています。

片桐 どこの会社もこういう取り組みに積極的であってほしいものですね。外に発信することで知見が広がり、社会で共有できることを願っています。

片桐圭子の編集後記

 久保さんは明るく、お話ししていても安心感がありました。がんに限らず、働くうえで何かしらの壁に直面したときにどう動くのか。「想像するための知識がある」ということが重要なのだと思います。簡単な言葉にしてしまうと、そういうケースに“慣れて”いれば、腫れ物に触るようにではなく、真っ直ぐに課題と向き合うことができるのでしょう。アフラックの取り組みは他社にとっても参考にしやすい、実効性の高いものであると感じました。

詳しくはこちら

https://www.aflac.co.jp/

提供:アフラック生命保険