人と技術が、世界中から四日市に集積

真のダイバーシティーを体現する
ウエスタンデジタルジャパン

膨大なデータを記憶するストレージ(外部記憶装置)技術は、社会変革の重要なカギとなる。その主力であるフラッシュメモリーとハードディスクドライブ(以下HDD)をともに提供するウエスタンデジタルジャパンが、今後目指すところは何か。
小池淳義社長に片桐圭子本誌編集長が聞いた。

文/武田 洋子 撮影/慎 芝賢 企画・制作/AERA dot. AD セクション

人類の飽くなき欲求は「記憶」
それに応える技術がある

小池 淳義 Atsuyoshi Koike

ウエスタンデジタルジャパン社長

早稲田大学大学院理工学研究科修了。1978年、日立製作所に入社、半導体部門に配属される。東北大学大学院工学研究科電子工学専攻・工学博士号取得。2006年、サンディスク日本法人社長に就任。18年、ウエスタンデジタルジャパン社長に就任し、ウエスタンデジタル、HGST、サンディスクの国内3社を統括。さらにパートナーである東芝メモリと共同で運営するフラッシュメモリー合弁事業の責任者を務める。

片桐 私の記者としての出発点はパソコン雑誌だったのですが、当時1990年代半ばは、1ギガバイトというとすごい情報量に思えましたし、たいへん高価でした。

小池 フラッシュメモリーの価格は、1ギガバイト当たり5万分の1に下がっています。20年前に100万円したものが、今ではたったの20円なんですよ。

片桐 現代社会は技術革新の恩恵なしには語れません。小池社長はサンディスク、HGSTジャパン、ウエスタンデジタルジャパンという3社を統括されていますが、それぞれどういう会社なのか教えてください。

小池 3社は米国に本社を構えるウエスタンデジタルのグループ会社で、サンディスクはフラッシュメモリー事業を、ウエスタンデジタルジャパンとHGSTジャパンはHDD事業を担っています。また、東芝メモリとの協業により、三重県四日市市にフラッシュメモリーの研究開発と生産拠点をもっています。

片桐 それぞれ特性の異なるフラッシュメモリーとHDD、両方を提供する強みとは何でしょうか。

小池 どちらも現在主力の記憶装置ですが、HDDは安価に莫大なデータ量をストレージするのに向き、フラッシュメモリーは圧倒的なスピードで優れたパフォーマンスを実行します。この二つは技術的にかなり違うもので、両方を高いシェアで押さえていると、企業としてたいへん安定した成長を見込むことができます。「記憶しておきたい」というのは人類の飽くなき欲求ですので、今後もデータ量はすさまじい勢いで増えていくことが予想されます。

片桐 競合する企業の代表格は、韓国のサムスンということになりますか。

小池 サムスンはHDDを手がけていないので、フラッシュメモリーに限ればその通りです。四日市工場でつくられるNAND(フラッシュメモリーの基板)は、世界のシェアをサムスンと二分しています。映像や高画質の画像への需要が高まるにつれ、高速で、膨大なデータから必要なものを抽出して解析することが求められるようになりました。この迅速なデータ処理に適しているのがフラッシュメモリーで、ウエスタンデジタルはフラッシュメモリーで世界を牽引していきたいと思っています。

片桐 いまやフラッシュメモリーを使っていない人はいない、と言えますね。

小池 SDカード、USBメモリーのほか、パソコン、携帯電話、カーナビ、録画機能付きテレビ、防犯カメラ、自動車本体、データセンター、クラウドサービス……ありとあらゆるところにフラッシュメモリーは使われています。そして世界中のデータの多くが、フラッシュメモリーやHDDに保存されているのです。たいへん意義がある仕事であり、世界の人々に対する責任を感じずにはいられません。

世界に貢献し愛されるのが
真のダイバーシティー

片桐 圭子

片桐 圭子 Keiko Katagiri

AERA 編集長

片桐 複数の企業が合併する以前から、御社は多国籍企業だとうかがいました。

小池 優秀な人材を集めようとすると、おのずと多様な職場になるものです。ですから、企業がわざわざダイバーシティーを目標に掲げることには違和感がありますね。最もダメなのは、ダイバーシティーの目的を日本や日本人のみの利益とすること。真のダイバーシティーとは、世界に貢献し、世界から愛される企業を言うのだと思います。

片桐 多様な人々が等しく活躍するためには、制度だけでなく企業文化から変えていく必要があります。トップのお考えをどのように社内に浸透させているのですか。

小池 ダイバーシティー委員会をはじめ、あらゆる階層の社員とよく話をしますね。それも、新入社員、課長、部長など、それぞれに異なる相手の立場に立ってコミュニケーションを図る、それが本当の意味でフェアだと思っています。英語ではそれを「相手の靴を履く」と表現しますね。

片桐 日本は女性の理系進学者、技術者が少ないといわれています。

小池 困ったことです。弊社は東京大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)の交換留学を支援しており、毎年十数人ずつ会社に招くのですが、MITは6割が女子学生なのに対し、東京大学は1、2割と少ない。もっと技術者の魅力を若年層に対して訴求していかなければなりません。

片桐 会社によっては女性社員の産休を素直に喜べないという声もありますが。

小池 子どもの存在は国の最大の原動力ですよ。おめでとうと言わずに何とします。何人休もうと困らないような仕組みをつくるのが企業の務めだし、AIを学習させる場合も、男女双方の知見が必要なのです。

四日市メモリータウン構想
世界から人が集まる中心地に

片桐 バイクやアメリカンフットボールなど多趣味でいらっしゃいますが、時間はどう工面していらっしゃるのですか。

小池 時間はつくるものだと思っているので、忙しくても苦になりません。さまざまな顔をもち、多くの友人をつくり、好奇心をもち続けることは、AIに負けない人間となるカギとなります。また多方面での経験は本業を楽しく、豊かにするでしょう。

片桐 最後に、四日市市の「メモリータウン構想」について教えてください。

小池 半導体産業というのは、実は日本人の特性にたいへん向いているのです。日本人には暗黙知の文化があり、いちいち指示されなくても他者の作業を見ながら行動できますが、これが製造過程には不可欠なのです。「日本の半導体は終わった」という人もいますが、それは大きな間違いです。半導体はAIを学習させる核であり、今後も必要なものです。ものづくりの得意な日本人がこれをやらなくてどうする、と私は思いますね。四日市工場には世界中から優れた人材を集め、四日市市を「メモリータウン」にしたい。そのための環境や体制づくりを、いま進めているところです。

片桐 日本の四日市市から発信された産業が、世界に貢献するわけですね。楽しみにしております。

片桐圭子の編集後記

 男性、女性という属性にとらわれず、真のダイバーシティーを実現されていると感じました。こうした方がトップにいると、社員の皆さんも元気が出るのではないでしょうか。とてもポジティブでチャーミング。お話ししていても、何でも受け止めて下さるような安心感があります。最初は、各産業の工場が海外に移転するなか、なぜ国内工場に注力をと思いましたが、日本人は半導体産業に向いているというお話でストンと腑に落ちました。

提供:ウエスタンデジタルジャパン