<PR>

最新中学受験ナビ

2020年度の大学入試改革に伴い、中学入試も変化しつつあります。今年の中学入試では、どのような影響があったのでしょうか。もちろん、これからの時代を生きていく子どもたちが必要としているのは、中学入試を突破する力だけではありません。社会が大きく変わろうとしている現在、その変化に対応して個性を十分に発揮できるよう、今後身につけたいスキルや教養などを、専門家にうかがいました。
文/松田慶子 撮影/大野洋介、片山奈緒子 デザイン/スープアップデザインズ

2018年の中学入試の特徴
ポイント1

附属校の
受験者数の増加

今年はほとんどの大学附属中学で、実質倍率が大幅に増加しました。早慶やMARCHの附属中学はもとより、比較的入りやすかった中堅の附属校やいわゆる半附属校も、軒並み倍率が上昇しました。これは、大学入試改革による新しい入試が一通り浸透する、2025年ごろまで続くと予想されます。

ポイント2

探究力、活用力を
問う出題が増加

教科の世界を深く探究する力と、学んだことを現実で活用する力を問う問題が増加しました。特に後者は、例年、最難関校が出題していましたが、今年は中堅校でも出題されています。いずれも、新学習指導要領に沿った問題です。来年以降は、さらにこの傾向が強まるものと考えられます。

ポイント3

英語入試を実施する
中学校が増加

国・算・英から2科目受験する、英語でプレゼンテーションを行うといった、英語入試を行う学校が急増。2020年度からの大学入試における英語入試の変革の影響と見られます。ただし帰国生枠はほぼ横ばい。グローバルな生徒というより、新大学入試に対応できそうな生徒を確保したいという意向の表れとも。

森上展安

2018年中学入試
傾向と分析
森上教育研究所代表
森上展安

松本 茂

グローバル教育の未来
立教大学グローバル教育センター長
松本 茂

石川一郎

21世紀型の学びとは?
21世紀型教育機構理事
石川一郎

2018年中学入試 傾向と分析

2020年度大学入試を見据えて、
教科の世界を探究する問題が増加

中学受験の動向が大きく変化している今、2018年の入試はどうだったのでしょうか。
中学受験に詳しい森上展安さんに、傾向と今後の見通しを解説してもらいました。

森上教育研究所代表
森上展安さん

入試改革への不安から
大学附属校の人気が上昇

森上展安

森上展安 もりがみのりやす

学習塾運営を経て森上教育研究所を設立。保護者や中学受験塾、私立中高一貫校に向け、情報発信や相談、コンサルティング等を行う。「わが子が伸びる親の技(スキル)研究会」主宰。

「今年の中学受験は、これまでと違う点が目立ちました」

 森上展安さんが分析します。

「第一に、大学附属校の倍率が、かつてないほど上がった。人気校の早稲田高等学院でさえ、近年では倍率が3倍になったことはないのに、今年は3.2倍。同様に2倍台が続いていた慶應義塾系列の中学3校も約3倍に達しました」

 中堅の大学附属校や、生徒の半分が外部の大学に進学する、いわゆる「半附属校」も、軒並み伸びたといいます。

「背景にあるのが、2020年度の大学入試改革(※1)。入試がどう変化するか見通しが立たないことから"大学に行ける学校を"と志望した人が多いと考えられます」

KEYWORD 1

大学入試改革

文部科学省が進める、高大接続改革の一環の、大学入試共通テストのこと。2020年度(21年1月)から実施。英語の4技能評価のほか、記述式問題の導入など変更点が多い。

 一方、進学校を見ると、共学校の人気が上昇したことも特徴的だと話します。中でも最近共学化した学校の人気が目立つとも。

「神奈川の桐蔭学園はもともと男子と女子が別々に授業を受ける『別学』でしたが2019年度から完全共学化。また近年は広尾学園や三田国際学園など、女子校からの共学化が増えています。共学化した学校は、特色を出すために新しい教育を積極的に取り入れる。これが奏功した学校が、人気が出て偏差値も伸び、注目されるようになっています」

 もちろん、共学だけでなく、男子校・女子校でも「新しい教育」を打ち出しているところは親御さんたちの共感を得て人気が伸びています。では、その新しい教育とは、どのようなものでしょうか。

「やはりグローバル教育ですね。附属校人気と同様で、将来への不安から国際化に対応する教育を希望する人が多いのでしょう。実際に先述の学校のほかにも、グローバル教育を標榜し人気が上がっている学校は多くあります。例えば国際バカロレア(IB)(※2)認定校の玉川学園、茗溪学園、昌平など。まだ入りやすい学校ですが、今後、倍率が上がると考えられます。またスーパーグローバルハイスクール(SGH)(※3)の指定を受ける学校も増えつつあります」

KEYWORD 2

国際バカロレア(IB)

国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)提供の教育プログラム。ここで取得したスコアは、世界中の大学での入学審査に採用される。日本語で受けられるプログラムも。

KEYWORD 3

SGH

スーパーグローバルハイスクール。国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を目的としたカリキュラムを開発・実践する高校。文部科学省が指定。指定期間は5年間。

 英語入試を実施する学校も増加中。これは大学入試改革で英語入試が大きく変わることへの対応という側面もあるようです。

「慶應義塾湘南藤沢も、2019年から国語、算数、英語の3科目による入試を開始します。今後も英語入試が増える可能性は高いですね。英語だけでなく、知識の量より知識を活用する力が問われるようになる。その対応として、アクティブラーニングの力を問う入試やプログラミング入試など、今後も入試の多様化(※4)が見られそうです」

KEYWORD 4

入試の多様化

従来の教科型入試に代え、英語入試や思考力を試す入試、プレゼンテーション力を試す入試など、多様な入試を採用する学校が増加。背景に新学習指導要領への対応がある。

 教科の勉強以外でも、英語が好き、プログラミングが得意、人前で堂々と意見が言えるなど、特技のある子どもに中学受験の門が広がったといってもよさそうです。

新学習指導要領に合わせ
出題傾向にも変化が

森上展安

 入試の問題にも、大きな変化が見られたといいます。

「2年後から新学習指導要領(※5)が全面実施されます。その中で重視する、教科を探究する力と、現実への応用力・活用力を測る問題が、多くの学校で出されました」

KEYWORD 5

新学習指導要領

小学校は2020年度、中学校は21年度から全面実施。「主体的・対話的で深い学び」(アクティブラーニング)で知識・技能の習得、思考・判断・表現力等の育成を図ることなどが軸に。

 例えば、算数に「整数論」という単元があります。数の性質をどんどん探究していくという分野で、この整数論に関する問題が、上位校を中心に多く出されました。

「現実に対応する力を問う問題は、昨年までは開成や駒場東邦などが出していました。昨年の駒東の"実生活で算数の考え方が活かされ、面白かった出来事は?"という算数の出題がそう」

 今年は、国理社の問題として出す学校が増えたといいます。

「こうした問題は、何が問われているのか、自分で見つけなければいけません。これまで以上に文章読解力が求められるようになったと言い換えてもいいでしょう」

2019年以降も
今年の傾向が続く

2月1日 私立受験者数の推移と受験率(1都3県)

リーマンショック以降、減っていた首都圏の受験者数は、2015年から復調しています。資料提供:森上教育研究所

 来年以降はどのような入試になると考えられるのでしょうか。

「附属校人気に関しては、新しい大学入試が定着する2025年ごろまで続くと見込まれます。また新学習指導要領への移行期である今、今年の出題傾向は、来年以降も続くでしょう」

 どのように備えればいい?

「基本が大事である点は、これまでと同様。ただ、文章読解力が重要となるので、これまで以上に、さまざまな文章に触れさせることが大切。読ませるだけでなく、4年生までは、家庭で色々な分野について会話するといいですね。5、6年生になったら、実際の演習問題を解く中で経験を積みます」

 算数では思考力を測りやすい、図形問題が多くなるようです。これも、低学年のうちは折り紙などの実物を使って図形に触れ、高学年になったら問題を解いてパターン化して覚えると効果的とも。演習力・家庭力の両方が問われるようになっているのかもしれません。

中京

中京地区はどうでしょうか。日能研東海代表取締役社長の野田幹人さんに、愛知、三重、岐阜を中心に、状況を解説してもらいました。

愛知県の小6児童数とのべ受験者数推移

2016年以外はのべ受験者数が増加。愛知県内における併願機会の増加や入試形態の多様化、またWEB出願校が増え出願しやすくなったことなどが、のべ受験者数増の背景にあると考えられる。資料提供:日能研東海

受験者数増加。背景に入試改革。
併願機会増大も

 東海地方では、小6児童数がこの数年で最少だったにもかかわらず、のべ受験者数は増加しました。

 理由の一つに、2020年度の大学入試改革への不安があるようです。また、愛知県では入試を前倒しする学校があり、結果、併願機会が増大しました。これらが、受験者数増加にも寄与したと考えられます。

 また、3県ともに、WEB出願や、特待生入試、英語入試、AO入試、午後入試などの多様な入試形態を導入する学校もあり、受験生の層が広がったことも増加の背景にあるようです。この多様化の動きは、今後も進むものと考えられます。

関西

関西地区の動向は、WEBマガジン「ミライノマナビ」編集長の萩原渉さんにうかがいます。他の地区同様、少子化が続いていますが……。

初日午前入試の出願者数と出願率

関西圏における初日午前の出願率は、2014年以降、4年連続増加。関関同立附属校が堅調で、灘、甲陽学院、東大寺学園などの最難関男子校は不動の人気。女子校は大阪府内では志願者増。出願者数:株式会社ユーデック調べ

出願率は4年連続増加
午後入試実施校が過半数に

 京阪神では午後入試を導入する学校が増加し、今年度は過半数の学校で実施。それに伴い、多くの受験生が初日と2日目で進学先を決める、超短期決戦になりました。

 大学附属校や共学校人気の上昇は、首都圏と同様。また英語入試や、思考力や表現力などを測るタイプの入試も増え、今後も広がると思われます。

 来年度は大阪市立水都国際が開校。IBを導入する予定で、すでに注目を集めています。関西圏では児童数の回復が見込めないことから、多くの学校にとって魅力的な学校づくりの工夫が今後の課題といえそうです。