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シンポジウム

表彰式と併せて行われたシンポジウムは、親と子、家族の在り方、地域社会や学校の役割について考え直す良い機会となりました

被災三県大会シンポジウム
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損保ジャパン日本興亜ひまわり生命
シンポジウム「子どもの心を育む家庭・学校・社会」
区切り線 髙橋史朗氏

 「親」としての成長が難しい時代と言われています。親として、子育てにどう向き合うか。私は何よりもまず、親自身が変わるところから始めることが大切だと思います。子育ては“主体変容”といって、責任転嫁になりがちなものですが、親が自分で責任をすべて引き受けるしかありません。それが「親学」の基本です。いま、子どもたちの心のコップは下を向いて伏せられている。そのコップを上に向けるためには、親が自分の心のコップを上に向ける必要があるのです。
 今回、岩手県知事賞を受賞した親守詩の作品(作文・詩部門)は、こんなふうに結ばれています。「(お母さん)いつも私の一番の味方でいてくれてありがとう」と。そうです、母親がいつも味方で、“心の居場所”になってくれれば、子どもたちは頑張れるのです。一方、父親は“壁”になって、子どもたちに社会ルール、秩序感覚を学ばせる模範的な役割を担わなければなりません。そして、子どもたちは常に親の姿、親の生き様を見ています。親が元気で幸せそうであれば、子どもたちも自然と笑顔で元気になるのです。どうか、お母さん、お父さんが自分の心のコップを上に向けることから始めてください。

区切り線 倉本栄志氏

 8歳・5歳・2歳の子どもたちの父親です。釜石市で自動車関係の会社を経営していまして、東日本大震災の時には津波で家を流されました。幸い私の家族はみんな無事でしたが、身近な友人、知人で亡くなった方もいます。そんな経験をして、「明日はどうなるか分からない、いつ家族と会えなくなるか分からない」ということを痛感しました。だから、今日という日を大切に生きたい。毎朝、笑顔で「おはよう」と言えることを、とても有り難く思うのです。
 私はどんなに多忙な時でも、寝る前には必ず子どもたちの顔を見て、名前を呼び、「ママとパパのところに生まれてきてくれて、ありがとう」と言います。子どもは親を選んで生まれてくるのです。子どもたちに「明るく、元気で、輝いて、個性的に」と多くを求める前に、まずは親が「自分自身の人生は本当に輝いているのだろうか」と、問い直してみることが必要なのではないでしょうか。子育てについて、子どもの責任はゼロだと私は考えています。子どもたちが輝かしい未来を思い描けるように、親たちが輝く姿を見せていくことが大切だと思います。

区切り線 大川雄矢氏

 地元の小学校で4年間、PTA会長を務めました。その当時のことを、お話しします。子どもたちと地域との結びつきを強めようと、PTAが地域の方たちに呼びかけて「あいさつ運動」というのを始めました。毎日、大人たちが通学路に立って子どもたちに声をかけ、見守る、ボランティア活動です。続けるうちに、子どもたちもボランティアの方々の名前を覚え、感謝の気持ちを込めた“ありがとうの手紙”を書こうということになりました。子どもたちから届けられた手紙は、親世代や祖父母世代への素晴らしいメッセージになり、それが地域力をいっそう強める成果にもつながったと思います。
 「おやじの会」というのを作って、夏休みに“流しそうめん”などのイベントを開いたりもしました。親たちが自ら楽しむ、その姿を子どもたちが見て、もっと楽しくなる。これは、とても良いかたちの、親子の結びつきだと思います。家庭と地域と学校とが一体になって、つながりを深めるなかで、子どもたちの心は豊かに育まれていきます。「あいさつ運動」は3年目に入り、「おやじの会」も続いています。

区切り線
被災三県親守詩大会「受賞者インタビュー」

NHK盛岡放送局賞 定型詩部門
早野朋美 さん (岩手県立宮古北高校2年

ふるさとを 離れて分かる 母の愛

早野朋美さん

受賞の喜びを語る早野さん

 次の春からは高校3年生。いまは親元に居るが、大学に進んだり、その先は就職で故郷を離れる日が来るかもしれない。その遠からぬ日を思い浮かべて作ったのが、受賞作に選ばれたこの句。現代国語の授業で課題になり、全部で5つ作った。そのなかでも、これがいちばん気に入っているという。「詩を作るのが大好き」で、自信はあったようだが、それでも受賞と聞いてびっくり。さっそく、その喜びを母親に伝えた。すると、「お母さんからお手紙が来たので」、もう一度びっくり。そこには受賞の嬉しさと、朋美さんへの温かな想いが綴ってあった。親守詩が深めた母と子の絆だ。

宮城県教育長賞 連歌部門
佐伯奏美 さん (宮城県名取市立高館小学校3年)

子:なぜだろう うれしい気持ち いっぱいだ
親:あかるいひざし かなみのえがお

佐伯奏美さん

会場ロビーで楽しそうに話す奏美さんとパパ。
傍らにはママも同席している。

 お兄さんが二人いて、ちょっと歳が離れて生まれた初めての女の子。パパは優しくて、休日はよく一緒に遊んでくれるし、普段の日は勉強も見てくれる。奏美さんは、そんな「パパが大好き」。その気持ちがこの上の句に、弾むように、素直な言葉で表されている。それを受け取ったパパも「嬉しい気持ちがいっぱい」に決まっている。奏美さんの笑顔を明るい日差しの中に思いながら、下の句で応えた。想いを言葉にすることで、父と娘の親愛の気持ちは、こんなにも豊かになる。

親守詩実行委員長賞 作文・詩部門
並木海里 くん
(福島県須賀川市立小塩江小学校3年)


ぼくのお父さんはたんしんふにんです。だから、このしゅくだいは、電話をつうじて、こんな下の句を作ってくれました。「ゆびおり数えて帰る日まつよ」です。ぼくは、こんなにいそがしいのにお父さんがこんなかっこいい句を作ってくれて、うれしく思いました。

並木海里くん
お母さん、お兄さん(右側)と一緒に大会会場で記念撮影。

 海里くんは「絵よりも、言葉で自分の気持ちを伝えるのが得意」。国語の時間に親守詩の連歌を作る宿題が出て、上の句を作ってみた。愛知県に単身赴任していて、たまにしか会えないパパを想う句は「遠くの地 ひとりがんばる 父恋し」。電話でパパに下の句を頼んでみたら、「ゆびおり数えて帰る日まつよ」とすぐに応えてくれた。受賞作に選ばれた作文は、この連歌をめぐる父と子の愛情あふれるやりとりが、子どもらしい素直な筆致で表現されている。指折り数えて待つのは、家族みんなの想いでもあるに違いない。

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