『シニアのための なぜかワクワクする片づけの新常識』
朝日新書より発売中

 私は20代で家事代行の会社に入って以来、片づけとお掃除の現場にたち続けています。もともと高齢の方の依頼が多かったのですが、生前整理に関する本を書いたのがきっかけで、自宅や実家の片づけに悩むシニア世代からの依頼が増えました。

 今まで5000軒近いお宅の片づけを手伝ってきてつくづく感じるのは、片づけられない最大の理由は「モノが捨てられないこと」でした。

「いつか片づけよう」と思いながら、後回しにしている人がたくさんいます。みな、片づけが大変で、面倒くさくて、できればやりたくないからです。

 では、どうしたら片づけを前向きに取り組めるのか。私がたどりついたのは、大変で、面倒くさくて、やりたくない片づけを積極的に片づけたい!と思わせる、新しい片づけ方法でした。その方法とは次の通りです。

(1)モノは捨てなくていい

 シニアの家にモノが多いのは、年齢の分だけ、好きなものがたまっているからです。家にあるのは、その人にとって必要なモノ、大事なモノ、捨てられない大切な思い出たちです。
 それをムリに捨てようとするから、トラブルや葛藤やけんかが起きるのです。それが理由で前にすすめないのなら、一個たりとも捨てなくていい! 

「片づけ=捨てる」というこれまでの常識をまず捨ててください。

(2)モノは寄せる

 捨てなかったら、今まで通りモノだらけで、全然片づかないじゃないか、と思うかもしれません。そんなことはありません。

 モノを一カ所に寄せてしまえばいいのです。

 もしひと部屋「物置部屋」がつくれれば、そこにモノを集めてしまいます。

 床に置いてあるモノ、テーブルの上にあるモノ、ソファーの上に放り出してあるモノなど、しまう場所がなくてそこここに置いてあるモノはみな「物置部屋」に集めてしまいましょう。

 もし「物置部屋」をつくる余裕がなければ、リビングの片隅でもかまいません。とにかく視界からモノをなくして、スッキリさせる。ここが片づけのポイントになります。

(3)“更地”をつくる

 モノを寄せる目的は空間をつくることにあります。モノだらけだった床の上、テーブル、ソファーなどからよけいなモノがなくなれば、そこには何もない空間が広がります。これを私は“更地”と呼んでいます。

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