テレビのワイドショーで、及川光博と檀れいが離婚したことが告げられた。結婚7年目だったという。それを受けてコメンテーターの女性が「私も7年目に離婚した」とことばを添えた。

 7年目の離婚……私にとっては、「小学校に入学して7年目に中学校」と同じくらい当たり前なことばだ。7年目は、脳科学上、夫婦が最初の「最大の危機」を迎える時なのである。ちなみに、夫婦の最大級の危機は7年目ごとにやってきて、28年目が最も深刻。熟年離婚多発年だ。

 転職も「前職についてから7年目、14年目」の決心が目立って多い。それまでの人生を脱ぎ捨てるように、人は7年目、新たな道に一歩を踏み出したがるのである。

 実は、脳の中には7つの「箱」があって、これが埋まるとコンプリート(完成)すると感じる仕組みがある。「1年」が7個たまればコンプリート、脳は新たなゲームを欲する。ちなみに「1日」が7個たまればコンプリート。こちらは言わずと知れた「1週間」で、世界中の脳がこの単位で暮らしている。ちなみに「1週間」を決めたのは神だけじゃない。初七日、二七日と数える四十九日も7日単位である。

 アレルギー症状は、発症から7年目に劇的に軽減することが多い。そう語る現場の医師がいた。調べてみたら、免疫の中枢を担う骨髄液が7年で入れ替わるのだそうだ。

 免疫システムは、外界からの刺激から生体を守る仕組みである。生体は、慣れない刺激に激しく反応する。しかし、その刺激が定常的に続くものであれば、いつまでも反応していると、かえって危ない。このため、生体システムは「新しい刺激」に徐々に慣れていき、7年で刺激じゃなくなるように作られているのだ。

 どんなに激しく心を揺さぶられても、必ず7年目に、それが刺激に感じられない日がやってくる。すべては、刺激が消えた後に何が残るか、にかかっている。

 しかし、刺激じゃなくなったということは「安寧」の始まりでもある。夫婦というのは、ここからやっと始まるのである。7年目、夫婦は「腐れ縁」という新たな刺激に入る。「腐れ縁」のもとにも信頼の人間関係をしっかり築くことだ。28年目の大きなツケを払わなくてもいいように。

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