この男性のように、加齢とともに怒りのコントロールが難しくなる人が増えています。「暴走老人」などという過激な言葉にたとえられることもあり、なんとなく居心地の悪い思いをしている人もいるでしょう。

 ひと昔前は、年をとると人間が丸くなり、めったに怒らなくなると思われていました。しかし、いまはその逆で、感情の柔軟性がなくなり、キレやすくなったり、怒りが収まりにくくなるとわかっています。

 そして、怒れば怒っただけ、人間関係は悪くなり、ストレスがたまります。ストレスがたまればさらに怒るシーンも増えるため、まさに負の連鎖といえるでしょう。

 また、怒りの感情が身体に悪影響を与えるのも、さまざまな研究から見えてきました。血圧の上昇、自律神経の乱れ、それに伴い白血球の働きが悪くなり、腸内の善玉菌がダメージを受け、免疫力までも低下してしまうのです。

 つまり、怒ってばかりいると健康を害し、長生きできなくなるのです。

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