3月号
作家・フランス文学研究者 荻野アンナOgino Anna
若くはないが、どう老けていったらいいのか分からない
『老婦人マリアンヌ鈴木の部屋』朝日新聞出版より発売中 私の21世紀は、病いと老いと死に要約される。 最初に倒れたのは父親である。85歳で、腸の悪性リンパ腫だった。マリグナント・リンフォマ、と今でも英語が口をついて出るのは、日本語のできない父のために、辞書を片手に病状を説明していた名残だ。 手術は成功...