10月号
文芸評論家 菊池 仁 Kikuchi Megumi
歴史の“場”を借りて、人間の生きる姿勢を描く

2014/10/07 15:40

 本書は武士の高潔な生きざまを端正な筆致で刻み込んだ作者のライフワークとも言うべき一編である。作者は三作目の『銀漢の賦』(2007年刊行、松本清張賞受賞)以降、武士の精神のありようを主題として、多くの作品を手がけてきた。本書はそんな作者がさらに精神の高みを極めようと、主人公の人的造形に心血を注いで、この物語を紡いだことをうかがわせる作品に仕上がっている。

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