30日にあったIOC調整委と大会組織委、東京都などとの合同会議。(奥左から)IOCのジョン・コーツ調整委員長、大会組織委の森喜朗会長、武藤敏郎事務総長、東京都の小池百合子知事、橋本聖子五輪相
30日にあったIOC調整委と大会組織委、東京都などとの合同会議。(奥左から)IOCのジョン・コーツ調整委員長、大会組織委の森喜朗会長、武藤敏郎事務総長、東京都の小池百合子知事、橋本聖子五輪相

 マラソンと競歩の会場問題はどう決着するのか? 10月30日、国際オリンピック委員会(IOC)の調整委員会が始まった。IOCのジョン・コーツ調整委員長は札幌開催を「決定」としているが、仮に決まった場合は経費などの負担はどうなるのか。また、アスリートファーストを考えた場合、本当にその選択がベストなのか。こうした点について、都民ファーストの会の副総務会長の森愛都議は、同会の独自の試算などを踏まえ、IOCの決定はおかしいと批判している。

 札幌移転案が出たのは、16日。IOCのトーマス・バッハ会長が突如、発表。17日午前、都内であった連合東京の定期大会のあいさつで小池百合子知事は「東京は一番最後に知らされたんじゃないか。まさに青天のへきれきだ」と話した。

 移転した場合の費用について、コーツ委員長は、東京大会の「予備費」を検討することを表明した。

 これについて森都議は、

「大会組織委員会がまかなえない場合は都が負担するということが、オリンピック招致委員会が東京に招致したときのファイルの文言にあるんです。組織委員会は実質、予算がないので、都が『予備費』の中から負担させられることを危惧しています。都民の税金が使われるというのでは、都議会としても説明責任を果たせません」

 と指摘。費用についてしっかりと説明するよう、小池知事を通じて、IOCに要望書を30日に出したという。

 実際のところ、どこが負担することになるのだろうか?

 麻生太郎財務相は29日の記者会見で、「主催は東京なんだから、違うのか、それ以上、答えようがない」と発言。組織委員会の森喜朗会長は「IOCに持ってほしい」、小池知事は「国が持つと聞いた」、北海道の鈴木直知事は「従来通り、組織委員会か都が負担を」とそれぞれが主張しており、どこが負担するのか見通せない状況だ。

 では、札幌にした場合の費用はどのくらいかかるのか?

 都民ファーストの会東京都議団は、「必要な情報は組織委員会が有しており、都議としては公開情報や他の事例からの概算数値としての試算」とした上で、「340億円プラスαとなる可能性」との試算内容を示した。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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「早朝開催ができないのはスポンサーファーストだから」