昭恵氏の旧姓は松崎。父親は大手製菓メーカーの森永製菓元社長の松崎昭雄氏、祖父は森永太平氏。森永製菓の創業家一族の令嬢だった。2人のお見合いのためにセッティングされたのは東京・原宿のカフェバー「オーラ」だった。

「その店に決めたのは、レコード会社の知人から『雰囲気のいいお店がある』と聞いたから。『オーラが差すからオーラにしようよ』とその店になった。『もんた&ブラザーズ』のメンバーが生演奏することもありました」

 2人の出会いは濱岡氏と電通の社員で考えられた。

「私は晋ちゃんを連れていく、電通の人は昭恵さんをその店に連れていくというシチュエーションだった。ところが、昭恵さんが仕事があるとかで、50分も遅れてきてね。その間、晋ちゃんは『いえいえ、待ちますよ』と言って、期待して待ってましたね。実は昭恵さんの顔はもともと知ってましたから。彼にとっては永遠のマドンナだったんですよ」

 濱岡氏によれば、晋三氏の兄の寛信氏が定期的に良家の子女の集まる合コンを開いていて、そこですでに2人は知り合い、晋三氏は一目ぼれだったという。

 結婚したのは交際を始めてから3年後だ。

 安倍家を知る人物はこう語る。

「昭恵さんに亭主のどこが好きなんですかと尋ねたことがあります。そうしたら『普通の人は長い年月、一緒に暮らしているとどこか嫌なところが目につくはずですが、夫には嫌なところがない』と言ってました。昭恵さんのわがままを許してくれて、理想的な亭主なんでしょう」

 安倍夫妻に転機が訪れたのは第2次安倍政権が発足する2カ月前の2012年10月。昭恵氏が周囲の反対を押し切って、居酒屋「UZU」(東京・神田)を出店したことから。昭恵氏の知人は当時をこう振り返る。

「最初は六本木など港区周辺でも探していたようです。昭恵さんはワイン好きで、ワイン1本を空けてもケロッとしているくらいなので、『どうしてワインバーではなく、居酒屋なのよ』と聞いたことがあります。のんべえだし、みんなで飲み会ができる店を持ちたかったようですね」

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