東レ子会社のデータ改ざん問題について謝罪する経団連の榊原会長 (c)朝日新聞社
東レ子会社のデータ改ざん問題について謝罪する経団連の榊原会長 (c)朝日新聞社

「自分のひざ元でこうした事態が発生したことは本当に重く受け止めている」

 苦渋の表情で11月29日にこう述べたのは、財界総理とも呼ばれる経団連の榊原定征会長。社長、会長を務め現在相談役の東レにおいて、子会社で製品の品質データ改ざんが発覚した。

 神戸製鋼所や三菱マテリアルでデータ改ざんが相次ぎ、経団連会長として企業倫理や法令順守の徹底を呼びかけていたさなかだった。

 不正は榊原氏が東レの社長在任中の2008年に始まっていたが、榊原氏が知ったのは11月27日という。

 実は東レは16年7月に不正を把握していた。1年4カ月にわたり公表しなかったのに、突然発表したのにはわけがある。匿名掲示板「2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)」に11月3日、「東レのタイヤコード、産業用コードを生産するグループ会社にて顧客に提出する検査データを改ざんしていた」という書き込みがあったのだ。

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