服用を自己判断でやめ、その後に体調を崩して再受診した例も(※イメージ)
服用を自己判断でやめ、その後に体調を崩して再受診した例も(※イメージ)

 一部週刊誌で「飲み続けてはいけない薬」などの医療批判報道が行われているが、その影響は少なくないようだ。本誌は、医師限定の情報提供サービスを行うメドピア社の協力を得て、現役医師526人に「医療批判の記事が診療現場に与えた影響」を調査した。

「影響が出ている」と答えたのは、145人で約28%。開業医のほうが多かった。

 福田クリニック(大阪府)の福田毅医師は「影響が出ている」と答えた一人だ。

「記事を持ってきた患者さんはいませんでしたが、何度か質問されました。薬の必要性を説明すると同時に、『週刊誌の言うとおりにして体調が悪くなっても、向こうは責任をとってくれないですよ』と伝えています」

 過去には、降圧薬の服用を自己判断でやめ、その後に体調を崩して再受診した患者が何人もいるそうだ。福田医師は常日頃、患者さんにこう話している。

「薬は、飲まないですむならば、それに越したことはない。でも、必要になったら、キチンと飲まなきゃいけないんですよ」

 能登川病院(滋賀県)の内科医、森村光貴医師は、降圧薬やスタチンについて「飲む必要がない」の一点張りの患者と議論になったことも。「値段の高いARBに反応される患者さんが多い気がします。説明が延びて、診察時間が押してしまうこともあります」という。

「薬を飲む、飲まないは患者さん次第。とはいえ、薬を飲まずに重篤な病気で救急搬送された患者さんにあうと、治療を続ける大切さを説明しきれなかった自分に責任も感じる。疑問は遠慮なく医師に質問してほしい。主治医に言いづらければ看護師などに相談する方法もあります」(森村医師)

次のページ