20日の告別式には翁長雄志沖縄県知事や中谷元・防衛相も参列した。

「飛行機の時間を気にしてVIP扱いで、焼香の時も列に並ばなかった中谷さんは地元で顰蹙(ひんしゅく)を買っただけでした」(参列した人)

 うるま市選出の照屋大河県議も怒る。

「沖縄中が常に危険と隣り合わせであることに、改めて腹立たしい思いがする」

「治外法権」という不条理のために、今回の事件も県民に知らされないまま闇に葬られかねない危険性があった。というのも、米軍関係者を保護する日米地位協定が、常に立ちはだかっているからだ。

 米軍人・軍属が事件や事故を起こしても、被疑者が公務中の場合、捜査権と第1次裁判権は米軍側にある。例えば、ひき逃げ事件が発生して、県警が犯人の米軍人を逮捕しても、公務中の事故だったとされれば、検察官は不起訴にせざるを得ないのである。

 今回の死体遺棄事件の場合は、シンザト容疑者は公務外だったが、基地内に逃げ込んでいたら、県警の捜査の手が及ばなくなる可能性もあった。米軍犯罪に詳しい池宮城紀夫(いけみやぎ・としお)弁護士が説明する。

「被疑者が米軍の手中にある場合、起訴前は米側が身柄を確保することになっています。シンザト容疑者が米軍基地内にいると、公務外でも県警は手出しができなかった」。(本誌・亀井洋志、西岡千史、秦 正理/今西憲之)

週刊朝日  2016年6月3日号より抜粋

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