国際金融経済分析会合の冒頭、国際経済学者のクルーグマン教授(左)に着席を促す安倍晋三首相 (c)朝日新聞社
国際金融経済分析会合の冒頭、国際経済学者のクルーグマン教授(左)に着席を促す安倍晋三首相 (c)朝日新聞社

 7月にダブル選挙を画策するも、アベノミクスが失速し、「消費増税」をまた取り下げるのは格好が悪い安倍政権。ならば外圧でと、ノーベル経済学賞受賞者で米国ニューヨーク市立大学のポール・クルーグマン教授らを招き、延期を提言してもらうはずが、ダメ出し祭り。シグマ・キャピタルのチーフエコノミスト田代秀敏氏の協力のもと、検証した。

 経済政策の転換の必要性を痛感させる指摘も多かった。「黒田バズーカ3」で始めたばかりのマイナス金利にもはやダメ出し。その効果についてクルーグマン氏は、

 I do think it was the right move to make but it is very hard to push it further. The effects are proving to be limited.
(マイナス金利はマイナス幅を広げるのは極めて難しいし、効果は限定的であることが証明されている)

 とし、政権側の淡い期待を否定する。

 安倍首相が国会で連呼する「構造改革」には反対しないものの、

 That is not because I am against it but because structural reform seems largely beside the point on this crucial issue of boosting demand.
(構造改革議論が、差し迫った需要低迷やデフレ問題に取り組まぬための言い訳になっているようだ)

「出す」と言いながらさっぱりの「第3の矢」(成長戦略)の議論が、最重要課題から目を背けるための方便になるという。

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